流氷の悪魔、高寺敦士(こうじ あつし)。
そこのお前。
そうだ、お前だ。
この話が読みたいか?
なら、
うちの猫に餌やってきな。
by 有澤 透真
宣戦布告から一日が経過していた。
今日は俺、日菜、英里、敦士の4人で学校帰りに某ファーストフード店に来ている。
そこのお前。
そうだ、お前だ。
俺達がどこの店にいるか知りたいか?
なら、
お前の恥ずかしい写真を見せな。
……おぉっ! なんかスゴい写真を持ってきたのがいる!!
ドキドキ……
よし……、いただき。
答えてやろう。
俺達がいるのは、シェイクがやたら吸いづらいあの店だ。
敦士は二人がダイエットで争ってることを知っている。
……にも関わらず、変態サディストは意地悪な程に注文を繰り返す。
オイオイ……、
ハンバーガー九つと、チキンナゲット十箱と、ポテト八つと、ジュース七つって一人で食う量じゃないだろ……。
四人でチャレンジしても厳しいぞ。
それを全部完食できたら麗央ちゃん特製のせくしぃブリーフをプレゼントしてやる。
バックプリントの文字は、
『浸水区域』
だ。
誰だ! 今、『いらな〜い』って言った不届き者は!!
発酵させるぞ!
……アッ! みんながいないっ!
「麗ー央ー! 何突っ立ってるのさぁ!」
敦士が呼んで、俺はようやく席に着いた。
俺の両サイドが腹の音でデュエットしてる。
敦士、可哀想だから早く食っちゃえよ、目の前の盛り合わせ。
ん? ハンバーガーみんなに差し出してどうする……。
「今日は俺のオ・ゴ・リッ!」
うわぁー!!
最っっっ低だ、この男!
すっげえ楽しそうな顔してる!!
ワッ! 日菜と英里の目がうつろだ!
……ん? 敦士が鞄から何か紙を出して……。
「二人ともダイエット中なんだよね! ハイ! カロリー表持ってきたから!」
あ〜つ〜し〜ッ!!
悶々とする俺の両端で、カロリー表に我先にとガッつく二人。
二人は同時に引っ張って掴み合い。
挟まれてます、俺。
洗濯機に入って脱水してもらってるような気分……。
「あたしが先に取ったんだよ、この浮気女ーッ!!」
「私が先だってば!この凶暴鬼畜娘ー!!」
……英里、スバラシイ、模範解答だ。
俺の前でカロリー表を奪い合う二人に敦士がもう一つカロリー表を出す。
「あっ、ごめん! もう一つあったの忘れてたぁ!」
……このクリオネ男。
二人はカロリー表を血眼で見て一番カロリーの低いハンバーガーを探してる。
そしてやっぱりそのハンバーガーもガッチリ掴み合い。
ちょ、ちょっと!
中身出てる!
しかも俺の頭にマヨネーズっぽいのが零れ落ちてるし!
頭臭うから!
……しょうがない! もう止めよう!
「こら、二人とも止めろ!! 周りに迷惑だろっ!」
「どけっつってんだよ!」
ーーバキッ!!
あぅッ!!
日菜の撲殺攻撃くらった!
「麗央のこと殴ったわね!」
待て待て待て待て!
爆薬庫に自分から突っ込むな、英里!!
とにかく英里を押さえる俺。
「日菜っ!」
敦士が日菜にナゲットを手渡してる!
日菜がナゲット爆弾を鷲掴みにして俺と英里に投げつけてきた!
い、痛熱いっ!
揚げたてだ、コレ!
バーベキューソースはどこだッ!!
「英里っ!」
うわッ! 今度は英里にジュースのフタご丁寧に取ってパスしてる!!
「痛いじゃないの!!」
ーーバシャア!
ギャアァァ、冷たいじゃないのぉ!!
英里、俺にしか掛かってないから!
しかも炭酸飲料を顔面に……!
顔がシュワシュワだ!
うまい具合に汚れが落ちそう!
「鬼は外っ!」
敦士ッ!!
お前、なに笑いながら飛び入り参加してんだよ!!
ポテトの塩分が目にしみるっつーに!
しかも鬼はオメーだ敦士!!
うあぁぁぁもう!
ーー10分後
ポックリ叱られた俺達……。
被害者の俺まで……
そして俺は家路に着く。
が。
オイ。
これはどういうことだ?
玄関にマイ枕持った敦士とその他二名。
その他は言わなくてもわかる。
「はーい! 麗央んちにみんなでお泊まりに来たよー!」
……敦士。
北海道の海に帰ってくれ。
いつも生意気な口叩いてスイマセン……
皆さん、愛してます。




