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9〜友人視点①〜

ここに来てようやく彼のフルネームが!

遅いです。ちなみにお姉ちゃんは明菜ちゃん。

俺の幼馴染に、少し変わった奴がいる。


サラサラの黒髪に白い肌。整った目鼻立ちに、最近急に伸びたため体重が追いついてないせいで少し細めの身体つき。


客観的に見れば、文句無しの美少年だが、チョット問題ありな姉のせいで性格が、かなり捻くれて一回転した挙句ずれた所に終着しているのが、たまにきず。


しかも、美少女と名高かった姉そっくりだった幼少期にも散々ひどい目にあった為(俺も何度か巻き込まれた)、自分の顔に対して『百害あって一利無し』との残念な評価を下していたりもする。


上手く使えば最高の武器になりそうなものだが、そんな考えは微塵も無いらしい。

もっとも、あいつがそんな器用な性格なら、こんなに長く側に居なかったとも思うけど。


幼馴染の名前は、海原幸人。

気がつけば出会って10年目に突入してる長い付き合いである。


チョット難ありっていった幸人の姉は、簡単に言えば愛に生きる女って奴で、その上、好きになるのは、変な男ばっかりだった。

三十路の自称小説家に始まり、二股三股は当たり前のチャラ男。二次元嫁持ちのオタクにニューハーフのおネェさんと幅広い。


側から聞く分には笑い話だけど、当事者の家族となるとシャレにならないらしく、いろいろ大変な事もあったらしい。


しかも、お姉さんときたら、好きになったら猪突猛進で隠す気も無いらしく、あっという間に噂の的で、そこに尾ひれ背びれもついてひどい状態だった。


隠してるつもりでも、子供って大人の話に敏感で、かつ、残酷だ。

「男にだらしない女」の弟である幸人は、格好のイジメの的だった。


そんな中、5人兄弟の4番目という微妙なポディショニングな俺は、ずいぶん冷めた子供だったのと、幸人の姉と俺の姉が友人だった事もあり、噂は真実とは結構遠いところにあるという事を知っていた。

また、同じ「年の離れた姉持ち」という事で、妙な親近感も持っていた為、周りから口撃を受けていた幸人を自然擁護する立場になっていた。


そうして、本人の望まない所で世間の荒波に揉まれた幸人は、妙に人間関係に冷めた目を持つ子供に育っていった。


反面、仲間認識したらしい俺には無防備な表情を見せる。

気分は気位の高い猫に懐かれた感じ。



中学にあがる頃、幸人の姉が家出してスッカリ噂が少なくなり、つかの間の平和が訪れた。けど、幸人はすでに人間不信気味になっていた為、基本俺とばっかり連んでた3年間だった。


黙っていればクールビューティー(笑)な幸人は、中学の頃には、男女共に高嶺の花って奴になってた為、側にいる俺には実は結構な火の粉が降りかかってたけど、まぁ、持ち前の要領の良さでクリア。

苦労して手に入れた場所を、今更誰かに譲る気にもなれなかったしね。



そんな、基本2人だけの空間に変化が訪れたのは高校に入ってからだった。

うちの中学からは、俺たち2人しか行かなかった高校で、残念ながらクラスが分かれた。

そこで、「親切なクラスのリーダー」が何かと幸人に接触を始めた。


最初は毛を逆立てた猫状態だった幸人も、時間と共に慣れてきたらしい。

少しずつ、俺と2人の時にも話題に上るようになり、3人で遊びに行くようになり、遂には「友人」認定された頃には梅雨の時期に入っていた。


認定おそっ!って、少し同情したけど、協力する気にもなれなかった、のは。

確かに頼り甲斐のある奴だけど、それって友情?って首を傾げたくなる言動が見え隠れしてたからだ。


まぁ、面白がってつついて遊んでる俺も俺だけど……。

少なくとも、害にはならなさそうだし、本人も無意識っぽいので、取り敢えず観察中。

意識しだしたら……まぁ、その時考えよう。



そんな感じに、俺的にはまったり高校ライフを満喫してたら、3年程静かだった愛の女神様が、久しぶりにやらかしてくれた。


突然登場の赤ん坊に幸人はすでにメロメロらしい。

もともと情が深くて優しい奴だから、当然の反応だけど。


今年の夏も退屈しなくて済みそうだ。

コレだから、幸人の友人はやめられないんだよな。









読んでくださりありがとうございました。


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