表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

2. 転生後の世界はヤンキー漫画の法則に支配されていた

[作者]


カブキマン 様


[あらすじ]


 現代から死亡転生した主人公は、ヤンキー漫画の法則に支配された世界で、”花咲笑顔”として産み落とされる。

 ある出来事をきっかけに世界の法則に気が付いた”笑顔”は、ヤンキー漫画で得た知識を駆使して今世を生き抜く決意をする。


 テンプレを駆使し立ち回る主人公と、惹かれ集った仲間たちが織りなす物語。



[ネタバレありな感想&考察]※108話時点


 ストーリー (※1)や表現 (※2)などは、テンポも良くクオリティは高い。

また、読者を逃がさないテクニックが随所にみられる。

 (※1)主に話の大まかな流れ(起承転結)のこと

 (※2)主に一人称、三人称、セリフのバランス


しかし、特に着目すべき点は、「テンプレとご都合を読み手に容認させる」設定である。


 なろうで嫌われている2大要素は、ご都合とテンプレであるが、「根拠のあるご都合」と「テンプレを活用したつかみ」によって本作は嫌味なく上記の問題を克服している。

少し具体的に書くのであれば、転生という経験を元にご都合を容認し、テンプレをあえて説明することでエンタメに変容させるのだ。

この手法は汎用性が非常に高いと感じた。


 また、作品で使われているテクニックを2例ほどあげるが、その前に昨今の需要について少し目を向けたい。

大雑把にいうと、本より動画で情報を得る人が主流の世の中では「ライトな要素」が重要となる、という話だ。

これはなろうのランキングにも反映されている概念だろう。

そして、「ライトとヘビー」の境界がどこにあるか? とう問いは難しいが、私の見解では「抽象的な社会風刺」の要素がヘビーの入り口であると考える。

ジブリやガンダム等の大作ではよく含まれるものだ。


 以上を踏まえた上で本作に着目すると、「これはヘビー味の薄い作品ですよ!」と序盤に明記している部分がライトさを演出し、特に印象的である。


13話では、以下に一部引用するが、


――

 ふと思った。

 ヤンキー漫画の法則に支配された世界。端的に言って狂ってるけど、悪いことばかりじゃないのでは? と。

 と言うのも、だ。俺の住んでる市は結構な大都市である。

 だがそれを差し引いても中学・高校が多い。

 学校の多さはそれそのまま子供の数に繋がる。


(つまり少子化の解消だ)


 よくよく思い返すとこの世界、少子化問題とか全然聞こえて来ないもんな。

 前世じゃ学校もポンポン統廃合されてさ。

 俺の母校もその憂き目にあって消滅しちまった。

 けどこの世界じゃそんな兆候微塵もない。

 そして少子化が解消されるということは若い働き手が増えるということでもある。

 経済も活発化するし老人も安心して老後を迎えられる……健全な社会だぁ。

 そういう意味では前世よりも良い社会と言えるかもしれない。


(まあヤンキー漫画で社会問題とか取り上げられてもって感じだしな)


 少子高齢化にメスを入れるヤンキー漫画とかもうそれギャグの領域じゃん。

 などと考えているとぽんぽんと肩を叩かれた

――


と書かれている。

前述した「ライトな要素」が重要な世の中であるが、次点で存在するのは、いわゆる「中身がある」を好む層だ。

上の表現は、まさにこのどちらの層にも刺さる説明であり、非常に上手い手法だと感じた。


 また、もう1例のテクニックをあげるとすると、あとがきに書かれる【Tips】という補足説明の部分である。


1話あとがきから以下に引用すると、


――

・煙草

ヤンキーのマストアイテム。常用することで全ステータスに+5のバフがかかる。

レアな洋モクだと数値は更に加増する。

――


という内容で、これは本作の世界観を深めると共に、箸休めとしての効果が期待できる。

まさに、ラノベや漫画で話の区切りで挟まれる「イラスト絵」の様な効果だ。


 以上が特筆すべき点であったが、本作は後半に進むほどシリアスで濃い内容を扱うので、「窓口は広くかつ陳腐すぎない」という点をよく考えられた作品だと感じた。


作品URL:https://ncode.syosetu.com/n0760hl/


感想かいてクレメンス?(╯°□°)╯


ロジャー・クレメンス

元MLBの名投手。名前に似合わず下手に出ることは無く、妻に危険球を投げた事もある。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ