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プロローグ

「やれやれ、今日も終電帰りかね、それなら仮眠室で寝たほうがいいか」


 俺はCADを使って設計図を制作しながら呟いた。


 俺は西田晶にしだあきら


 大手電機メーカーの上下水道施設のポンプ設備の電気回路の設計をしている俺は、下半期の9月から2月はやたらと忙しいが3月から8月ぐらいまでは結構暇だったりする。


 今は忙しい期間で休めるのは日曜くらい。


 始発で会社に来て終電に家に帰るか、仮眠室で寝泊まりするかという生活だ、まあ、生活はそれなりに安定してるし、暇な間は有給休暇も取れるし会社の保養所もあるからそんなに悪くもないけどな。


 まあ実際使う機会があるかどうかは別なわけで、高卒なんで給料は手取りだと低いんだが。


 さらに運動する時間がなくなったのに、高校の時と同じ食事の量を食べて一日黙々とデスクワークをしてるせいでだいぶ太っちまったし……このままだと30代で死ぬよと健康診断でいわれちまった。


 まあ、運動しないとやばいよな、主に中性脂肪の値が。


「さて、今日は寝るか」


 仮眠室の据え付けのシャワーを浴びてから俺は寝ようとした。


「田舎でのんびり畑を耕したり乳をしぼったりしてのんびり暮らしたかったな」


 俺そうつぶやいたとき、何かの声が俺の脳に直接響いた。


『よろしい、その願いかなえよう』


「な、なんだ、なんなんだこれ?」


 俺はその声とともに俺の足元に広がる黒い渦に飲み込まれ、気を失った。


 ・・・


「……い、……い……」


 誰かが俺に声をかけてきてるようだ。


 俺が目を覚ますとその場にいたのは日焼けし赤い肌顔の男だった。


 しかも何人かに取り囲まれている。


 一体どう云う状況だ?


「おい、おまえさん、一体どこからきた?」


 どこからって、そもそもここはどこだ。


 しかも、よくわからんが日本語じゃない気がするぞ。


 なんでかわからないが俺には相手の言ってる意味は理解できるようなんだが。


『ええと、すまないがここは一体どこだ?』


 俺の言葉に男たちが顔を見合わせている。


「ここはエリコの町だ」


 エリコ?聞いたことがあるような無いような?


「で、お前は一体どこから来た?」


 再びの質問に俺は頭を掻きながら答えた。


『正直に言えば俺にもわからん』


 それを聞いた男たちの中の一人が干しレンガで作った家らしき建物に入っていったあと出てきて、俺に質問した男に耳打ちをした。


 男は頷いて俺に言ったんだ。


「わかった、おい、ついてこい」


 家の中にいたのは女性だった。


「あなたはとても変わった格好をしていますね。

 一体どこから来たのですか?」


 どこからって、そもそもここはどこだ。


『済まない、俺自身もどこから来たのかわからないんだ』


「わからない、ですか?」


 彼女は俺の目をじっと見ている、まるで心を見透かそうとするように。


『ああ、すまないが本当にわからないんだ』


 やはり俺の目を見て女性はいったんだ。


「たしかに嘘はいっていないようですね。

 どうやら行く宛もないようですし、この村で暮らされると良いでしょう。

 我々ナトゥーフは貴方を歓迎します」


『ありがとうございます』


 こうやって俺はこの集落の長らしい女性に許可されてこの街で暮らすことになった。


 ここだと女性の方が権力が強いのかね?

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