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赤ちゃんと高校生男子の日常。  作者: 夜凪


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祝ブクマ50件越え。ありがとうございます。楽しんでいただけたら幸いです。

夏休み1日目。

今までなら、ここぞとばかりに朝寝坊を満喫していたんだが、そうはいかなくなった。


隣に寝てたハルに顔をペチペチされて起こされたのは朝5時過ぎ。

……ラジオ体操でもしろってか?


「ハルぅ…….まだ早いよ。もうちょい寝せて……」

「あぅぅ……。ふぇ……ふぇぇ……」

そのまま再び夢の世界に旅立とうとしていた俺の意識は、ハルのグズリ出した声で引き戻された。

コレを放置したら、マジ泣きに移行するのは昨日で経験済みだ。


「はいはい。小腹でも空いたか?」

眠たい体をどうにか動かしてお湯を沸かしミルクを作る。

母さんの教え通り、すり切りでしっかり測り適温まで冷ましてホイッと手渡せばゴクゴクと喉を鳴らして飲み出した。


一心に飲んでるハルを眺めボゥとする。

まだ、上手く頭が動いてない。

ハルは、もうすぐ11カ月。

離乳食はしっかり食べるけど、それだけでは足りないのか、ちょこちょこミルクも飲んでる状態だ。


そういえば、誕生日も判明した。

8月28日。

姉貴が置いていった荷物の中に母子手帳があったらしく、そこにいろいろな情報が書き込まれていた。

受けなきゃいけない検診や予防接種もキチンとされていて、姉貴がちゃんとハルを育ててた片鱗が見え、母さんがホッとしていた。


ちなみにハルの現在のスペックは75センチの10キロでやや大きめ。

移動スキルは高速ハイハイと伝い歩き。

もうそろそろ1人で歩けるんじゃないかとは母さんの予想だ。

手先もかなり器用になり、小さいものでも上手に摘むし、好きなものは目ざとく見つけ突進する。


何が言いたいかというと……。

「ハル、何してるの?」

ボゥッとしてるうちにいつの間にか飲み終わっていたらしいハルが、部屋の隅でコッチに背を向けてゴソゴソしてた。

声をかけると小さな背中がびくりと跳ねる。


「ハ〜ル〜」

後ろを向いたまま固まっているハルを肩越しに覗き込むと、枕元で充電してたハズのスマホがシッカリと握られていた。

端っこが濡れているところを見るとしゃぶられていたらしい。

見つめ合うこと3秒。

ハルがヘラッと笑って見せた。


「……そんなんで、誤魔化されないぞ」

取り上げて、確認。

昨日、ロックかけてたからイタ電とかは無いので、取り敢えずヨダレを拭いて近くの棚の上に置いた。ここなら届か無いし安全だろ。


「コレは大事だから食べちゃダメって言っただろ〜」

「あだぅ〜」

ほっぺを痛く 無い程度の力でグニグニと両手で挟んで動かすと、不満そうに抗議の声。

「壊れたら困るんだから、そんな言ってもダ〜メ」


なんでスマホが好きなんだか。

母さんの携帯も襲われてたし、気をつけ無いとそのうち本当に壊されそうだ。


すっかり目が覚めて、コーヒーでも入れようとリビングに移動する。

「ほら、これで大人しく遊んでな」

ハルをテレビ前のラグに置いて、おもちゃを渡すとキッチンへと入った。


コーヒーメーカーをセットしながらカウンター越しにハルを確認すると、大人しくオモチャで遊んでるらしい背中が見えた。


コポコポとお湯が蒸留される音を聞きながら簡単に朝食の準備をする。野菜適当にざく切りして鍋に入れ、コンソメのキューブを放り込む。

バナナとリンゴを切って酸化防止にレモン汁をかけ器に入れて冷蔵庫へ。後は各自で食べる前にヨーグルトかければフルーツヨーグルトの出来上がり。

食パンをスライスしてマーガリン、作り置きのピザソースにハムとスライスチーズを乗っけ、自分の分だけオーブントースターに入れて5分。

残りはラップかけてカウンターの上に置いておく。

そうしているうちに、スープの野菜にも程よく火が通り、仕上げに塩と胡椒を挽いて味を整えればお手軽朝食の出来上がりだ。


ハルはさっきミルク飲んだばかりだから、母さん達と一緒にご飯で良いだろうと自分の分だけ用意してテーブルの上に運ぶ。

入れたてのコーヒーの香りを楽しんでから一口。

うん。今回の豆は当たりだ。

酸味が少なめで薫り高く、実に俺好み。


そこで、朝のニュースでもつけようかと思い立ちテレビの方に向かう。

ついでにさっきから静かに遊んでるハルを何気なく覗き込んで、俺は悲鳴じみた声を上げた。

「ハル、それいつの間にとって来た?!てか、どうやって取ったんだ?」


さっき取り上げて棚の上に置いたハズのスマホをハルが咥えて遊んでた。

すでにヨダレでベタベタだ。

「あ〜う〜!」

慌てて取り上げる俺の足に捕まって立ち上がると手をこっちに伸ばし、返せと主張してくる。


「これ、俺のだから。てか、どうやって?端っこに置いてて、棚が揺れて落ちた?でも、あの棚ハルが捕まったくらいで揺れるか?地震なんて無かったし、そもそもいつの間に和室まで往復したんだ?」

足にすがって主張するハルを適当にいなしつつも、頭は疑問で埋め尽くされる。


確かに料理してたからずっと見てたわけでは無いけど、それでもハルが和室に行けば気づいた、と思う。

うん。コッチに背を向けていたけど、確かにここにずっと居たよな?


「おはよう。良い匂いね。ご飯、ありがと……って、変な顔してどうしたの?」

混乱しながら固まってると、母さんが降りてきた。

「あ〜〜、うん。なんでも無い」

一瞬迷ったが、なんと言って良いかわからず、結局首を振ると朝食の続きをとろうと席に戻る。ついでにハルもベビーチェアに座らせた。


「冷蔵庫にフルーツ切ってあるから」

「ありがとう。今朝は豪華ね。ユキくん、ずっと休みなら良いのに」

嬉しそうに台所でゴソゴソ始める母さんに笑って、俺はトーストをかじった。


ハルがつかまり立ちした時に棚が揺れて、スマホが落ちた。まぁ、そういう事もあるだろ。なんにしろ、ハルの頭に当たらなくて良かった。

そう結論付けると、まだかすかに残る違和感を俺はトーストと共に飲み込んだ。







朝ご飯。幸人は休みの日に気が向いたら作る程度です。母親もぼちぼち働いてるので、基本的な家事は一応仕込まれてます。読んでくださりありがとうございました。

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