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赤ちゃんと高校生男子の日常。  作者: 夜凪


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本日2話目です。

ようやくひと段落です。後は、後日談的なものを1〜2話で終了予定です。

今日はハルの誕生日。


1歳は大切な記念日だから、と、母さんと姉貴が張り切って料理を作ってる。

コンセプトは、ハルが美味しく食べれて見た目も楽しい物、だそうで、朝から大騒ぎだ。


自然、追いやられた形になった俺とハルはのんびり近所の散歩に出かけた。

カラカラとベビーカーを押してあるく。

ハルはカラフルなリボンを手にヒラヒラとさせて楽しそうだ。

すれ違うご近所さんと挨拶を交わし、ここ1ヶ月ですっかり馴染んでる様子におかしくなる。


姉貴が家出するまで、遠まきに噂する近所のおばちゃんは敵だとずっと思ってた。

だけど、姉貴が消えて、関わる事がなくなり。そのうち、通りすがりに挨拶をするようになり。


今回、ハルが来た事でまた少し話題になったけど、赤ちゃんの扱いに手間取っている所を助けられたのを皮切りに、いつの間にやら有効な関係を結ぶまでになっていた。


赤ちゃんの癒しパワーって、マジですごいと思う。

「ハルのおかげでなんか居心地良くなったよな〜」

「あ〜あ〜あ〜」

つぶやきにおかまい無しに、ハルはリボンふりふりご機嫌に歌って?いる。

楽しそうなハルにコッチまでウキウキしてくる。

つられて笑いながら、俺はハルのデタラメな歌に参加した。




「ハッピーバースデー、ハル!!」

鳴り響くクラッカーの音にハルはキョトンとして舞い散る紙吹雪を見ていた。

ヒラヒラと舞う色とりどりの紙切れを捕まえようと手を伸ばしている。

ゲットしてニンマリとした顔が可愛くて、カメラのシャッターをきった。


テーブルの上には乗り切れ無いほどのたくさんのご馳走。

それを囲むみんなの笑顔。


姉貴が飛び出していった3年前には、こんな日が来るなんて思いもしなかった。


ハルの前には個性的なお子様ランチ。

チキンライスで山が作られ、ブロッコリーは木のつもり?スープの池には魚がいた。

その中に野菜をくり抜いて作られた動物達が配置されている。

凄いな……。


ハルは歓声と共に動物を掴み取りカブリついた。

象の顔が無くなった。

……ちょっとシュールだ。

この年頃に勿体無くて食べれ無い、なんて感性は無い。

まぁ、食べるハルも作った2人も満足そうだし、良いか。


ご馳走もあらかた消えた所で、ケーキが登場する。

ハルの大好きなバナナをたっぷり使ったケーキの上には、マジパンで作られた家族みんなの人形が並んでいた。


「きゃーぅ!」

再び歓声をあげ、机によじ登ってケーキに触りに行こうとするハルを姉貴が慌てて押さえて止めた、その時。


ハルが消え、一瞬後、ケーキの上に出現した。


「きゃ〜〜!」「うわっ!」「あ〜あ〜」


様々な声が上がる中、見事ケーキに突っ込んだハルはクリームまみれになりながら、自分と俺の人形をしっかりと両手に握りしめて笑っていた。


ドヤ顔で掲げられた人形達も楽しそうな笑顔で、こうゆうのが幸せってやつなんだなって、しみじみ思ったのは内緒だ。

ジジくさいって言われそうだしな!




散々はしゃいだハルがうとうとしだした所で誕生日会はお開きになった。

「じゃぁな、ハル」

姉さんに抱っこされて眠そうなハルに玄関で別れを告げる。

寝ぼけ眼でバイバイと手を振る姿に泣きそうになるのをこらえて笑った。


「もうさ、家出のフリもしなくていいんだし、ちゃんと顔出しに来いよな」

「分かってるわよ!その時は、お守りよろしくね〜」

姉貴はかるく答えて、あっさりと帰っていった。


「もうちょっと余韻とか無いのかよ……」

思わず、恨みがましく閉まった玄関扉を睨んでいると、母さんが呆れたように俺の頭をかるく叩いた。

「どうせ、またすぐ来るわよ。同じ町内なんだし」


「そうだよな。またすぐ会える……………って、町内?!」

同意しかけて、言葉の中身に気づき、思わず叫んでいた。

同じ町内ってどういう事?!


「高城さん、職業柄出張多いから、関係も改善した事だし、思い切ってコッチに引っ越してきたのよ。

あんたが散歩がてら近所に愛想振りまいてた甲斐があったわよねぇ〜。って、言ってなかったかしら?」

軽く爆弾発言を落としてくれる母さんに、返す言葉が見つから無い。


声もなく口を開けたり閉めたりしている俺に母さんは納得したようにわらった。

「道理で、なんかしんみりしてておかしいと思ったら」

「もぅ、マジで勘弁して」


ここ数日の自分を思い出せば、恥ずかしさで頭を抱えてしゃがみ込んだ。

別れるのが寂しくて情緒不安定でしたが、なにか?!

……て、誰かに当たる事が出来るはずもなく。


「だけど、そっか。そんなに近くに住むのか……」

抱え込んだ腕の中で呟いた声は誰に聞かれる事もなく消えたが、確かな喜びを含んでいた。





読んでくださり、ありがとうございました。

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