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27 お仕事しましょ(2)

「それでやっと、犯人の目星が付いてね」

 と、エーデルは1枚の紙を引っ張り出した。

 そこには、一人の青年のイラストと、プロフィールが書かれていた。


「彼は、スターノック子爵令息。貴族のようだから、どこかのパーティーでブランカ様を見かけた可能性が高い」

 チュチュもそのプロフィールを覗く。

 見た感じ、これといって特徴もないような青年だ。

 特に魔術も剣術も学んでいないようだし、戦闘能力はそれほどなさそうだ。

「評判は悪いようだ。友人達のガラが悪いとか……」

 確かに、この間居たような男達とつるんでいるなら、ガラが悪いどころではないだろう。

「スターノックが治める町は、ここからそれほど遠くはない。幸い、いつも居る隠れ家もわかっている。これからその町に行って、一泊。翌日集まっている所を抑えようと思う」


 そんなわけで、シエロ、チュチュ、キリアン、エーデルの4人と、騎士団員15人のメンバーの一行は、学園の幌馬車と馬で、その町へ向かった。

 町は比較的大きな町だ。


 泊まる予定の宿は、町の中心地からは外れているが、とても大きな宿だった。

 騎士団用に大部屋と、他に3部屋取ってある。


「3部屋……ということは、チュチュは僕と一緒かな?」

 なんともない様子でシエロがそんなことを言うので、

「ふあっ!?」

 と変な声が出てしまう。


「そ、そんなわけ……」

 最後まで言い終わらないうちに、ガンッ!とシエロの杖が剣を受け止めた。

「チュチュはオレと同じ部屋だよ。残念だったなぁ。変態教師」

 キリアンが、もう一度剣を振り下ろさないよう、チュチュはキリアンを部屋の中に押しやる。

「パパ、ほら、この部屋みたいだよ」


 まったく……先生ってば、流石になんて酷い冗談を言うんだか……。


 もし襲撃があったとき、チュチュ一人では、撃退できないだろうということで、パパと同じ部屋にされたのだ。

 これは、アタシの力不足としか言いようがないけど。


 部屋に入ると、広い部屋の中に、ベッドが2台、大きなタンスに、小さなテーブルと椅子が2脚。

 家具は、シンプルながらも、いい素材を使っているようだ。


 万全を期すということで、食事も騎士団用の大部屋に運び込んでもらうことになった。

 一人ずつの食事を準備するのは大変だということで、ほとんどが大皿料理だ。

 大量の大皿の周りに、人間が群がるように食事にありついた。


「このクッキー、先生好きそう」

 甘いクッキーを隣のシエロに差し出すと、シエロが困ったように笑った。

「ありがとう」


 ……小さな違和感。

 いつもなら、こんな風に困った顔はしないのに。

 それほど、アタシの気持ちが迷惑?

 会話をするだけでうっかり困った顔を見せてしまうくらい?

 なんの反応もしてくれないのも寂しいけど。


 アタシだって、困らせたいわけじゃ、ないのに。

ホテルかなってくらいの大きな宿です。

なんと15人泊まれるほどの大部屋まであります。

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