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抜剣少女は魔術教師に恋をする  作者: みこ


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30/110

30 お仕事しましょ(5)

 前方にいた騎士二人が、隠れ家の方へ向かったのを見届けると、シエロとチュチュの二人も、隠れ家へと向かった。


 路地に入ってから6つ目の扉……。ここか。


 辿り着いた先は、確かに見落としてしまいそうなほど地味な木製の扉だ。

 そこにはただ扉一つだけがあり、一目見ただけでは、どこかの物置か裏口のようにしか見えない。


 中の様子を窺うと、人の叫び声がした。

 カン、カン、と刃の交える音もする。

 どうやら、大乱闘の最中らしい。


 二人は、後方に二人、扉の見張り役の騎士がいる事を確認すると、一度壁に張り付き、扉を杖で開ける。

 見ると、すでに気を失った男達が3人。

 残りの4人と騎士団が乱闘を繰り広げていた。


 扉の中は、どうやら放置された元酒場のようで、狭くはない。

 10人以上いる騎士団がみるみるうちに男達を追い詰めていく。

 一人、特に上質な服を着ている男が、例の子爵令息だろうか。


 チュチュが自分のナイフの場所を把握し、シエロが杖を構える。


 男の一人が、一人の騎士のナイフを蹴り上げ、そのナイフを手にした。

 振りかざしたところで、チュチュが手を握り、そのナイフを消す。

「あ!?」


「ジュエル」


 チュチュのベルトに付いた黒い石の前に、魔法陣が光り、弾けるように消える。

 チュチュの右手には、新しい黒いナイフがに握られた。

「ジェレミー」

 ナイフを蹴り上げられた騎士の名を呼ぶ。

 黒いナイフを空中へ放り投げると、名を呼ばれた騎士が落ちてくるナイフを受け取り、武器を失った男を制した。


 その調子で、ナイフを入れ替えながら、戦闘が続いた。


 全部で32本。

 額に汗が浮かぶ。

 意識が飛びそうになるのを堪えながら、ナイフを操っていく。


 あと2人。


 チュチュがナイフを操っていることに気付いた一人の男が、チュチュに向かって花瓶を投げる。


 大丈夫。信じてる。


 みんなのナイフに集中……!


 ゴッ、と音がして、シエロの杖が花瓶を叩き落とした。

 シエロがその男を睨みつけ、キリアンがナイフを突きつけた。


 そして残った2人を捕まえると、全ての人間を取り押さえることに成功した。


 捕まえた男達は、第三騎士団が直々に取り調べを行うことになっており、馬車で連れて行った。

 エーデルは、シュバルツの屋敷に戻り、報告をしてから、取り調べに加わるようだ。


 とっ……と、チュチュの足がふらつく。


 終わ……った?

 終わったんだよ、ね。

 よし、アタシ、がんばった…………。


 気が抜けてしまったのか、ふっと目の前が、幕が降りるように真っ白になる。

「チュチュ……!」

 記憶が薄れる中、聞こえたのはシエロの声だった。

お仕事エピソードは次回まで!

恋愛がメインなのだから、これからちょっとずつ甘くなっていくはずです。

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