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特権を得るためにめちゃくちゃな条件でクランを開設したら何故か化け物達が押し寄せてきた件  作者: シャルねる


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2/2

不採用です

 ギルドに着いてしまった。

 ロクな断り方も思いつかないまま、ギルドに着いてしまった。


「2階の応接室にてお待ちしておりますので、その……」


「後は俺一人で行きますよ」


「も、申し訳ありません! ありがとうございます!」


 ……そんなに会いたくないのかよ。

 てか、それでいいのか? 受付嬢として。……後で怒られても俺は知らないからな。

 もうそれを理由に不採用にしてやろうかな。

 ……まぁ、取り敢えず行くか。


「ど、どうぞ!」


 扉をノック……しようとしたところで、中から緊張したような声が聞こえてきた。

 ……別に気配を隠したりなんかはしていないが、よく気がついたな。


「失礼するよ」


 絶対に入れるつもりはないが、俺のクランに入ろうとしている以上、俺の方が立場は上なはずだから、敬語は使わずに俺は部屋の中に入った。

 すると、直ぐにキラキラとした青い瞳と目が合った。

 ……俺とは正反対の凄くやる気のありそうな目だ。


「は、初めまして! ら、ラビスと申しますです!」


 瞳と同じく、心做しかキラキラとしている肩に掛かるか掛からないかといった長さの青い髪を揺らしながらも、誰がどう見ても緊張していると一目で分かる程に体を硬直させながらそう言ってくる少女……ラビス。

 ……どう見ても、俺が出した条件をクリアしているとは思えないな。

 見た目の年齢……は種族が人間じゃない可能性もあるし、なんとも言えないが、あの条件に当てはまる人がこんなに緊張するとはどうにも思えないんだよな。

 ……ただ、ギルドはラビスを俺に会わせている。

 ……取り敢えず、話をしていくか。


「俺はファルスム。呼びにくいだろうから、ファルでいいよ」


 ラビスの前に座りながら、そう言う。


「は、はい! よろしくお願いします! ファル様!」


 様……仲間になるのならともかく、どうせ不採用だし、なんでもいいか。


「それじゃあ、今からいくつか質問をするから、正直に答えてね」


 こくこくと元気よく頷くラビス。

 それを見ながら、俺が決めた絶対に人が集まらないメンバーの条件を思い出していく。

 確か一つ目はAランク以上の冒険者だったな。


「ラビスの冒険者ランクは?」


 これでAランク未満だったら、話は楽なんだが──


「え、Sランクです!」


「……マジ?」


「は、はい、こ、これ……」

 

 おずおずとランクが示されている身分証を提示してくるラビス。

 ……マジかよ。

 つか、種族は普通に人間だし、年齢に17歳って書いてあるんだが。

 ……二つの意味でマジかよ。

 冒険者になれるのって15歳からだぞ? 2年でSランクって……ありえないだろ。

 自分で言うのもなんだが、俺ですら相当有り得ないことをしてるんだぞ? ……上には上がいるとは言うが……マジかよ。

 い、いや、まぁいい。どれだけ才能があろうが、俺の出す答えは一つなんだからな。


「そうか。……俺はAランクなんだが、クランに入るってことは、立場的には俺の下に──」


「だ、大丈夫です!!!」


「……そうか」


 大丈夫、かぁ。

 ……いや、なんで?

 自分でクランを作る、もしくはもっといいクランにだって入れるだろ。

 なんで選りに選って俺のところなんだよ。

 まぁいい。まだ一つ目の質問をしただけだ。


「ドラゴンスレイヤーの称号は持ってるのかな?」


 気持ちを切り替え、俺はそう聞いた。

 これもメンバー条件の一つだ。


「こ、ここに」


 ……あぁ、ほんとだ。身分証のところに書いてあるわ。

 見てなかった。

 よく見ると魔力量もAランクって書いてあるし、スキルの量とか内容も合格点だ。

 ……てか、なんでこいつはこんな所まで普通に公開してるんだよ。

 普通非公開にするところだろ。

 流石に一時的だよな?


「……」


 まぁいい。

 最後の質問で適当に不採用だって言ってやろう。


「最後の質問だ」


「……」


「俺の為に死──」


「死ねます!」


 何この子、怖い。

 ……そんなキラキラした目で前のめりになりながら言うことじゃないだろ、絶対。

 ……俺、この最後の俺の為に死ねる奴って条件で落としてやるつもりだったのに、そんな言い方されたら、落としにくい……あ、いや、軽そうだから信用出来ないって理由で落とすか?

 よし、もしも後でギルド側に理由を聞かれたらそれでいこう。


「なるほど。よし、大体分かったよ。ラビス、君は……不採用だ」


 内心で理由を決めた俺は、笑顔でそう言った。


「ぇ……ど、どうしてですか!?」


「それは自分で考えてください。では、俺はこれで」


「ま、待っ──」


 ラビスとかいう子が可哀想に思えなくもないけど、あの能力値ならどこのクランでも引手数多だろうし、俺が気にする必要なんてないだろう。

 そう思い、気を取り直して俺はクランハウスを見に行くことに──


「ファルスム様! 終わったんですね!? た、大変ですよ!」


 ──したところで、さっきの受付嬢が慌てた様子で声を掛けてきた。

 ……なんだろうな、このデジャブ感。

 もう無視じゃダメかな。

 この受付嬢、最初のイメージと違って多分ポンコツだし、なんか多少雑に扱ってもいい気がする。

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