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Odd I's  作者: TEAM,IDR
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序章-2「討ち合い、ぶつかり合い」

「Odd I's」

序章「獣狩り」

第2話「討ち合い、ぶつかり合い」

ワンちゃん「この山の中か…」


キーホルダーの匂いを頼りに山の入り口まで来た楓とワンちゃん。

楓「まだ追跡できそう?」

ワンちゃん「やってみる…」


そう言うと山の方から風が吹いてきた。これはワンちゃんの能力である。風を操るのはワンちゃんの能力のうちの一つだ。

楓「…どう?」

ワンちゃん「…匂いは途切れてる…でもそこまで行ってみる価値はある。」



ガサガサ……

大きな戟で草木を切りながら進む。

楓「ねぇ待ってよ~!こんなとこ、こんな格好で来ていいの~?もうちょっと準備してから行こうよ~!」

ワンちゃん「だからついて来なくていいっつったろ!いつもゴロゴロしてばっかの探偵さんには到底進めないからよ」

楓「も~!ワンちゃんのためにも言ってるんだからね~!変な虫とかいるかもしれないよ~」

ワンちゃん「準備なんてしてたら日が暮れちまう。そうなったらいよいよ捜索は無理だ。今にも震えて待ってるかもしれないってのに、じっとしてなんかいられねぇんだよ。」

楓「……………わ!なに?」


歩みをとめる。

ワンちゃん「…何かいるな…獣か?…5…6…7か? とにかく行くぞ」

楓「え!?待ってよ~!やばいって~!」


草木を突っ切り、獣の群れを目視で発見。そこには人?の姿があった。

ワンちゃん(っ!…コイツは…!なんで人と一緒にいるんだ?もしかしてこの人も?)

ワンちゃん「おい!お前!そこで何してる!?」

???「ひっ!?」


そこに居た人は茶色い武具を身に纏っていた。フルフェイスのヘルメットもつけている。どう見ても一般人じゃない。数十年前にいたヒーローのような恰好をしていた。

ワンちゃんは戟の矛先を相手に向け睨みつける。

ワンちゃん(…襲われている様子じゃないな…だが、どう見てもコイツは畑を荒らした犯人たちだ…!)

すると、獣たちはワンちゃんに襲い掛かってきた。

咄嗟に戟でガードの体勢に入るが…

ワンちゃん「くっ…!コイツ…強いな…!」

楓「ワンちゃ~ん?…わっ!!」

ワンちゃん「楓!逃げろ!」

楓「キャーー!!」


ワンちゃんを囲んでいたうちの一体が楓を襲う。その時、ワンちゃんのスイッチが入った。

爆発的な瞬発力で獣を撥ね退け、楓に向かった獣の首をぶった切る。

その時、いつもは銀色に輝く瞳が真っ赤に光り鬼のような形相をしていた。


楓「はぁ…はぁ…は…は…」(怖くて声が出ない……こっちも怖かったけど…やっぱりこっちの方がずっと怖いよぉ…)


返り血を浴びたワンちゃんは振り返り、

ワンちゃん「へぇ…少しは楽しませてくれそうじゃん…オラ…かかってこいよ…!!」


獣を挑発すると、一斉に襲い掛かってきた。 ワンちゃんは戟をブンブンと振り回し、物凄い勢いで叩き切っていった。

全部倒したかと思うと、横からもう一匹現れた。その隙に茶色い武具の人は逃げて行った。

現れた一匹を正面から真っ二つにし、人を追おうとすると横からさらにロボットたちが出てきた。


ワンちゃん「うおっ!?」

トオン「うわぁ!?」 ルウラ「むっ!?」 マイド「おわ!?」 クーゴ「おおー!?」

ワンちゃん「なんでお前らがここにいる!?」

ルウラ「…この真っ二つになっている個体を追っていた。捕獲しようと思っていたがまさかな…」

ワンちゃん「まぁいい、話はあとだ!ついて来い!!こいつらのボスを見つけた!」

マイド「何!?」

ルウラ「なら急ぐぞ!」

クーゴ「はいはい…」

トオン「わたしは楓さんを見てる!」

ワンちゃん「わるい!任せた!」


トオンと楓以外の四人は謎の人物を追った。



???「はぁ~…はぁ…」

ワンちゃん「待ちやがれ!ようやく追いつめたぞ。」

???「ひぃ!!」


何かの建物の壁際まで謎の人物を追いつめた。


マイド「ワンちゃんさん、この人は一体なんだって言うんですか?」

ワンちゃん「わからねぇ…だが、あの獣たちがこいつの味方なのは間違いない。」

ワンちゃん(わからねぇことばかりだ…とりあえずこいつが誘拐事件に関わっているかカマかけてみるか…?クソっ!頭使うのは苦手なんだよなぁ…)

ワンちゃん「お前が犯人なのは分かっている!何のためにこんなことをした!」

???「……………………お…お金のため………」

ワンちゃん「金…だと…!?金なんかのためにっ…!」


ガコン!

話の途中で、壁の扉が開き蜘蛛のようなロボットがわんさかと出てきた。


ルウラ「!?次はなんだ!?」

クーゴ「…やばいかもな」


謎の女を護るように並んだロボットは、体に取り付いている機関銃で一斉掃射してきた。

ワンちゃん「くっ!」


四人は後ろに下がり、木の陰に隠れた。

マイド「まずいな…どうする?」

ルウラ「………」


すると、ドォン!という音とともにロボットが一体破壊された。

陽介「ルウラ聞こえるか?状況はあとで聞く。とりあえずあの機械は破壊していいな?」

ルウラ「!…はい、お願いします。銃撃が弱まれば加勢します。」

陽介「ああ。援護は任せろ。」

ルウラ「八城さん、隊長が応援に来てくれました。隙を見つけ次第我々もあれを破壊しましょう。」

ワンちゃん「おうよ!」


そこからは形勢が逆転し、ロボットがどんどんと破壊された。

ルウラ(隊長…あの武具を着た女は危険人物です。拘束してからでないと話し合うのは困難かもしれません。麻酔弾ならトオンが持っていますがどうしますか?)

陽介(トオン、あいつに麻酔を撃ち込めるか?)

トオン(了解です!)


戦闘の混乱に乗じて弾丸を撃ち込むトオン。しかし

ピクッ…カァン!

謎の女はいつの間にか持っていたトンファーで弾丸を打ち落とした。

トオン(!!)

陽介(なんだと…!?)

「…っふ~…」

陽介(コイツは危険だな…安全を守るためにも……まぁこんだけの戦闘があれば一人くらい…) (そうだよ…バレねぇよ…殺しちまえよ…)

ドンッ!!!

陽介のスナイパーライフルから弾丸が放たれる。高威力、大口径の弾丸。喰らえば衝撃波で大穴が空く。どれだけ防具を着こもうが当たれば致命傷になる。だが……

ガンッ!!!

相手はトンファーで弾いた。

陽介(っ!!…やはりコイツ人間を超えている…だが、俺は超えられない…俺の弾丸は地面と壁に反射して再びお前を狙う!死角からの攻撃!本当に狙ったのは頭だ!即死は免れない!)

ピキピキィ…!!

陽介「なっ!!?」


弾丸は空中で氷に包まれて止まった。

「…さすがのわたしもここまでされる覚えはありません。…怒りましたよ…!!」

ルウラ「なんだ!?」

ワンちゃん「コイツは…!?」


ピシィ…!ミシミシ…!!!

謎の女はトンファーを構え、自分の半径10メートルほどを冷気に包んだ。

「これより一歩でも入れば本気で打ちます…!!今すぐどこかへ行ってください…!!」

ドンッ!!!

ライオン…。この威圧感からは生物の王たる強さを感じる。獲物を狙う眼光、生命を停止させられる冷気…この二つを前に飛び込む者などいるはずが…

ワンちゃん「ハハハ…おもしれぇ…!!」

いた。こいつは見境なしに手を出す真の獣。己の昂ぶりを満たすためだけに戟を振るう狂人…いや狂犬。 凶暴さが溢れ出る眼光は、もうそれだけで相手を噛みちぎりそうなほどだ。

この二匹の獣がぶつかり合うかと思われたが…

マイド「ワンちゃんさん!ここは一旦退きましょう!」

ルウラ「こいつは強い。それにこちらは準備も出来ていないうえに情報の共有も出来ていない。一度整理するべきだ!」


ロボット二人に肩をつかまれるワンちゃん。二人を見たあと、相手を睨みつけるが数秒まぶたを閉じたあと

ワンちゃん「…そうだな…仕方ねぇ帰るぞ!」


と言い、撤退を始める。(この時眼の色は銀色に戻っていた…)


*


全員ボロボロになりつつも村まで帰ってきた。コトミの家に上がり、全員で情報の共有をした。


陽介「…なるほどな…」

マイド「どうしますか、隊長?」

ワンちゃん「どうもこうもねぇだろ、もう一度乗り込んであの女を捕まえりゃいい。」

陽介「…あいつを捕まえる理由はいくらでも作れるだが、あの奥にあった建物を調べるのは今日中じゃ無理だ。あれは報告案件だ。上層部へかけあって、部隊もいくつか派遣しなければならない。」

ワンちゃん「そんな時間ねぇだろ!あの中に捕まってるかも…いや、あん中にいる!あの女は金のために獣を操って誘拐してんだ!」

楓「ワンちゃん、落ち着いて!」

ワンちゃん「……」

楓「物事を決めつけすぎだよ。現時点ではその可能性が高いってだけで証拠があるわけじゃないよ。それに、その女が言ってたお金のためっていうのも気になる…。誘拐してお金を取るなら親に身代金を要求するのがセオリーじゃない?」

ルウラ「その通りだ。だが、親御さんのところへ連絡は来ていない。お金のためというのが本当なら、あいつは首謀者ではなく雇われただけなのかもしれない。」

マイド「しかし、なんにせよ今回の事件に関わっている事件は高そうだ。あの女性から事情を聞くことから始めるべきだと思う。」

トオン「でも大人しく捕まってくれるのかな…?」

楓「問題はそこね…話を聞くかぎり半端なやり方じゃ捕まえられなさそうだけど」

陽介「だから応援が必要だと言ったんだ。もう、この話は終わりだ。あとはこちらでなんとかする。今日のところは引き上げだ。」


誰も何も反論しないまま話し合いは終わりとなり、警察部隊は帰宅の準備をしに退室した。

部屋に残ったのはコトミと楓、ワンちゃんの三人。

ワンちゃん「………………」

楓「……ウチらも帰ろうか…?」

コトミ「そうね、もう遅くなってきたし帰っていいわよ。あとは警察に任せればいいし…」

ワンちゃん「アイツが逃げたらどうする?」

楓「……もう逃げてるかもしれないね。」

ワンちゃん「…あの建物の中に何か秘密があれば逃げ出すのにも時間がかかる。今から行けばまだ間に合うかもしれない…」

コトミ「ワンちゃん、焦り過ぎよ。そんな状態で行くのは危険だわ。相手も一筋縄ではいかないんでしょう?一度頭を冷やしなさい。」

ワンちゃん「子どもの生死がかかってるんだぞ!?なんであんた達はそんなに落ち着いていられる!?今すぐ立ち向かえるのはアタシだけなんだ!」


ワンちゃんは立ち上がり、行こうとする。

楓「待って!!…相手が強いのは知ってるでしょ?一人で行くなんて危なすぎるよ!」

ワンちゃん「楓はあたしが負けると思ってんのか…?」


しがみつく楓を見下すワンちゃん。その怒気のこもった眼光はあの時の狂気の片鱗を見せていた。

楓の全身には鳥肌が立ち、目の前の人物を“ワンちゃん”だと思わなければ力を入れられないほど怯えていた。


楓「…やめてよ……その顔…すごく怖いよ……そんな顔しないでよ……ワンちゃん……」


楓の声は震え、涙を流しながら懇願する。

ワンちゃん「…っ~!…わかったよ!すぐには行かねぇから!だから泣くな!」

楓「…ぐすっ……うん……」

ワンちゃん「……しゃーねー。ワタシ達も上がるぞ。」

楓「……うん……そうね。」


二人も帰宅の準備を始めた。二人を見送るコトミだったが、ワンちゃんのことが気になる様子。

二人が帰るとコトミはある人物に電話をかけた。


*


その日の夜。

ワンちゃん(ふぅ…やっと着いたか。…楓にはわりぃが、助けを求める子どもはほっとけねぇんだ…。一人の母として…ヒーローとして…)


山に入ろうとするワンちゃん。すると…

??「そこの者!止まりなさ~い!」

ワンちゃん「いっ!?(ビクゥ!)……ってなんだよ、お前らか…」

トオン「わんわんさんっ!さっき振りで~す!」

マイド「僕たちもついていきますよ!」

ルウラ「コトミさんに頼まれたんだ。もし、八城さんが山に入るようなことがあればついていってほしいと。」

ワンちゃん「コトミおばさんが!?……はっ…すっかり読まれちまってたか…」

マイド「一応僕らは警察側のロボットで、作戦では応援部隊と打ち合わせしてから行く予定でしたが、コトミさんからの命令だし隊長から「あの山に行くな」なんて命令は出ていないので来ました!」

クーゴ「まぁ俺たちにはボスから特別に報酬が出るからね~。ってことでよろしくたのんますよ、八城さん」

ワンちゃん「ああ、こちらこそよろしく頼んだ!ワタシは頭使うのが苦手だから心強いよ!んじゃ、お前ら…行くぞ!」

四体「「おー!」」





夜の山の中で再調査を行う5人。五人は建物の中で何を見るのか?謎の女の正体は?少女は見つかるのか?そしてこの謎の光は一体!?

次回『闇との邂逅』


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