ながれ星の行方 3
耳の奥で音がした。
なんの前触れもなく鳴ったから、それが花火の音だなんて気づくわけがなかった。
「いや~やっと終わったね!お疲れさま~!」
その合図とともにみんながガヤガヤと騒ぎだす。外の花火を書き消すほどに、歓声はどんどん大きくなっていった。
「プラネタリウム、すごい人気だったね!」
「まぁ秋と言えばみたいなところあるしね。星座とかもこだわってるんでしょ?」
片付けを進めながら女子たちが話しているのが聞こえた。その足元には、みんなで作った黒い布が置かれている。
……織姫と彦星。今日のプラネタリウムのメインで作られたそれは、俺が一番に作りたいと思ったものだった。
「ほらほら、話してないで片付けしろ~」
「あの……先生」
たいして物語も知らない。思い入れだってないのに、それを作ったのにはちゃんと理由がある。
「その布、もらってい?いですか」
先生はきょとんとしたが、「お前も珍しく頑張ったからな!」と快く渡してくれた。汚さないように大事にバックにいれる。あとで、病院にいかないと。
「……よーし、片付け終わったな?じゃあ気をつけて帰れよ~!」
その言葉を合図に、教室は空っぽになった。あんなに時間をかけて準備をしたのに、少し寂しかった。
星空の下を、ただひたすらに歩いていく。
ーー流石に今からは無理だろうな
ーー明日会いに行こう。
そんなことばかり考えている。
結局ここ数日間、美季と会うことはなかった。それこそ最初は自分から避けていたけど、千秋祭の準備が忙しいというのもあった。そしてその期間で……やっぱり美季といたい。という気持ちが出てきていた。所詮人と人の関係なんだ。多少分からないことがあってもいいじゃないか。そう結論付けた。
俺はふと、いつもは通っていない道を行くことにした。たしかこっちは、あの公園に繋がっていたはずだ。
狭い道をなんとか通りながら、神野に電話をかける。文化祭が終わるまえに引っ越してしまったから、終わったら電話でもしようと思っていたのだ。
『……おーもしもし?』
3回くらいコールして、やっと神野はでた。時間が時間だから、まあしょうがないだろう。
「久し振り、そっちの生活には慣れた?」
『まだ2日目だよ?なれるわけないじゃん~。そっちはなに?やっと文化祭終わったの?』
「ああ、ついさっき終わった」
『そっかー、お疲れさま』
あまり手入れされてない道を抜けて大通りに出る。頭の上には、星空が盛大にひろがっていた。
『あれ、もしかして外にいるの?』
「ん?ああそうだけど……」
『そっか、もう暗いから気を付けろよ?』
「なんだよそれ、分かってるわ」
神野らしからぬ声で言ってくるものだから何事かと思った。そのぶん心配してくれてるということなのだろうが、俺は小学生か。
「それじゃあそろそろ切るな。そっちでも頑張って」
『ああ、また暇だったら電話してくれ~』
話しているうちにようやく公園にたどり着いた。いつか見たときと同じベンチに座って辺りを見渡す。
「………やっぱり、どこかで見た覚えあるんだよなぁ」
演出とはいえ整えられすぎた景色を見ていると、不思議と懐かしい感じがした。考えながら背中をんー……と伸ばすと、ほんの一瞬だけ、流れ星が瞬いた。なんとなく文化祭で使った布を広げて、空にかざしてみる。
「………まあ、いっか」
夜空に同化した黒い布からは、彦星が見えただけだった。
翌日、着信音で目が覚めた。神野とかかれた画面を見て正直また寝ようかと考えたが、一応内容だけでも見ておくことにした。そこにはただ1文で、こう書かれていた。
…………美季の容態が悪化したらしい、と




