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裏エピローグー転生者2人

前の話から時間が戻っています。

最終話から数年後、アリスが2人目の子を産んだ時点です。

 私が結婚して、3年が過ぎ、2人目の子が授かった。

 最初の子シャーロットが女の子で、夫エドワードはまたも女の子だったか、と内心では残念がっていたようだが、2人目は待望の男の子だった。

 義父チャールズ大公殿下は、私が男の子を産んだことから、ようやく自分でも心の整理ができたようで、私を息子の第二夫人として認め、自分の家を私が訪問することを許した。

 私はこれを機会に何年も気にかかっていたことを確認しようと決めた。


 私が初めて、義理の両親の家を訪ねた時、メアリ大公妃殿下も幸いなことに在宅されていた。

 私はお二人に挨拶をした後、メアリ大公妃に「漫画、暁星に願いを」とささやいた。

 メアリ大公妃の顔色が急変した。

 やはり、メアリ大公妃も私と同様の転生者なのだ。

 私は確信した。

 だが、さすがはメアリ大公妃だ。

 声までは震わさずに私にささやき返した。

「私の後に黙ってついてきて」

 私は黙って肯き、後をついて歩いた。


 メアリ大公妃と私は、メアリ大公妃の私室に入った。

 メアリ大公妃は侍女に人払いを命じ、私達は二人きりになった。


「あなたも転生者なのね」

 メアリ大公妃の問いかけに、私は肯いた後、問いただした。

「どうして、この世界はこうなったのですか」

「私の前世の記憶が甦ったのは、私が21歳の時だった。もう、その時には妹のアンはキャロラインを懐妊していたの。それは、よりにもよって、私とチャールズの結婚式の席だった。天国から地獄に落とされる気分だったわ。もっとも、この世は地獄だけど」

 メアリ大公妃は遠い目をされながら、独り言を言い始めた。


 この世は地獄、真教はそう説いている。

 何故なら、この世は悪魔が造ったものだから。

 地獄のこの世で輪廻転生を繰り返し、最後の審判を人は受けるのだ。

 私は修道院付の孤児院で自然と覚えたそのことをあらためて思い起こした。


「それで、私は狂死したくなかったから、キャロラインを手元に引き取り、チャールズと仲良くなって、アンとチャールズを引き離そうとした。チャールズはアンを諦めてくれたけど、アンは諦めきれずに、原作と違ってチャールズを積極的に誘惑した。そして、私はアンをチャールズから完全に引き離すために、アンとヘンリーを結婚させた。まさか、そのことが「帝都大乱」を引き起こすなんて」

 メアリ大公妃は涙を浮かべた。


 私は思った。

 私がメアリ大公妃の立場に転生していても同様の行動を執るだろう。

 メアリ大公妃を私は責められない。


「分かりました。後一つ、教えてください。キャロライン様と夫は、どこまで真実を知っているのですか」

「キャロラインもエドワードも自分がチャールズとアンの実子だというのは知っているわ。でも、お互いに血が完全につながった姉弟というのは知らないはず」

 そこまで、言われた後、メアリ大公妃は私を睨み、強い口調で言った。

「いい、あなたが2人に血が完全につながった姉弟だというのを漏らしたら、あなたの命を奪うわ」

 私は、メアリ大公妃の凄味を痛感し、黙って肯いた。

 それを見たメアリ大公妃は口調を和らげた。


「それにしても、あなたがエドワードの第二夫人になったとはね。原作では、あなたは、単なるアン付きの宮中女官、いわゆるモブだったのに。原作ファンの噂は本当だったのかしら、原作世界で、あなたはエドワードの愛人説があったじゃない」

「それどころか、ジェームズとエドワードと二股かけているアバズレ女と言う噂までありましたよ」

「酷すぎる噂を、あなたは立てられていたものね」

「酷すぎます」

 私とメアリ大公妃は長いこと、原作世界のことを語り合った。

 今の私達にはパラレルワールドの世界、そして、そのことを知っているのは私達2人だけだ。

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