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抜剣少女は魔術教師に恋をする  作者: みこ


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33/110

33 四角関係(1)

 チュチュは、自分の手の中にあるチラシをじっと見た。


 町でもらったチラシには、劇団がやってくると書いてある。

 どうやら、水の精霊セラが出てくる伝説を劇にしたもののようだった。


 これ……先生を誘ったら来てくれるかな。


 きっと、ダメって言われるだろう。

 断られるってわかっていれば怖くない。


 大丈夫。

 誘わないで後悔するよりも、誘って膝を抱える方がいい。


 そこで、授業終わりに、チュチュは廊下でシエロを捕まえた。


「先生」

「ん?」

「あのね、これ、一緒に行かない?」

 言いながら、町でもらったチラシを見せた。

「演劇か……」

 じっとチラシを見たあと、シエロは、

「いいね」

 と返事をした。


「えっ」

 つい、予想外の言葉に、声が出てしまう。

「じゃあ、行く!?」

 期待が声に出てしまう。

 こんなつもりじゃなかった。

 デートだとか、気負わせるつもりじゃなかった。

 あくまで、友達みたいな、師匠と弟子みたいな、そんな感じで誘っているように見えたらいいと思ったつもりだった。


「えっと……、他に誰か誘ってもいいかな?」


 けど、やっぱり先生からそんな言葉が出てくると、拍子抜けしてしまう。


「ああ……うん。もっちろん!」


 明るく言ったけれど、心の中では、やっぱりな〜なんてガッカリしてしまう自分がいる。


 お出かけはできるんだから、落ち込まない!

 そっかぁ。

 先生とお出かけかぁ。


 そのすぐ後、ヴァルの部屋の扉が叩かれた。


 トントントントントントン。


「なんだよ、うるっさい……」

 嫌々ながらもヴァルが扉を開けると、そこに立っていたのは、シエロだった。

「……どした?」


 シエロは、珍しく慌てた顔をしていた。

 ヴァルの部屋に転がり込むように入ると、後ろ手で扉を閉める。

「チュチュに、演劇に誘われて」

「え〜と……。いってらっしゃい?」


「いやいやいや」

 シエロがぶんぶんと首を横に振る。


「何の用……」

 言いかけると、ヴァルの腕がシエロの手でガシッと掴まれる。

「…………おい」

「一緒に、行ってくれないかな」


「…………」


 じっとお互いの顔を見やる。


「断る」

 ヴァルは、シエロの泣きそうな顔を見ても、しれっとそう答えた。

「そんなこと言わずにさぁ」


「誘いを受けたのはお前だろ」

「……最近、チュチュも頑張っているから。御褒美になればいいかと思ったんだ」

 そう言うと、シエロは一つため息を吐いた。


「……そうだな。わかった。エマも連れて行く」


 根負けした形で、ヴァルが行くことになった。


 夜の食堂で、ヴァルとエマはクッションコーナーに居た。

「それで、明日演劇を観に行くことになったの?」

「そ。行くだろ?」

「うん」


「町に劇団が……」のあたりを聞いたところまでは、デートのお誘いかと思ってしまった。

 エマは、ちょっと慌てた表情を隠す。

 けど、まあ、楽しそうだし、いいんだけど。

 私たちが居なかったら、チュチュはシエロくんと出かけられないだろうし。


「楽しみだね」

 エマが、ふわっと笑った。

ここから4話でほんわかデートエピソードです。

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