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抜剣少女は魔術教師に恋をする  作者: みこ


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35/110

35 四角関係(3)

「あれ?」

 チュチュが周りを見渡す。

「エマ達がいない」

「……そうだね」

 また二人で今日の劇について話していたところ、エマとヴァルが居なくなっていることに気がついた。

 今日は徒歩で来たし、待ち合わせ場所というものもない。

 シエロがにこやかに言う。

「まあ、迷子なんて事もないだろうし、デートしたかったんだね。学園には戻るだろうから、二人でのんびり帰ろうか」


 その甘美な誘惑。


 エマ達は大丈夫かな。心配ではあるけれど。

 二人で歩けるなら二人で歩きたい。


 ……二人で歩いていいのなら。


「うん。あーんなラブラブカップル置いて帰ろー」


 二人、商店街へ向かう。

 景色はぼんやりとオレンジ色に染まりかけていた。


 いつも以上に人出が多い。

 その人出を見た商店の人達が店を出すので、来る時よりも出店が増えている。


「すごーいにぎやか!」

 チュチュの目がらんらんと光る。

「メンテにお土産買っていく!リナリにも!」

 そう言って、チュチュはシエロの腕を引っ張った。

「はいはい」


「あれ!美味しそう!」

 そこでチュチュが向かったのは、わたあめの店だ。

「わたあめじゃお土産にならないよ。双子に渡す時、棒だけになってるよ」

「くーださーい!」

 あーん、と一口。

「先生、美味しいよ。はい!」

「え…………」

 わたあめを押し付けられ、引いてしまったシエロだったけれど、仕方なく、わたあめを一口いただいた。

「うん。……わたあめなんて初めて食べたよ」


 え……。

 先生、ちょっと嬉しそう?


 そんな嬉しそうな顔を見てしまったものだから、チュチュもつい張り切ってしまう。


「あれ!あれおすすめだから!!」

 と、シエロの腕を引っ張って歩いた。

 チュチュが向かったのは、ケーキ屋が出しているドーナツの出店だった。


「美味しいよ〜!ほら」

 沢山買った紙袋からシエロに一つ差し出すと、チュチュも一つ口に咥える。


「うん。美味しい」

 そう言ったシエロの顔が、少し綻んだ。


 や、やっぱり、先生ちょっと嬉しそうだ。


 こんな顔を見せられるとドキドキしてしまう。


 張り切りすぎて、商店街を抜ける頃には、チュチュは両手いっぱいに食べ物を抱えていた。

 鯛焼き、たこ焼き、焼きそば、オムライスまである。

 それに、リナリが帰ってくる時のために、小さな紅茶の葉が入った缶を3つ買った。


「急いで帰らなきゃ!メンテが晩ご飯作る前に!!」

 思わず早足になるチュチュを、シエロが笑いながら追いかける。

「まったく……雰囲気も何もあったもんじゃないな」


「せーんせ!何か言った?」

「いいや。そんなにドーナツがどこに入ったのかなって言ったんだよ」

「な……っ!?晩ご飯の前だから、ドーナツは3つで我慢したよ!?」

「ははっ」

「先生!たこ焼き冷めちゃうから急いで!」


 振り返ったチュチュの足は、すっかり駆け足モードだ。


 そんなチュチュを見たシエロが、また笑った。

「メンテのために急ごうか」

「うん!超特急〜〜〜〜〜〜!!!」

まるでお祭りのようになってしまった商店街。

食べ物のお店ばかりではないのですが、ちょうどそんなお店ばかりの場所を通ったようです。

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