誓い
母親と継父、この二人にとって自分の存在は邪魔なのだろう。だったら何で自分は産まれてきたのか。その答えが延々と分からないまま、心だけが止まったまま、身体だけは大人に近付いていった。
優真と付き合う前はこんな風に空っぽで虚しい気持ちで生きていた。彼との関係だって友達のまま終わるんだと思っていたし。
そして何度も何度も想像した、優真とひとつになる事を。お互いが初体験で知識なんてインターネットからの情報しかない。それでも彼に抱かれたいと思った。他の誰かじゃダメなんだ、優真の愛が欲しい。
「影⋯それは本心か⋯?」
「うん⋯俺優真とキス以上の事したい⋯」
自分の人生の中で初めての相手は全部優真がいい。最初で最後の相手は彼以外考えられない。
実の父親が現れたから不安定で⋯とかそんな理由じゃなくて⋯いやそれは都合のいい言い訳か。優真の愛情がないと心が押し潰されそうになる。だから抱いてほしいと懇願したんだ。
「俺もお前としたいよ。優しくする」
「ん⋯優真大好き⋯」
俺達はキスをしながら服を脱がせあって身に纏うものは全部床に置いた。恥ずかしくて優真の顔も身体も見れずただ俯いた。
そこからはもう若さ故の勢いで、ひたすらキスをしながら結ばれた。痛みや怖さとかどうでもいいと思えたくらい、今幸せな時間を噛み締めている。
「身体、大丈夫か?」
「ん⋯大丈夫」
「⋯後悔してない?」
「何言ってんだよ⋯一番好きな人と結ばれたのに後悔なんてするわけがない」
「良かった⋯」
不安そうな優真を寝転がりながら両腕で抱き締める。俺の痛みを心配して常に宝物に触れるかのようにそっと優しく抱いてくれた。
「優真⋯重いかもしれないけど⋯言いたい事がある⋯」
「何でも聞くよ」
「俺達⋯死ぬまで一緒にいよ⋯?」
「⋯⋯⋯っ」
静かな沈黙が数秒あり、やっぱり重過ぎるか⋯と思っていたら彼が「嬉しい⋯」と一言口にして顔を赤くし、涙を流していた。
こんな時に不謹慎だけど優真の涙はなんて綺麗なんだろう⋯と見惚れてしまう。
「ん⋯俺の魂がある限り、影を愛し続けるよ。ずっと一緒にいよう」
「ぅ⋯⋯っ⋯ありがと⋯」
今度は俺が涙を流す番。軽々しく一緒にいようと言ったわけじゃない。緊張したし不安もあった一世一代の告白を受け入れてくれた彼を自分も一生愛そう。
二人で一緒に泣き、二人で愛を誓い合う。その神聖な光景がボロボロのアパートの一室を輝かせていた。
そして優真は影に「卒業まで長過ぎる。危険だし俺の家に来てほしい」と提案した。
「でも⋯」
「警察に相談してもいいし何処に行くにも必ず付き添うから」
そこまで自分の事を考えてくれてるのにその想いを無下には出来なかった。
「うん⋯ありがとう⋯」
この日を境に二人の距離はどんどん近くなり、影は頻繁に優真の家を訪れるようになった。その逆で優真が影の部屋で泊まる事も増えていき、キスは欠かさずするが身体を重ねるのはまだあの日の一回きりのまま。
影を傷つけるのが怖い優真はなかなか手を出せずにいた。
初めて影を抱いた日、影はきっと恥ずかしかっただろうし痛かっただろう。それでも後悔してないと言われて嬉しかった。自分には守るものができた。影という名の自分の生涯をかけて大切にしたい人、だから色んな事に慎重になるんだ。




