表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雑記  作者: 飯田橋 ネコ
85/213

褒められたハナシ

 めったにない。ヒトから褒められるなんて。最初に褒められたのは小学校卒業の時。教頭先生が“ユニークなお子さんですね。いい意味で”って云ってくれた。ナニのことだかよくわからなかった。

 高校のとき、工芸の先生が“才能あるのは認めてあげるけど、飽きっぽいからダメだね”って云ってくれた。その授業では一般家屋の立体模型を造っていたのだけれど、平面図から作るとかめんどくさかったのでいきなり立体から入ってみた。特に前提条件が与えられなかったので、二世帯同居、南向きひな壇立地2階建て木造ってコトにしてみた。全体的には大きな三角柱を横倒しにした構造。二世帯同居だから洗面所のシンクは二個。同じく二個あるトイレ、1620サイズと広めの浴室含め、水回りは北側に集約。玄関ホールは吹き抜けにしてみた。家族全員が集う居間も吹き抜け。2Fの個人のお部屋からはいろんな形で居間が見渡せるデザインにしてみた。このままだと強度が確保できないと思って見せ梁(そういう名前の代物だと知ったのは何年もあとのコトだけど)もつけてみた。で、2Fのお部屋にルーフバルコニーもつけようと思ったあたりで部活が忙しくなってきて途中で放り投げた記憶がある。飽きっぽいからじゃなくてダンス同好会から来た音楽の編集依頼がたまってどうしようもなくなっただけのコトだったんですごめんなさい。

 大学のとき、同級生の子が“才能あるよ”って云ってくれた。なんてステキなコトバだろう。でもやっぱりナニのことだかよくわからなかった。っていうかいまだにわからない。

 会社入って十年くらいたって、全然違う部署の普段お話したこともないヒトが“優秀なヒト”って云ってくれた。どのあたりがそうなのかさっぱりわからなかった。


 ここ数ヶ月でなんとなくわかってきた、ような気がする。


 記憶力。悪いと思い込んでた(さっき云われたコト忘れがち)けど、部分的にはそうでもない(今まで見た映像は台詞の端っこでも聞けばだいたい思い出せるシステム、あと一回見た文章とかコトバとか、日本語の韻の踏み方とか文章の展開の仕方とか重要な部分は覚えてるっぽい、全部)らしい。


 場の空気。明らかに読み過ぎていた。話してる相手が“コイツ空気読めないヤツに違いない”って思ってると、それにしたがって空気読めないキャラになるシステム。相手のハナシをその焦燥ごと承ってしまうので聞いた側から片っ端に忘れがち。逆に期待感持って接してくる相手にはそれにあわせていろいろ勝手に出てくる仕掛け。


 文章。いままでは専門のヒトだけに許された表現手段と思い込んでいた。でも書いてみると意外と考えてることがストレートに表現できてるし、自分でも気付かなかったコトまで書かれててウケる。でもだんだん強制的に書かされるようになってきて、こんなん誰が書いたんだよってくらいにわけわからないモノが出力されてしまって涙目。


 自分。無能だと思ってた。今でもそう。勉強はできたけどテストで名前書き忘れて0点とか余裕だったし、仕事でもかなり遠い先まで見通せてるのに目先のコトが疎かになってて怒られるし、社会の仕組みや世界の見方だって歳相応にわかってたつもりだったのに自分がどういう人間だったのかはさっぱり忘れててびっくり。


 ある朝。数分前のオーダーと異なる様相のパン(チーズのせて焼いてって云ったのにベーコン乗せたヤツが出てきた!!)を提供した父をなじる長女。


「おとうさん! さっき云ったことも覚えてないの!? バカなの!?」


 まぁ、三人が三人違うオーダーしてくるからわけわからなくなって全部ベーコン乗せにしたのは記憶力というよりは単純にやる気の問題な気もするのだけれど、そのままでは父親の威厳が保たれないので平身低頭でごめんなさいしてると妻がフォローしてくれる。


「おとうさんはね、バカじゃないのよ。ただアタマの使い方が間違ってるだけなのよ」

「ふーん、そうなんだぁ」


 そうなんだろうか? そうであるならばやはりココは長女と一緒に義務教育からやり直して“使い方”マスターしてみよう。あまり褒められたハナシでは(以下略

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ