↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ファンタジーなのに攻撃魔法が使えない  作者: 三好 幸人
1章 『冒険』
36/38

34話「鑑定と換金」



――バルカン王国――



「つ、謹んで申し上げます!」


 男は平伏すように首を垂れる。


「わ、わが国の魔導士2個小隊が壊滅。現地の盗賊団と共に、ヴァルツリッヒ皇国の、ほ、捕虜となった模様。わ、我々も万全を期するべく『ドラゴン』を配置しておりましたが、敵もかなりの手練れを用意していたようでして――」


 汗を拭いながら必死に説明を続ける男に対し、王は結論を急かした。 


「で?」


「は、はっ! わ、我が部隊の奮闘も虚しく、く、クロコ遺跡の『宝具』が強奪されまし――」


 ズキューン!


 一発の銃声・・が王の間に木霊し、喋っていた男が絶命した。


 場が静まり返る中、男を殺めた王だけは顔色一つ変えず玉座に鎮座していた。


 恐怖に慄いた側近や官僚たちは、わが身に火の粉が降りかからぬよう必死に息を殺す。


「ちっ、やっとの思いで位置が割り出せたってのに。おい! 『勇者』の文字が解読されたという情報は?」


 最も傍に控えていた老公が即座に答えた。


「お、恐れながら、難解極まる『勇者』の文字が解読されたという情報は一切入っておりませぬ」


「くそっ、じゃあ『日本人』が現れたってことじゃねぇかよ」


 王は数舜考え込むと配下に命令を下した。


「『フリージア』ってギルドのメンバーを調べろ。それから、黒髪の人間や『宝具』に関する情報を集めて来い!」


「ぎょ、御意!」



――三日月亭――



「さて、荷物の片づけも終わったし、スキルポイントで新しい能力でも覚えるかな」


 『フリージア』のギルドホームで手厚い看病(?)を受けた僕は、今朝方『三日月亭』に帰ってきた。捕虜を憲兵に引き渡し、現在『フリージア』は休養中である。


 荷物の片づけを終え、一息ついたところでステータスウィンドウとにらめっこを始める。目覚めてから何度も確認をしたが、やはり壮観である。


 ステータスオープン。


名前:マサキ

性別:男

ジョブ:剣豪、治癒師、勇者


スキルポイント:5762

HP:100/100

MP:175/175

STR(力):30

INT(知力):5

DEF(防御):30

AGL(敏捷):60

DEX(器用):5  

スキル:回復魔法、魔法阻害、剣豪、召喚魔法、生活魔法、隠蔽、昇天



「ふっふっふ。これだけのスキルポイント。どうしてくれよう。ふっふっふ……」


 僕はスキルポイントの使途について思案する。


 まずはステータスを強化したい。今回の旅ではMP不足を痛感した。ドラゴンとの死闘もかなりぎりぎりだった。


 また、スキルに関しては以前から欲しかった【鑑定】を習得しようと思う。日常でも戦闘でも利便性はかなり高い。



【鑑定】――【アビリティ鑑定】:30pt

    |

    |―【ステータス鑑定】:50pt

    |

    |―【アイテム鑑定】:10pt

    |

    |―【パーソナル鑑定】:20pt



名前:マサキ

性別:男

ジョブ:剣豪、治癒師、勇者


スキルポイント:5762 → 5157

HP:100/100 → 200/200

MP:175/175 → 200/200

STR(力):30 → 100

INT(知力):5 → 100

DEF(防御):30 → 100

AGL(敏捷):60 → 100

DEX(器用):5 → 100  

スキル:回復魔法、魔法阻害、剣豪、召喚魔法、生活魔法、隠蔽、昇天、【NEW】鑑定



 ステータス強化に495、鑑定スキルに110のスキルポイントつぎ込んだが、まだスキルポイントは5000以上残っている。


「残り5000か。ステータス強化には多すぎるな……」


 強さも魅力的だが、敵がいないのに強くなりすぎてもしょうがない。


「勇者が持っていた【創造クリエイト】と【刻印】はどうだろう……」



創造クリエイト】――【建造】:1000pt

     |

     |―【製造】:1000pt

     |

     |―【模造】:1000pt



【刻印】――【封】:100pt

    |

    |―【式】:300pt

    |

    |―【刷】:20pt

    |

    |―【呪】:500pt



「なんか【刻印】って中二病っぽい……。名前からして『勇者』が持っていたのは、【製造】、【封】、【式】かな?」


 大体の能力内容は予想がつくが、【呪】ってなんだ?


 呪いを刻むって怖くね……?


「『勇者』が持っていた【式】は便利そう……。要はプログラミングみたいな感じ? 『宝具』に『日本語』の安全装置を付けてたし。そう考えると、ロボットと冒険者カードも【式】くさいな」


 あれこれ夢を膨らませたが、取得は一旦保留とした。衝動的な消費が最も怖い。


「取り合えず【鑑定】を試してみよう」


 自分を【鑑定】してみる。



名前:マサキ

人種:人間

性別:男

年齢:18歳

身長:169cm

体重:58kg

出身:異世界

ジョブ:剣豪、治癒師、勇者


【剣豪】

戦闘時にSTR(力)、AGL(敏捷)が大幅上昇。代償として攻撃魔法は(・・・・・)一切使用不可(・・・・・・)


【治癒師】

MP回復速度が上昇。回復魔法使用時の魔力消費が半減。


【勇者】

戦闘時に全ステータスが上昇。



「………………ん? 見間違いかな?」


 目に留まったのは【剣豪】ジョブに記載されていた一言である。


 目をこすってもう一回見る。


『代償として攻撃魔法は(・・・・・)一切使用不可(・・・・・・)


「………………う、嘘だろ!?」


 僕は咄嗟に攻撃魔法のスキルを獲得したいと念じる。



【属性魔法】――【炎魔法】:不可

      |

      |―【水魔法】:不可

      |

      |―【土魔法】:不可

      |

      |―【風魔法】:不可


 

「……」


 絶句である。


 『メラ〇ーマ』とか『イオ〇ズン』できないの?


 まじで?


「……」


 そんなバナナ!


 攻撃魔法が使いたい!攻撃魔法が(略


 不可


 不可


 不可


 不可


 その後も攻撃魔法っぽいスキルを獲得したいと念じ続けるが、ブザー音とともに不可の文字が浮かび上がるばかりである。【剣豪】を外すことができないか試したが、それも駄目だった。


「つ、詰んだ……」


 ガクッと項垂れた。旅先の風呂場でオリヴィアさんとニーナさんが攻撃魔法を使ったのを見たが、カッコよかった。だが、僕には使えない。


 スキルポイントで取得できるものと思っていたのだが、まさかの事態である。


 ……。


「ふっ……いいだろう! 攻撃魔法なんて時代遅れにしてやる! ノーモア攻撃魔法だ! ちくしょおおおおお」


 攻撃魔法なんぞ使えなくたってこの世界で生きていける。


 それにはまず金だ。


 『マジックバック』に入ったままの『ドラゴン』を換金しよう。きっと良い値がつくはずだ。


 僕は攻撃魔法が使えなかった憂さ晴らしをするかのように冒険者ギルドへ向かった。


『歓楽区』→『冒険者区』



――冒険者ギルド――



「『ドラゴン』を換金してくださいな」


 僕は冒険者ギルドに到着すると受付のエマに換金のお願いをした。


「大変申し訳ございません。冒険者ギルドでの悪戯や迷惑行為はご遠慮頂いております。大変恐縮ではございますが、おととい来やがれでございます」


 ん?途中まではいい感じだったのに、最後の方、凄く雑じゃなかったか?


「換金してくださいな」


 僕はめげずお願いする。換金してもらわないとお金無いんだよ。


「…………ちっ」


 ――っ!?


「今、『ちっ』って言った? 『ちっ』って言ったよね?」


「……言ってません」


 エマは笑顔を崩さない。


「ま、『ドラゴン』を討伐したなんて『フリージア』の皆にも信じて貰えなかったし、いいけど。モンスターの換金は行ってるんだよね?」


「勿論でございます。多少の換金手数料は頂いておりますが、相場での買い取りを行っております」


「もうトカゲのモンスターとかの認識でいいから換金をお願いします」


 エマが席を立つと、換金所へ僕を案内してくれた。


 冒険者ギルドの裏手がモンスターの解体場及び換金所となっている。広さは一般的な学校のグランドくらいか。テラスのような造りになっており、屋根の下では冒険者や鍛冶屋と思しき者がモンスターから剝ぎ取った部位の売買に勤しんでいる。屋根の無い開けた場所では、大型モンスターの解体が行われていた。


「こちらがモンスターの換金所になります。大型モンスターであれば、あのように解体して部位ごとに販売されます。食用のモンスターであれば、肉がバラ売りされます。全く売る価値の無いモンスターでも、危険種の場合は冒険者ギルドで買い取りを行い、処分をしております」


「ふーん。で、僕はどこにトカゲ出せばいいの?」


「大きさはいか程でしょうか? トカゲ種であれば解体せずとも――」


「とりあえず一番広い場所で出したいなぁ」


「……」


 胡散臭そうな目で見て来るエマを無視し、僕は屋根のないグランドの方へと足を運んだ。


「この辺りでいいかな……」


「何もこんなところで出さなくても……。また戻らなくちゃいけないのに……」


 『ドラゴン』をあんな狭いところでは出せない。


 僕は十分に広さが確保されたところで『マジックバック』から『ドラゴン』を出した。


 エマの目の鼻の先に『ドラゴン』の頭を出すという大サービス付きだ。


「きゃあああああああああああああああああああああ!!」


 エマが絶叫すると、力が抜けたようにその場にへたり込んだ。


 よく見ればエマの足元が湿っているのだが、言わぬが仏だろう。


「ど、ドラゴンだああああああああああああ!」「ぼ、冒険者を呼べ! 緊急事態だ! こんな街中に突然現れるなんてどういうこった!?」「憲兵にも報告しろ! 住人にも被害が出かねんぞ!」


 やべ。


 思った以上に混乱を招いてしまった。急いで『ドラゴン』が死んでいることを伝えると、恐る恐るその場に居合わせた者たちが近づいてきた。


「す、すげぇ、これがドラゴンかよ。俺初めて見たわ」「どうやって仕留めたんじゃ? 鱗に怪我らしき箇所が見当たらんぞ」「こりゃあ、取引所が荒れるな……」


 結局、冒険者ギルドでの買い取りは難しいと判断され、競売にかけられることになった。さっそく競りにかけられ、落札が決まると即金で金貨が渡された。


 その額、なんと金貨500枚である!


 状態の良さと『ドラゴン』という希少さが評価を押し上げ、値が吊り上がった格好だ。『ドラゴン』は頭から尻尾まで武器やマジックアイテムなどの素材になり、肉は超高級品として貴族の食卓に上がるのだとか。

 

 冒険者ランクも上がった。ランクFからBに飛び級である。ドラゴンを倒しておいてランクB未満はあり得ないと冒険者ギルドのお偉いさんたちが判断したようだ。また、『ドラゴン』が最近告示された危険種と同一であることが認定され、討伐の報奨金として金貨50枚を貰った。



◇◆◇◆◇冒険者カード◇◆◇◆◇


氏名:マサキ


ランク:B


職種:治癒師ヒーラー


年齢:18歳


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「冒険者ランクとかはどうでもいいけど、金貨550枚か……。これは家を買うしかないな! 夢のマイホーム! ついでにメイドを雇おう。獣耳の可愛い子がいいな」


 攻撃魔法が使えない悲しみを忘れるため、そして夢の生活を手に入れるための一歩を僕は歩み出した。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。