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第六話 ぽっちゃり系魔王

「ペランちゃーん、ご飯よ」


「おう、待ってたブヒ」


「ペランちゃん?」


「どうしたブヒか?」


 俺を見ながら怪訝そうな表情を浮かべるエーレ。俺の顔になにかついているブヒかな?


「ちょっと太った?」


「何を言ってるブヒか。そんことあるわけ」


「ほい、手鏡」


 鏡を見るとまるまる太った男がそこに居たブヒ。


「誰だ、コイツは! ん~、それとも特殊な鏡ブヒか?」


「それペランちゃんよ」


「ええ!」


 あ、よく見るとこの男の上に数字がある。コイツは俺ブヒ!


「そっかぁ、1日中王座に座ってるだけだからね」


「エーレが作る飯がうまいからな。それもあるブヒ」


「そ、そんなこと」


「ま、とにかく何とかしないと。本当は武器トレーニングが実戦でも使えるから一番いいんだけど1.5メートル制限があるのよねぇ。うーん」


 エーレは俺のふくよかなお腹をペチぺと叩きながらブツブツと考え事を。


「そうだ、王座でトレーニングできるようにすれば」


「ちょっと業者さんを呼んでくるわ」


 2時間後。業者を引き連れエーレが戻ってきた。


「なるほど、王座に居ながらトレーニングできるように、と」


「はい。いつも無理難題をふっかけて申し訳ありません」


「いえいえ。実はあなた方の依頼はいつも我々の常識を覆すものばかりで、モノ作りをする者としては非常に新鮮で楽しいんですよ」


「そういうものなんですか」


「同じものばかり数百個作成とか考えるだけでもきついでしょ」


「それは辛いですね」


「あっと、お話がずれました。ではどんな物がいいか、アイデアを出し合いましょう」


 俺とエーレ、業者さん数人とトレーニング式王座のアイデアを出し合うことに。


「やはりお腹まわりが」


「体力もつけたいですね」


 2時間後。


「これでいきましょう。では作ってきます」


「お願いします」


 3週間後。


「お待たせしました。トレーニング用王座、完成しました」


 今までの王座よりかなり大きい。


「デカイね」


「複合式でこれ一つで色々できるんですよ」


「へぇ、そいつは便利だな。流石」


「いつもより大きいですが移動は一度通り楽々、もちろん取り替えも」


「ふむふむ」


「カチッ」


「はい、取り替えました」


「では機能を説明しますね。お座りください」


「まずは顔の横側にある穴に手を突っ込んでみてください」


「ふむふむ、ここかな」


「その状態で、抱え込むように力を入れてみてください」


「うむ。お、おほ。これは」


 手を突っ込んだ部分が、俺を中心として円を描くように前方に。


「これを使うと女性、奥様うっとりの胸板が完成します」


「素敵!」


「ここでおもりを調整できます」


「おほ。きつくなった」


「これで奥様うっとり度もはね上りますよ」


「はい、次は脚を鍛える器具です。このボタンを押してください」


「ポチッと」


 王座から足元に棒のようなものが生えた。


「これを足ですくって持ち上げると」


「なるほどなるほど、わかるよ」


 他いくつかの機能を説明してくれる業者さん。


「もう一つ王座を作ってきました。ランニング式王座です。本当はこちらの王座に組み込みたかったんですがどうしても無理だったんで」


「ハハハ、問題ないですよ」


「それから少々特殊なものでして、これは魔力を必要とします」


「ふむふむ?」


「この水晶に魔力を注ぎます」


「エーレやってみてくれ」


「はーい」


 水晶に魔力を注入するエーレ。


「後はスイッチオンでベルトが回り始めます。もちろんスピードも調整できます。お好みの速さでどうぞ」


「おお、すごい! 床が動いている!」


「この上を走るのね。へぇ、どうなってるんですかこれ」


「すみません企業秘密で」


「はは、まあ聞いてもわからんだろうし」


「疲れたら後ろの王座で休めますよ」


「か、完璧!」


「いやいや、今回もいいものでしたよ」


「そう言ってもらえると職人冥利に尽きます」


「では私達はこれで」


「お疲れさまでした」


 1ヶ月後。


「ダッダッ」


「ふー、こんなもんか。トレーニング終わりっと」


「もう前の体型に戻ったわね」


「元々痩せ型だタイプだからな。さすがに全く動かなかったから太ったけど」


「そうね」


「飯ちょうだい!」


「ハイハイ」

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