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宰相、このことはご内密に! 〜闇医者の宮廷医ですが宰相にバレて密約交わしました〜  作者: たかつじ楓@ネトコン13受賞!


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第1章 宮廷医の理想と現実 1、平和が一番だけれど


手の甲や腕に無数に刻まれた痛々しい古傷も。


光に当たると紫色のアメジストのように輝く瞳も。


本当は誰のことも信用していない仄暗く頑なな心も。


きっと私しか知らない。


彼は人差し指でを口元に添えて、薄い唇を開き、低い声で呟く。



「このことは、誰にも言ってはいけないよ」



それが彼と私との、二人だけの密約。




宰相、このことはご内密に!

〜完璧な彼と宮廷医の私の密約〜





第一章 宮廷での華やかな生活、カレンの理想と現実



レザンヌ王国の中心に位置する王都、その宮廷の朝は早い。


床には赤い絨毯が敷かれ、照明はシャンデリア。

歴代の皇帝の肖像画が飾られた豪華絢爛な広間で、今日も朝の会議が開かれる。



「おはようございます、本日も皆様が怪我、事故なく過ごせるよう努めましょう」


「はい、カレン先生!」



その中心に立っているのは、金髪の長い髪に、白衣を着た若い女性だ。


カレン先生と呼ばれた彼女は、にっこりと優しく微笑むと、



「それでは、定期回診からいたします。まずは二階の部屋から順番に回りましょう」



と部下である看護師や使用人たちに告げ、頷いた。



カレン・フォーニエ。

伯爵家の由緒正しき家柄から、医療学校に六年通い首席で合格、今年の春からレザンヌ王国宮廷の宮廷医として働くことになった、優秀な医師である。


宮廷医は役職付き責任ある職務のためなかなか空きが出ず、若い女性が任命されるのは非常に珍しい。


スラリと高い背に、知的で意思の強そうな翡翠色の瞳。テキパキと的確に指示を出すその姿に、部下の女性たちの中にも憧れの目で彼女のことを見ている者も多い。


様々な薬や消毒液が入った薬箱を持ち、宮廷医として回診に向かおうとした時、



「カレン、カレンはどこにいるの!?」



という、甲高い叫び声が廊下に響いていた。


朝のミーティング中のカレンはその声に驚き、廊下のドアを開け声の主を探す。



「お嬢様、私はこちらです」


「もう、そんなとこにいたの。探したんだから!」



ぷんぷんと口を尖らしてカレンに駆け寄ってきたのは、まだ十五歳の若き少女。


皇帝の娘であり、この国の王女でもあるクロエ王女だ。


メイドや看護師たちは一斉に頭を下げ、ミルクティーブラウンの髪を巻き、リボンとフリルのついたドレスを身に纏ったクロエを恭しく対応する。


「どうされましたか、クロエお嬢様」

「カレン助けて、今すぐ薬作って!」


思春期特有のわがままさで、クロエ王女は自分の口元を指さした。

唇の下の顎のあたり、白い肌の中に一際目立つ、赤い吹き出物がある。


「これは……ニキビですね」


カレンがクロエ王女の顔をまじまじと覗き込みながら、虫刺されや他の皮膚病じゃないことを確認して告げる。


「やっぱり? 最悪。

数日後に舞踏会があるのに、こんな顔じゃ出席できないわぁ!」


恥ずかしそうに顔を覆い、大袈裟に言うと、次の瞬間クロエ王女はポロポロと涙を流し出した。


不意に泣き始めた王女に、看護師も使用人たちも驚き、右往左往している。


しかしカレンは至極冷静に患部を見つめた後、


「クロエお嬢様、最近たくさんお菓子を食べたりしましたか?」


と尋ねる。



「ええと……ひっく……一昨日お茶会があったからその時に……ケーキとマカロンを」


「どのくらいですか?」


「ケーキ二つに……マカロン四つ……あとフィナンシェとカヌレ……」



急にモゴモゴと口ごもったクロエ王女にカレンは深く頷くと、白衣の内ポケットから薬を取り出し手渡した。


「甘いものの食べ過ぎですね。砂糖の余剰摂取は肌荒れの原因です。

血糖値の上昇で肥満や高血圧の原因にもなります。

食べるにしても昼食が終わったあと、小さいケーキ一つぐらいにしましょう。

フルーツであればビタミンも取れるのでおすすめです」


宮廷医のカレンは、冷静な口調でクロエ王女に告げる。


「こちらはカモミールと甘草を混ぜた軟膏です。

朝起きて顔を洗った後と、夜湯浴みの後、清潔な時に一日二回患部に塗ってください。

後は夜更かしせず三食の食事を栄養バランスよくとりましょう」


カレンの適確な指示に、クロエ王女は一日二回、清潔にして、夜更かししない、と反復する。


「……言う通りにすれば、舞踏会までに治るかしら?」


と、不安そうに瞳を潤ませるクロエ王女に、


「ええ、きっと治りますよ」


優しく微笑む宮廷医のカレン。

さっきまでメソメソと泣いていたクロエ王女が、その言葉に勇気付けられたのかパッと表情を明るくし、ドレスの裾を翻した。


「わかった、ありがと!」


と薬を持って自分の部屋へと走って戻っていったのだ。


急な王女の来訪に困惑していたが、部下達の顔に安堵の色が浮かぶ。


最高権威のレザンヌ皇帝の可愛い娘の機嫌を損ねたら、すぐに宮廷を追い出されて無職になってしまうだろうから、いち職員達の緊張感は半端ない。


このように、すぐ皇族達の体調問題を解決するので、まだ宮廷入りして数ヶ月だいうのに、カレンの宮廷医としての信頼は厚かった。


カレンは朝のミーティング中だった部下達に向き直ると、


「それでは、今日も元気に参りましょう」


と、金髪をなびかせてにっこり笑うのであった。


宮廷医の明るいヒロイン×謎めく宰相ヒーローの、密約ロマンスの始まりです!

どうぞよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
新連載おめでとうございます! あらすじから面白そうですワクワクです(*^◯^*) 楽しく読ませていただきます♫
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