24 魔王の一部がピラミッド。
1層の調整も終わったことだし、まったりしようかってことで隠れ家カフェに移動することにした。
茶屋魔法ではなくセーフエリアの魔改造なので、少し広くなってるよ。ここで調理も可能です。
魔法の空間じゃないから隠れ成分は皆無になり申した。
「ナポリタンでも作ろうかな」
「いいですね! ならば私はポテサラを用意しましょう」
材料をインベントリから出して並べていると、エプロンを着けるリゼッタに気付いた……。
こ、こんなの日曜の昼食を一緒に作る新婚さんじゃが!?
ニコニコリゼッタはこの事実にまだ気付いてないようだけど、僕の心臓はすでにウッキウキでうるさくなっていた。
材料を出しただけだというのに。
おかしいな?
小学生でももっとマシな気がするんだけど!?
「ゾンビ化解除セットがさ、ラブコメ機能を搭載してる疑惑あり」
「ふふっ、なんですかエリュシオン様。自作の魔法でありましょう?」
「そういえばそうだった。そんな機能は付けてないや」
つまり僕の恋愛脳は小学生以下の可能性ありということで。
悲しい現実だけど事実を受け止め、お湯を沸かし始める。ちょっとばかりチビッ子になってるから、寸胴鍋と流しの位置は難しいな。
ダンジョン作ったときのデバフがまだ残ってるんだよね。能力値的には回復してきてるけど、背はまだ低いままなので踏み台が必要か。
防護魔法で物理をブロックすれば乗れるな。
「っしょっと」
「クッ」
「うん?」
リゼッタがなにか……?
「いえいえ、お気になさらずともよいのです」
これでも魔王です。
視線の動きとか、気配の配り方とか、高性能な僕のボディが感知するのです。
僕はどうやら可愛らしい動きをしていたと理解した。
うんしょ、うんしょ、に悶えるリゼッタってことだった。
そういうのもっと欲しいとか聞こえたし。
ほしがりさんめぇ。
だがこれで終わりではなかったんだ。
「お、お手伝いするであります」
そう言ってリゼッタが後ろから鍋をッ。
というか僕ごとッ。
バックハグと手を握るのと耳元で魅惑のボイス付きな感じに。
「ゆっくりコンロまで……いきましょう」
「う、うん」
さらにはいい匂いとぷにょが追加されている。
そんな神イベントが始まってしまった。
「リ、リゼッタ」
あ、まずいかも?
ピラミッド型防護魔法展開!!
「危うくとろける所だったんだけど……」
比喩でもなんでもなく物理的に。
だ、だって歩くと、その、さ。背中のぷにぷにが、さ?
「危機一髪でありましたか?」
「リゼッタのせいだからね?」
「ふふふっ。お悦びいただけたようで、なによりであります」
とろけるような笑顔。
絶対ちっこい魔王を堪能してやがる!
前に愛らしい少年のようだって言ってたし、今はさらに若干の幼さまで追加されてるような状態だからな。
「エリュシオン様はえっちでありますな」
「ち、違うしっ」
だがしかし、感触を堪能してしまった僕は、分かりやすーい反応が出てたので、違わないのがバレバレだった。
魔王の一部がピラミッド。
「いや、お互い様かな?」
リゼッタだって僕とくっ付いて、邪な鼻息が出てるからな!
まったく!
恥ずかしそうにしてるけど、リゼッタだってえっちでありますぞ?
でもお互い様なので、僕たちは新婚さんのようなことをした。
料理中に手をつないだり、ちゅっちゅしたり。
ぎゅーっと抱き付いてみたり、大人な深めのキスをしてみたり。
そんなことをしてたらお湯が吹きこぼれてしまった。
あっという間のイチャイチャだったけど、多分これは新婚さん的なことだと思う。
やはりピラミッドパワーの増幅を狙っていくしかないようだね。
僕たちはこれ以上を目指しているのだから。
なんとか食事を完成させて、食べながら雑談というか相談というか。直近で儲けられそうななのは勇者だよね、みたいな話になった。
「勇者界隈でウチのダンジョン、流行って欲しいよな」
やっぱDP的にも勇者はオイシかったから、ヤツらに期待するしかないね。今の時代だと、魔王たちは入って来なさそうだしな。
そういう面でも魔界勢は微妙ということになった……。
「僕たちだけ突出してるのかな?」
「かもしれませぬ。エリュシオン様の魔法の力は遥か高みにありますがゆえ」
「ゾンビ化解除セットは、やっぱ異常に高性能なのかもね」
「はい。ゾンビが元の身体よりも高い能力を発揮しておりますので」
やはりパワーだな、パワー。
何事もパワーが全てを解決する。
僕たちのは全部、不思議系パワーだけど。
根っこにあるのがピラミッドパワーだしね。
「しかしなあ、ダンジョンを巨大化させるだけじゃ芸がないような気がしている」
「巨大なピラミッドが神の峡谷に浮いているというのは、とても迫力があると思うでありますが」
「それはそうなんだけどね」
うーん……逆さピラミッドも融合したような形にしようかな?
うん?
いい考えでは?
「六芒星型というか。立体の。凄くイイ考えな気がする」
中央に置いてある玄室に当たる部分が二重に強化されそうだし。
「やはり勇者が鍵になりそうだ」
「ガーデンコアの奪取でありますな?」
「そうそう」
「未来のために糧となってもらいましょう!」
顔が赤いので、この発言の頭には「私たちの」が入ると僕は確信したので、僕は力強くうなずいた。
「ああ、がんばろう!」
そして僕には可能性を信じて行いたいイベントがあるのだ。
さっきはイケた。
ダンジョンのピラミッドパワーに防護魔法でブースト。
「え、英気を養うために温泉でまったりも……よい案だと思うのだけど」
「エッ、エッ、エリュシオン様の御背中、今宵こそお流しいたしましょうぞ!!」
「み、水着を着てたらイケるよな?」
「おそらくっ」
比較的ピラミッドの真ん中に配置してあるのは、色々あるからだ。
い、色々なっ。
予定ではなっ。
「こっ、恋人的なイベントはどんどんやっていきたいのだ」
「異議はもちろん、なしであります!!」
温泉イベは成功した。
髪の毛をお互いに洗ったり、御背中流しもお互いにしたり。
「当たってる……よ?」
「……はい」
こんなことまでしてくれた。
僕たちは、また一歩ステージを進めることに成功したのだ。
水着とはいえ、ほぼほぼ裸に触れるという行為。
確実に、進んだのだ!
当たってたし、当たってしまったし、色々と限界を迎えそうではあったんだけどな。
ここから先は……まだムリだ。
さらに高出力のピラミッドパワーが必要になるのは知っている。




