ドライブに行こう。中編
よろしくお願いします。
高原に向かい高速に乗って暫くしたくらいで後部座席の2人は本当に寝てしまった。
ハルはともかく、大成……。
「本当に寝ちゃった」
「ユキも、眠かったら寝てても良いぞ」
ゆったりとハンドルを握りつつ言われ、慌てて首を振る。
「そんな、とんでもない。俺、全然平気だから」
「でも、昔から乗り物苦手だったたろ?弁当も、あんなに沢山。早起きしたんじゃないのか?」
気遣うような視線をちらりと寄越してくる優成さんに自然に笑みがこぼれる。
本当に心配症で気遣い屋だよな。
「優成さんの運転丁寧だし、大丈夫。あ、でも、運転の邪魔になるようなら黙っとくけど……」
そう言えば、今度は優成さんが首を横に振った。
「話しててくれた方が良いな。最近は学校ではどうなんだ?」
促されて、クラスでの事をはなす。
優成さんは昔から聞き上手で、気がつくといつも俺ばっかり話してるんだよな。
そして、話がハルの事になれば、更に饒舌になり……。気が付けば休憩のためサービスエリアに止まるまで話し通しだった。
車が停まれば、ハルも目を覚まし、車を降りてトイレに向かう。
最近の施設はちゃんと男子トイレにもオムツ交換台があるから安心だ。
古い建物とかだと女子トイレにしかオムツ交換台が無くて、大変だったりするんだよな。
育メンもてはやすなら、そこら辺をもっしっかり改善してほしい。
ひと眠りしてスッキリしたらしいハルは元気いっぱいだ。
再度チャイルドシートに座らせても嫌がる事無く持参のオモチャを振り回して遊んでいる。
「あだだぅ、あうぅ。ばばばばばぁ〜」
ご機嫌ハルに麦茶の入ったストローマグと赤ちゃんせんべいを渡すと、嬉しそうに齧り始めた。
「優成さんもお茶を飲みますか?」
足元の小さなクーラーボックスからペットボトルを取り出すと1本空けて渡す。
「ユキ〜、俺にもなんかちょうだい」
ハルの世話のために場所を交代した大成が助手席から手を伸ばしてくる。
「ほら」
その手に最近気に入ってる炭酸ジュースを渡してやると唇を尖らせた。
「優兄には開けて渡すのに俺にはそのままとか、差別だ、差別!」
「アホか。優成さんは運転中で大成は座ってるだけじゃん。甘えんなよ」
呆れていなすも、おふざけ半分で文句を言ってくる大成に更に俺が言い返す。
戯れてるだけなのが分かっているので、優成さんも苦笑いするだけで、口は挟んでこなかったのだか、意外な所から仲裁者が現れた。
「あぅぅ、あう……。ふえっ……うえぇぇ〜ん」
ご機嫌だったハルが突然ぐずり出した。
チャイルドシートから身を乗り出すようにして、手を伸ばしてくる。
「なに?どした、ハル?」
驚いて抱きとれば、ベソをかいたままぎゅっと抱き着いてくる。
「2人が本当に喧嘩してると思って不安になったんだろ」
戸惑っていると、バックミラー越しに苦笑しながら優成さんが教えてくれる。
「あ〜〜、ごめんな、はる〜」
「喧嘩して無いぞ?仲良しだからな?」
大成と2人顔を見合わせた後、慌ててフォローしようと笑顔で言葉を重ねる。
ハルはキョトンとした顔で俺たちを見た後、涙の残った顔のままニッコリと笑った。
そのあまりの可愛さに衝動的に抱きしめる腕を強くして、スリスリと柔らかな頬に頬ずりをした。
ハルがその感触に嬉しそうに声を出して笑う様子が更にかわいい。
ハルが可愛すぎて息が苦しい。
「………重症だな」
「………だろ?」
それを見ていた前席の2人が呆れたように呟いていたなんて、俺は、まったく気づいていなかった。
次で最後です。




