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雪が消した遠吠え  作者: 海が好き
第二章 戦場での戦い編
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激戦地

 ・・・ダイアがまさかあんなに泣くとは思わなかった…正直ボカ・デ・ルポを出るのはかなり迷ったがこれも家のため家族の為…あいつらはまだ幼い子供だ・・・親父とババアのどっちかが欠けてしまったら…まだ幼いダイアやウルライキ、ウィロウは十分な愛情を受けずに育ってしまう…俺は別に大丈夫だ・・・親父とババアは俺のすることなすことにケチつけてくるからな・・・俺はもう立派な大人になろうとしているというのに…まだ俺の事子ども扱いしやがって・・・そんなんだから…王国の奴らにいいように使われる・・・俺は自分の親族以外がどうなろうが気にしない・・・俺の代でホルケウ家を王国でも最強の一族にしてやる!・・・。

 しばらく馬車に乗っていると一緒に乗ってた奴が俺に話しかけてきた・・・。


 (・・・お前…ホルケウ家の人間だろ・・・ガキのくせに何でこんなとこにいんだよ?)


 (お前も俺と同じガキだろが・・・俺がホルケウ家の人間だからってなんか文句でもあんのかよ?)


 ケンカを売られたと思ったので少し強い口調で返した・・・こいつも俺と同じぐらいの年だろな…そのくせにムウロ・デ・オスキュリタに送られてるってことは・・・おそらくとんでもないことでもしでかしたんだろな・・・。


 (別にお前にケンカ売ってるわけじゃないだろ・・・もう少し落ち着こうぜ……そうだ!自己紹介がまだだったな…俺の名前は’’ベンヌ・ホウサンズ’’・・・ベンヌ家の長男だ!…お前の名前も教えてくれよ)


 えらくなれなれしい奴だと思ったが…まぁ悪い奴ではなさそうだな…足枷と手錠を付けられてることを覗いては・・・まぁ…戦場での生存率を上げるためには仲間も必要だな…。


 (・・・はぁ…俺の名前は’’ホルケウ・マーナガルム’’だ・・・てかお前’’ベンヌ家’’って…フィテモンセ王国の大貴族じゃねーかよ……そんな良いとこの坊ちゃんがなんでこんなとこにいるんだよ?)


 (それは…俺も聞きたいかな…’’ホルケウ家’’ってあれだろ・・・めっちゃ昔の’’勇者殺し’’をした奴…確か名前は・・・’’ホルケウ・ロボ’’だったな・・・何でそんな頭のおかしい一族の人間がここにいるんだ?)


 (質問を質問で返してくんなよ・・・まぁ俺がこの馬車に乗ってる理由は…簡単に言うと家族を守るためだ・・・ムウロ・デ・オスキュリタに行くような普通のクズ野郎共とは違ってしっかり理由があんだよ)


 (クズ野郎って……君って口悪くないか?・・・まぁ…俺も君とは仲良くなりたいしさ…これからよろしく頼むよ・・・あ!そういえば俺がここに来た理由も大体は君と同じだよ…俺も妹を守るためにここに来たんだ!・・・ホントはこんなとこに来たくないよ…俺もさ……)


 (・・・なんだ…お前もそんな感じかよ…まぁ…あれだよな…長男ってのはいろいろと辛いよな…最初に生まれてくるから…なんでも実験体みたいな感じにさせられるからな……しかも下の奴の面倒も見ないといけねーからな…お前も長男ならなんとなくわかるだろ…’’家名’’を背負う重圧ってのが・・・)


 (俺も君の言ったことには全部納得してしまいそうだよ・・・けど弟や妹は可愛いもんだろ…あいつらのために何でも’’最初’’ってもんはやってやらないと…あいつらが将来困っちまうだろ・・・それにさ…頼られたら断れないだろ…俺だってホントはこんなとこから早く帰りたいと思うけど…俺もあいつらの為なら頑張れる気がするしな・・・)


 ポジティブなのかネガティブなのかよくわからんが・・・確かにこいつの言う通りだ…俺達は長男だからとかそんな理由じゃない…あいつらのためにできることは先にやっとかないとな・・・。

 しばらく話をしていると、お互いの家族の話がすごく盛り上がった…話を聞いてると、どうやらこいつは生粋のシスコンで話す内容は大体が妹のことだ・・・こいつには妹が四人いるらしく自分だけが男…しかも長男なのでなんでもよく頼られていたらしい・・・けど俺とホウサンズは長男という立場でよく話が合ったので話に花が咲いた・・・。


 (それでよ…それでよ…セネンの奴さ…俺のことぶん殴った王族に向かって、おもいっきしアツアツの紅茶ぶっかけてよ…なんて兄思いな奴なんだって…俺その場で泣いちまってよ・・・ウ…ウ…ウ)


 (なるほどね・・・お前は妹を庇ってここに来たわけだ・・・てか何で泣いてんだよ!誇らしいじゃないか…自分の妹守ったんだろ…お前は何も悪くないさ…)


 (ありがとな…お前話してみると意外といい奴だな・・・最初は怖かったけど…お前と俺の立場が似すぎて俺もう・・・正直さ…俺怖かったんだよ…俺さ…お前と違ってビビりだしよ…だから妹のこと本能的に庇った時は……正直後悔してたんだ…だって俺達これからムウロ・デ・オスキュリタに行くんだぜ…俺の爺さんもそこで魔族共と戦って死んだしさ…俺も童貞のまま死ぬと思うと・・・ウ…ウ…ウ・・・)


 (お前……面白いな・・・俺はむしろこのクソつまらん馬車の中から脱出したいぐらいだよ…魔族なんか、六歳の頃には一人でぶっ殺してたからな…あいつらは俺達と同じで頭があるからな…あいつらの言ってることは嘘か本当かわからない・・・だから戦場ではたとえ味方だとしても…俺だとしても、信じるのは自分だけにしとけ…)


 (そんな冷たいこと言うなよ・・・もし俺が殺されそうになったら…その時は助けてくれよな・・・)


 (・・・キモイな・・・まぁ、わかった…お前の事…生きた状態で妹に会わせてやるよ・・・)


 そしてちょうど会話が終わろうとした瞬間に俺達の乗っていた馬車が宙に浮きだした・・・もちろん物理的にだ・・・。


 (!?……あぁぁぁぁ!?コロサレルーー!?…お母さんお父さん俺の事生んでくれてありがとう…妹たちのことはよろしく頼むよ・・・)


 (ウルせーぞ!まだ死んだわけじゃないだろが…にしても俺達の馬車が飛んでるってことは前衛の部隊も大抵死んだだろな・・・けど逆に俺にとっては都合がいい・・・)


 (何が都合がいいんだよ!俺達これから死ぬかもしれないだろ!なんでそんなに冷静でいられるんだよ…お前怖すぎだろ!)


 (ごちゃごちゃウルせーな…この馬車つかんでる魔物殺した後にお前も殺すぞ!…いいか…戦場では冷静な奴が最後まで生き残るんだよ!恐怖とか愛情とかそんなの気にしてたらマジで殺されるぞ!)


 (・・・わかったよ…じゃあ俺の足枷と手錠とってくれよ…)


 (わかった…ところでお前’’ベンヌ家’’のとこだろ・・・だったら飛行系の魔術は得意か?)


 (一応…’’ベンヌ家’’秘伝の魔法は全部使える・・・それがどうしたんだ?)


 (わかった・・・じゃあここから飛び降りるぞ・・・行け!)


 そう言って俺はホウサンズのことを外に蹴り飛ばした・・・。


 (あぁぁぁぁぁぁ!?もうわかったよ・・・英雄を救いし大いなる翼を私にお与えください・・・)


 (アーザ・スクウェル《夜の如き翼》)


 魔法を唱えた瞬間に巨大な黒い翼がホウサンズの体に生えて鳥のような怪物に変化した・・・そして、凄まじいスピードで飛行して魔物を切り裂いていく・・・。

 馬車をつかんでいる魔物の他にも飛行系の魔物は全部で二十七体・・・。


 (クッソ!楽しそうだな…ホウサンズ!・・・俺のことも飛ばしてくれ!)


 そして俺も馬車から空にダイブした・・・俺の体をホウサンズが掴むと急加速して魔物の群れに向かって近づいていく・・・。


 (ホウサンズ!俺のことを飛行系の魔物の群れに投げ飛ばしてくれ!)


 (お前正気か!・・・もうどうにでもなれ!)

 

 そしてホウサンズは魔物の群れにめがけて俺の体を投げ飛ばした・・・。


 (今日は鶏肉の日か!お前ら全部…俺が美味しく食べてやるよ!)


 そして鳥のようなモンスターの背中に乗った俺は頭に小型のナイフを突き刺して殺す・・・そして殺した鳥のモンスターを、自身の魔力で操り他の鳥のモンスターを攻撃する・・・そして別の鳥のモンスターにまた乗り換えてモンスターの背中に自作の小型爆弾を仕掛ける・・・爆弾が爆発する瞬間に飛び降りて先程の操っていたモンスターに拾ってもらい、このモンスターの群れのボス’’ガーゴイル’’にめがけて突撃する・・・トラップ魔法を事前に乗っているモンスターに仕掛けて、そのモンスターがぶつかる瞬間に飛び降り’’ガーゴイル’’めがけて自爆特攻をさせる・・・見事にトラップ魔法は発動して’’ガーゴイル’’と周りにいるモンスターすべてを爆発させて焼き尽くした・・・。俺は地面に落ちるスレスレでホウサンズに拾ってもらい何とか地面に着地することができた。

 空からは鳥のようなモンスターが体を焼きながら落ちてくる・・・俺はあのモンスター達を早く食べたくて仕方がなかった・・・。


 (・・・今日は大量だな!あいつらを後で料理してホウサンズにも食わせてやろう!)


 そしてモンスターの落下地点にはちょうど前衛部隊の死体が大量に転がっていた・・・。

 こいつらの持っている武器や物資は貴重だ…全部もらっていこう・・・そしてしばらくするとホウサンズもこちらに来た。


 (・・・なんなんだよ……この死体の数……いったい何があったんだよ!)


 (叫ぶなよ・・・また魔物が寄ってきちまうだろ…それよりも腹減っただろ・・・飯にしようぜ!)

 

 (・・・お前…まさかだとは思うけど…ここの落ちてる魔物食べる気なのか?)


 (は!?…何当たり前のこと言ってんだよ・・・もしかしてお前は食べないのか?)


 (食べるわけないだろが!・・・こいつらのこと食べたら腹をこわす程度じゃすまされないだろ)


 (あーそうだな…じゃあ俺あいつらの事味見してくるわ・・・)


 そして俺は鳥型のモンスターの羽の部分だけをむしり取ってナイフで肉を薄くそぎ…ハムのようにして少しだけ食べてみた・・・これは・・・美味い!……いけるぞ…全然いけるぞ!トラップ魔法の威力を弱めておいて正解だった・・・焼き加減がちょうどいい感じになっている…今ここに調味料がないのが非常に残念だと思う…塩をかけて食べたらもっと美味いはずだ!・・・こいつの肉は少し削いでから持っていこう…この肉をダイア達にも食わせたかったな・・・。


 (わりぃな…待たせてしまって…少し味見してたら遅くなっちまった・・・なんだよ!…俺の方見て…この肉はやらねーぞ!)


 (いらねーよ!?・・・てかお前マジで人間かよ……魔物喰ってる人間なんか初めて見たぞ…普通の人間は魔物なんか喰っちまったら死んじまうだろ・・・なのにお前ときたら…あんなにも美味しそうに魔物にかぶりつきやがって・・・)


 (……意外といけるぞ・・・味を例えるとな……う~ん…あれだな…鳥のくせに牛肉みたいな感じだったぞ…まぁ魔族は人間よりも肉付きがいいからな…俺とダイアは昔から魔物ばっか食ってたから普通の奴らよりも肉体が強靭になったし…おまけに魔力に対して抵抗がついた…だから魔族の魔法とか毒とか病気はあんまり効かん!・・・そういえばよ…お前童貞とか言ってたよな・・・だったら魔族の女とかどうだ!あいつらサイズは俺達よりもデカいけどよ…肉付きとか圧迫感がもう最高で・・・)


 (あぁぁぁぁぁぁぁ!!!…もういい…やめてくれ…お前の話聞いてたら本当に魔物食べたくなっちまう……それに俺は絶対に魔族の女で童貞卒業なんか嫌だぞ!……それに、頭がおかしくなりそうになるから…魔物の話は勘弁してくれ・・・)


 (・・・わかったよ…お前の前ではこれから魔物の話はしない)


 (あぁ・・・そうしてくれ…頼む)


 そして俺達は馬車が壊れたので自分達の足で’’ムウロ・デ・オスキュリタ’’に行くことにした…道中で魔物に何度か襲われたが・・・全部俺が喰った…いや、少し残した…俺が魔物を食べている様子を気持ち悪そうに見ているホウサンズがいたが・・・まぁ…好みは人それぞれだ…俺は気にすることなく食べた。そしてしばらく歩いていると日が暮れかけたが…なんとかギリギリでムウロ・デ・オスキュリタに到着した。


 (・・・やっと着いたぞ…ここがムウロ・デ・オスキュリタだな・・・もう今日は色々ありすぎて無理そうだ・・・俺は先に来た奴らに挨拶してから寝床に帰る…明日もよろしく頼むな!)


 (あぁ・・・お前も魔物の事食いたくなったらいつでも俺に言ってくれ!俺の料理スキルをお披露目してやるからな!)


 (・・・そんなゲテモノじゃなくて普通の料理を作ってくれたら食べるよ…じゃあな・・・)


 (おう!また明日な)


 そして俺はムウロ・デ・オスキュリタの前哨基地を探検することにした…ムウロ・デ・オスキュリタは魔族が潜んでいる最北端の地域からこちらに来れないように、巨大な壁と魔族が突撃してこないように迷路を壁の前に置いたような感じになっている・・・しかし壁を越えてくる飛行系のモンスターは防ぎようがないので、それらを撃退することがよくあるみたいだ…おそらく俺達を襲ったのも壁を突破してきた奴らだろうな・・・そして壁の近くにある前哨基地では人間が捕まえた魔族の美しい女や珍しい素材がたくさん並んでいた・・・俺は道中でいくつかの素材を手に入れていたので魔物素材を換金することにした。


 (・・・おっさん…このガーゴイルの角なんだが…いくらになる?)


 (・・・ガーゴイルか…てかお前まだガキじゃねえか!…もしかしてお前が倒したのか?)


 (はぁ?・・・ガーゴイルなんか誰でも殺せる雑魚モンスターだろ…何を驚いてんだよ)


 (・・・マジか…まぁいいさ…お前さんここでは初めて見る顔だな…名前を教えてくれ)


 (ホルケウ・マーナガルムだ…おっさんの名前は?)


 (・・・ホルケウ家…てことはお前が騎士団長の言ってた凄腕のガキか!…俺の名前は’’シザン’’だよ)


 (・・・あぁ…そうだな…忘れていた…俺も、もう年でな…少しボケてきてんだよ…お前が持ってきたガーゴイルの角だけどな…ざっと五万マーネルだ…状態もかなり良いみたいだな…)


 (マジかよ!ラッキーだな…これはどんどん稼いであいつらに仕送りしないとダメだな・・・おっさん…ありがとな…多分またすぐ来ると思うから…その時も頼むぜ!)


 (あぁ…また来いよ…珍しい素材が入荷されたらお前に教えてやるからな!)


 こうして大金を手にした俺は先程見かけた…魔族の女を売っている店に行った・・・が!なんと悲しいことに未成年はお断りらしい…もうすることがなかったので俺は前哨基地のテントで寝ることにした。

 明日からはコキ使われるだろうけど・・・まぁ…ここには俺の大好きなデカい女・・・魔族の女がたくさんいるみたいだから…暇になることは無いだろう…こうして俺はテントの中の藁で作られたゴミみたいな質感のベットで明日に備えて寝ることにした・・・。

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