ドライブに行こう。前編
一気に3話投稿です。
よろしくお願いします。
〜幸人視点〜
ただいま、早朝5時半。
いそいそと起き出した俺は、ご機嫌で弁当作成に取り掛かっていた。
なぜなら、ベビーカー持ってきてくれた時に約束した「いつか」が、今日実現するのだ。
大成の兄であり、俺もいろいろ面倒見てもらってる優成さんが、今日はドライブに連れて行ってくれる事になったんだ。
ちなみに優成さんは俺たちの4歳上で某有名国立大学に通っている。
体格が良く、少し強面だが顔立ちも整ってるし、5人兄弟の長男だけあって包容力もバッチリ。
俺の理想の男なのである。
もちろんハルも一緒で、ちゃんとチャイルドシートも装備してくれてる完璧っぷりにマジで尊敬する。
山か海かの選択肢で山を選択したら、高原にある湖のある自然公園へと向かうことになった。せっかく公園行くなら、弁当持って行こうということで、俺が弁当作成の役目を買って出たのだ。
天気予報では、バッチリのドライブ日和だし楽しみだ。
俺は鼻歌交じりに仕込んでいた唐揚げを油の中に投入した。
〜大成視点〜
今日は、優兄の運転で自然公園へとドライブに出かける。
きっちり従兄弟からチャイルドシートを借り受けてきた優兄は、いつの間にか幸人と連絡を取り計画を立ててた。
俺も人数入ってるなら、俺の意見も聞いてくれと言いたい所だが、人間諦めが肝心。
弟とは兄に逆らえ無いものなのだ。
まぁ、絶対面白トラブルが起こるに決まってるから、良いんだけどさ。
欠伸を噛み殺しながら隣を伺うと、口元が僅かに緩んでた。
ご機嫌でスネ。
見た目も能力もハイスペックなこの兄は、基本面倒くさがりで、なかなか自分から動く事はない。
まぁ、問題ばかり起こす弟妹の後始末ばかりさせられていれば、極力楽できる所は楽したい、ってのは当然の感情だとおもう。
その兄貴が例外的に自分から可愛がってるのが幸人で、なんと幸人は面倒見の良い優しく頼れる兄貴だと信じきってる。
それ、誤解だから。幸人限定の顔だから。
基本弟妹がやらかした時は助けてくれるが、おまけで鉄拳制裁付いてくる。
容赦ないゲンコツは暫く動けなくなるくらいの破壊力を持っている為、弟妹間では優兄に頼るのは最終手段と暗黙の了解ができているくらいだ。
そんな兄貴が幸人にはデレデレだ。
転べば抱き起こし、怪我していればそのまま運んで治療してやる(俺が同じ状態になっても、水で洗っとけよ〜で終了)
ベソをかいていれば、目線を合わせて慰め原因を聞く(原因が人的ものだった場合、そいつの末路は想像したくもない……)
陰に日向に世話を焼く姿を、他の兄弟達は生温かく見守ってるのが我が家の現状だ。
ほっといて良いのかって?
別に、俺に被害がないなら気にしない。
基本、見てて楽しければそれで良いのさ。
後、みんなが笑ってれば文句なし。
さて、今日はどんな1日になるかな?
〜幸人視点〜
優成さんの車は、ピカピカの新車だった。
マツダのアクセラ。
最近顔を見ないくらい忙しかったのは、大学もだけど、コレの頭金を貯める為のバイト三昧のせいだった。
「まだ、暫くはローン地獄だがな」
凄い凄いと興奮する俺に優成さんは、少し照れたように笑っていた。
「あらためて、ハルです。今日はよろしくお願いします」
そういえば、初対面の優成さんにハルを見せつつしっかりとご挨拶させた。
優成さんが、ハルをヒョイっと抱き取り、至近距離で2人がじっと見つめ合う。
「無表情対決だな」
その様子に大成がククっと笑をかみ殺しながら耳元で囁くもんだから吹き出しそうになった。
「あうっ!」
ふいに固まっていたハルが片手をビシッとあげ大きな声を出した。
「あぁ、よろしくな」
それに答えて、優成さんが柔らかな微笑を浮かべる。
「なんか、通じ合ってる?」
「だな?優兄にビビらない赤ちゃんも珍しいし、優兄、嬉しそうだな」
本人は子供好きなのに、チョット強面な顔が子供には不人気でよく泣かれるそうだ。
……気の毒。
ハルは平気そうだし、今日は、是非癒されてもらおう。
「俺、眠いから後ろがいい。ユキは優兄の相手してやってよ」
ハルをチャイルドシートに乗せて、隣に乗り込もうとした俺に大成が待ったをかけた。
「どうせ、赤ん坊は車乗ったらすぐ寝るから、大丈夫だろ」
まぁ、俺と一緒に早起きした上に、散々力使いながらのお遊びしたしな。
この間は、うっかり隆太にばれちゃったけど、今回は対策バッチリだ。
「俺が助手席乗っても良いの?」
一応、持ち主にお伺いをたてれば、くしゃりと頭を撫でられた。
許可をもぎ取って、いそいそと助手席におさまる。
天気は良好!
気分も上々。
では、出発!!
続きます。




