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抜剣少女は魔術教師に恋をする  作者: みこ


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80/110

80 あなたの隣(2)

 それからすぐ、リナリは、レーヴと共に旅行に行くことになった。

 図書館の紋章がついた馬車で、向かい合う。


 ……御者さんはいるけど、他に居ないの…………?

 二人きり???


 少し戸惑う。

 確かにお互い従者をつれ歩くような貴族ではないけれど、いつも一緒に仕事をしているゴールディさんすらいないなんて。

 ……いいの、かな。


 ずっと向かい合っていると、どうしてもその存在が気になってしまう。

 目が合うと、レーヴはその度に、にっこりと笑顔を見せてくれた。


 穏やかで、暖かい。


 ガタガタと、馬車の車輪が回る音が聞こえる。


 辿り着いたのは小さな町だった。

 採掘で成り立っている町らしく、騎士や魔術師以外にも、土に塗れた人が多い。


 馬車を降りる時、レーヴが手を差し出してくる。

 これは…………。

 ヴァルがいつもエマにやってるやつ…………!


 緊張してしまう。

 手に汗でもかいてたらどうしよう。

 けど。

 ここは、平気な顔をしてその手に掴まるしかない。


「失礼、します」


 その手に手を乗せる。

 ひんやり、少し冷たいその手の体温が。

 自分とは違うその手の体温が。

 自分じゃないんだって、実感する。


「…………っ」


 馬車を降りた瞬間、出来るだけ自然になるように手を離した。

 レーヴのほわっとした笑顔が、リナリには眩しすぎた。


「ここでは、採掘場を見せてもらいながら、いろいろな人に精霊についての話を聞いていきます。それは実際に魔術の話でもいいし、伝承や子供向けの物語でもいいです」

「はい」

 そうだ、遊びに来ているんじゃないんだから、しゃんとしなくちゃ。

 リナリの顔が引き締まる。

「目的は、石の精霊に関する情報です」

「石……」

「石は珍しいですからね。ただこれは、すぐに本にするわけではなく、その下地とでも言いましょうか」

「わかりました」


 確かに、チュチュという石の魔術師が身近にいるので忘れがちだけれど、石の祝福を受ける人間は少ない。

 石の精霊は、その名の通り石頭なのでは、なんて言われているけれど、流石にそんな事で頑固だと言われる精霊もかわいそうだと、リナリは少し思う。


「それでは、今日は宿に行く前に採掘場を見に行きましょうか。時間は少ないですからね」

「はい!」


 二人は採掘場へ案内してもらった。

 採掘場と呼ばれるそこは、いくつもの洞窟が並んでいる。

「すごい……」

 リナリが呟く。


 それから、取材は滞りなく進んだ。

 レーヴが話を聞き、リナリがメモを取る。

 すっかり助手の雰囲気だ。


「今、活気があるのは、そこの第二路でしょうなぁ」

 案内された洞窟は、確かに人の出入りが他よりも活発なようだった。

 お茶を持って行く女性を見ながら、レーヴが尋ねる。

「では、入ってみたいのですが」

「そうですね。中に事務所が構えてあります。そこまでならいいでしょう。少し足場が悪いので、お気をつけくださいね」

毎度おなじみ、二人でお泊まりエピソードです!

この二人は二人っきりで居てもけっこうほのぼのかな?

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