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序章-3「闇との邂逅」

「Odd I's」

序章「獣狩り」

第3話「闇との邂逅」

 山の中へ入り、謎の女がいた建物の近くまで来た五人だったが


ワンちゃん「なんだこれは!?」

目の前には建物を覆いつくすほどの氷の塊があった。


ルウラ「これはあいつの能力か…?」

マイド「氷を操る超能力というわけか。そんなことができる人間がいるのか…?」

クーゴ「普通なら考えられんが“あの人たち”に関わっている人間なら出来るんじゃないか?」

ルウラ・マイド「…!」

ワンちゃん「…ま、その話は後でいいだろ。今は目の前にあるこれをどうするかってことが問題だ。」

ルウラ「…この氷、かなり分厚いな。全て破壊するのは得策じゃない。入口を探してその付近の氷だけを破壊しよう。」

ワンちゃん「入り口を探すってどうやって探すんだ?こんだけ壁が分厚いといくら見たって分かんなくねぇか?」

ルウラ「おそらくここは研究施設だ。こんな山奥で隠れて研究をしていることからも入口付近には厳重なロックがかけられているはず。それを逆手に取り、電子機器の反応が高い所を探ります。」

ワンちゃん「そんなことできんのか…やっぱあんたらが居て正解だったよ。一人で来てたら手あたり次第ぶっ壊してたからな…」

ルウラ「…見つかった…トオン、あそこの壁撃ち抜けるか?」

トオン「ちょっと出力上げるけどいいかな?」

ルウラ「もちろんだ。」

トオン「アイアイサー!」


キュィィィイイイン!!! トオンの胸のあたりが音を立てながらぼんやりと明るくなる。マントを取り、背負っていたやたらと大きいバックパックからガトリング砲を取り出し

トオン「じゃ、いっくよ~!!」


ドゥルルルルルルルルルル!!!!!!!

超速回転する砲身から凄まじい威力の弾丸が絶え間なく発射される。 氷の壁だけでなく、扉、周りの壁までも破壊した。

シュルルルルル……

ガシャン…! チャキッ!

ガトリング砲を置き、バックパックからさらに銃火器を取り出す。

トオン「よっし、破壊完了!行きますか!」

「「ああ!」」

ワンちゃん「あんたやるじゃないか!」

トオン「いえ~それほどでも~」


トオンの頭をくしゃくしゃと撫で、賞賛するワンちゃん。 そして、五人で正面から建物へ乗り込んだ。


クーゴ「入り口から入っていくなんて堂々としすぎだよな」(少し笑いながら言う)

マイド「相手はコソコソと善からぬことをやっているんだ。こっちはこれくらい堂々としていた方が良いだろ。」

ルウラ「物理的なロックがある以上隠密行動は無理だ。それに、研究員も使うであろう入口ごと封鎖していた所を見るとここはもう使う予定がないのかもしれない。おれ達に居場所がバレた時点で切り捨てるつもりだったのかもな。」

トオン「確かに人がいる気配がないね~」

ワンちゃん「誘拐された子もここにはいねぇか…」

マイド「…その可能性が高いかもしれませんね。でも、無理にでも進入した甲斐はあると思いますよ。見てください。これは研究の資料でしょうか。全てを持ち出すには時間が足りなかったようですね。」

ルウラ「……予備電源がかろうじて残っている。このデバイスからも何かしらのデータにアクセスできるかもしれない…」

ワンちゃん「おお、そいつは良かった。ぜひあんたらの調査のために持って行ってくれ。」

クーゴ「おい皆!こっちに来てくれ!!」


突然、別の部屋を探索していたクーゴに呼ばれ行ってみると…

ワンちゃん「…っ!!!なんだよ…これ…!?」


そこには液体に浸された人型のモンスターが何体もいたのだった。

ルウラ「研究の目的はこれか…」

マイド「……トオン、何か気になるか?」

トオン「えっ!?…いや……思い違いだったらいやなんだけど………」

ルウラ「どうした?」

トオン「……これ、元は人間だったなんてことないよね…」

「「!!!」」

クーゴ「…たしかに人型だけどさ~さすがにかけ離れすぎじゃない?」

トオン「…そうだよね…そうだよね!あはは…」

ワンちゃん「……見ていて気分が良いもんじゃねぇな…ここに誰もいないってんならあたしが来た意味はもうないな。あたしは外で待ってるよ。」

ルウラ「…おれは向こうのデバイスからデータを取ってくる。」


そう言ってルウラとワンちゃんが部屋を出ようとするが

ワンちゃん「……あれ?ここ押したら開かなかったか?」

ルウラ「何っ!?」

「LOCK」


ルウラが扉のロックを解除しようとするがその瞬間警報が鳴り響く。

ブー!ブー! 警告 これより 30 秒後に爆破します。職員は速やかに退避を。繰り返します…


マイド「30秒!?あと30秒でどうしろってんだ!」

クーゴ「ルウラ!扉は開かないのか!?」

ルウラ「ロックをかけられた!遠隔で意図的だ!30秒では脱出が間に合わない!」

クーゴ「どいてろ!」

キュィィィイ!!! 胸部のエンジンが高速回転し、エネルギーを高める。

クーゴ「セイヤァ!!!」

バン!!!!

エネルギーを高めて後ろ蹴りをするが、凹むだけで一撃では壊れない。

クーゴ「くっ!堅いな!」

ワンちゃん「アタシも力を貸す!っオラァ!!!」

ドン!!!!

「「オラオラオラァ!!!!」」

ドン!ドン!!ドン!!ドン!!!バァン!!!

扉を無理矢理蹴破る。しかし

…爆破まで5…4…3…

ワンちゃん「ちくしょう!入口は…」

トオン「こっち!」

2…1…

ドン!ドン!ドン!ドン!バン!バン!バァン!ドドン!!ドォォオオオオン…!!!!


*


建物は跡形もなくなるほど激しく爆発した。

ワンちゃん「くっ…おい!あんた達、大丈夫!?」

クーゴ「や…八城さん…踏んでます…」

ワンちゃん「お!そこにいたか…わるい…」

ガラガラ…

マイド「こっちはなんとか大丈夫です…」

トオン「ぷはぁ!はぁ~壊れるかと思った~」

ルウラ「…八城さんもご無事でなによりです」


強力な武器を持つ戦闘ロボットと鬼神が如き怪力のワンちゃんが苦戦するほどの建物が全壊するほどの激しい爆発。証拠となる資料やデータなどは木端微塵になってしまった。

瓦礫の山となってしまった惨状に呆然とする一行。


ルウラ「……証拠を消されてしまったな。ここまでするとは周到なやつらだ。」

マイド「だが、逆に考えればここまでしなければならない秘密だったってことだ。僕らはそのとんでもない企みの邪魔が出来た。今はそれでよしと考えよう。少しだがデータも取れたしな。」

ワンちゃん「…ったく…いったい何が起こったってんだよ…」

クーゴ「なんにせよ引きあげますか…。これ以上いても意味ないですし、俺らはこれを報告しなきゃならんでしょ。さすがにここまでになって嘘貫くのは無理でしょ」

ルウラ「そうだな…この件は報告するべきだ。人間のためにも…」

トオン「…うん…ん?なんかあそこ変に光ってない?」


トオンの指さす方にはたしかに不自然に輝いている場所があった。

ワンちゃん「おいおい…今度はなんだよ…」

マイド「とにかく行ってみましょう!」


*


五人が光に近づくと、そこには光り輝く一角獣がいた。 輝きのせいではっきりと姿は見えないが天に伸びる一本の角はとても印象的であった。

ワンちゃん「…ユニコーン…?」

マイド「あいつはなんだ?何をやっているんだ?」

トオン「っ!あれ!」


五人で警戒しながら観察をしていると近くに女性が横たわっているのが見えた。それを見るやいなやワンちゃんが飛び出す。

ワンちゃん「おいお前!そこで何をしている!?」


矛先を向けて問いかけるが、ユニコーンは驚く様子もなくゆっくりと振り返る。そしてどこかを見つめたかと思えば閃光となって消えた。


ワンちゃん「…なんだったんだ…?」

マイド・トオン「大丈夫ですか!?」


マイドとトオンが女性に駆け寄る。

トオン「…よかった…気を失っているだけみたいね…」

マイド「この女性は保護しよう。トオン、運べるか?」

トオン「うん、大丈夫。」

クーゴ「あ?またあっち光ってねーか?」


クーゴが指摘する。たしかにまた同じように光っている。

ルウラ(あっちは先程の現場の座標…)

ワンちゃんも気づき、瞬時に光を追った。

クーゴ「あっ!おい!」


ワンちゃん(なんなんだこれは…!あの氷の女といい、気味の悪いもんといい…で、おまけにユニコーンかよ!イライラしやがる…!わかんねぇことばかり増えやがって!)


ワンちゃん「おらァ!!てめぇまた何してやがんだ!?これ以上ふざけてると警察…」


ワンちゃんが到着した時、ユニコーンだった光は人型だった。相変わらず姿はぼやけていて細部は目視できないが手を出した状態で固まっていた。その異様な光景に驚き、絶句するワンちゃん。一瞬静寂に包まれるがそれも束の間。


オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!


突然叫び出し、両手を地に付ける。

光のオーラが体中から溢れ出し、大気を振るわせる。

そしてうめき声を上げながらミシミシと音を立てて、一角獣へと姿を変えた。しかし、なおを叫び続けもがき苦しむように暴れる。獣の咆哮と人の叫びが混じったようなこえが鳴り響く。

わけの分からぬまま立ちつくすワンちゃん。

ユニコーンはしばらく叫び、暴れると強烈な閃光を放って消えた。


呆気に取られていると、草陰からロボットたちがひょっこり出てきた。

トオン「大丈夫ですか?」

ワンちゃん「あ…あぁ…大丈夫だ。」

クーゴ「なんだったんですかぇ…アイツは…」

マイド「研究所の味方には思えなかったが…こちらの味方とも思えないな…」

ルウラ「あれは獣だったのか?ここの研究で作られたモンスターか?(……それとも…)」

ワンちゃん「わからねぇ…もう、帰ろう。疲れて変な幻覚でも見てるのかもしれん。」

マイド「ええ、そうですね。この方も安静にさせないとですし。」


五人は、倒れていた女性を抱えて山を下りた。


*


今回の事件をルウラがまとめ上層部へと報告をした。ルウラ達四人は勝手な行動をしたワンちゃんを止めるために同行し、成り行きでああなってしまったということにした。

なんであれルウラ達の活躍は認められ、警察でのロボット運用が正式に決定した。

一方、ワンちゃんは警察に厳重に注意をされ、約束を破られた楓にもこっぴどく怒られ、さらに紅葉探偵事務所は1ヶ月間の営業停止処分を受けてしまった。


*


ルウラ「では、我々はこれで。今までお世話になりました。」


荷物をまとめ、警察署をあとにしようとするルウラ達。そこに話しかける小太りの男がいた。

「君たち、待ちたまえ。」

マイド「? なんでしょう?」

「君たちの活躍は聞いているよ。うちでも調査兼、戦闘員のロボットを導入することが決まった。」

ルウラ「ええ。それが何か?」

「いやそれがね、決まったと言っても実はまだ確定じゃないんだ。」

ルウラ「どういうことでしょう?」

「君たちが優秀なのはよく知っている。だが、最後に確認をさせてもらいたい。」

マイド「確認?」

「そう。君たちが本当に安全かどうかをね。」

ルウラ「つまり、最後におれ達を解体して調べたいというわけか?」

「完全にバラすわけじゃない。ちょっと中身を見たいだけさ。これから送られてくるロボットは君たちと同じ型なんだろう?なら、基となる君たちが安全かどうか確かめなくちゃならない。」

クーゴ「ふ~ん。まぁ見るだけなら…」

そう言うクーゴを手で制し、

ルウラ「断る。我々の設計データは送られているはずだ。それに、後に送られるロボットをどう使おうが勝手だが、我々の解剖は契約に含まれていない。その要求に応じる義務などない。」

「義務がない…か。確かに契約には含まれていないが同じ型であるなら見られても何も問題はないだろう?それに、このままでは送られてきた君たちのデータが本当に正しいものだったのかを確認することができない。安全性と信頼を得るためにもこの調査には応じるべきだと思うがどうかな?」

ルウラ「何度も言うが応じるつもりはない。安全性を確かめたいのなら送られたロボットをいくらでも解体すればいい。どうせ貴方たちがこれから使うのは我々四人ではなく量産されたロボットだ。詳しく知りたいならそちらに時間を使えばいい。時間の無駄だ。」

「う~ん。君たちの言い分は分かる。だがねぇ、それではまるで君たちに隠し事があるみたいじゃないか。量産型はいくら調べても良いが、特別な君たちは調べられては困る秘密がある。私にはそう聞こえるんだ。」

ルウラ「やましいことなど一つもない。だが、義務もないし時間も無駄だから断ると言っているんだ。」

「義務のことだが、私は義務があると思うねぇ。ロボットは人間の道具だ。そして君たちも人間の手から生み出された。つまり人間は君たちにとっての神なんだよ。いかなる事情があろうと神に逆らう…つまりは命令に従わないロボットなんていらないんだ。いくら後のロボットに安全性が示されたとしても他に一体でも命令を聞かないロボットがいたらどうなる?市民の安全を守る警察が不安の種になるなんてあってはならないんだよ。 君たちは今ここで安全性を証明しなくてはならない。契約義務ではなく、道具としての義務でね…」

クーゴ「おいおい、このおっさん退かねぇぞ。めんどくせぇしもう見せちまえばいいじゃねぇか」

マイド「クーゴ。……貴方の言い分も一理ありますが…今はボスより帰還命令を受けていますので…」

「反抗する気か?人間の命令が聞けないのであればこの契約はなかったことになるが。」

ルウラ「勝手にすればいい。ロボットを必要としているのはお前たちだけじゃない。買い手なんざいくらでもいる。」

トオン「ちょっと!言い過ぎじゃない?」

「仕方がない。手荒なことはしたくなかったんだが…」

シュッ!パシィ!

話しかけた男の隣にいる男が銃を抜いたが、クーゴが銃を蹴り上げる。

クーゴ「やめとけ。実力行使で勝てると思ってんのか?」

「最後の警告だ。我々に従え。神に忠誠を示したまえ。」

ルウラ「断る。」

「…………」

ルウラ「………」


バッ! 近くにいる男、警官が戦闘態勢に入るが、ルウラ、クーゴ、マイドの人間の反射神経を圧倒する俊敏性で封殺する。

ルウラは隠し持っていた暗器を首元に突きつけ、マイドは関節技を決め、クーゴは数人を蹴り飛ばして行動不能にした。

トオン「やめてぇ!!」


トオンの叫びで動きが止まる。

トオン「わたし達は、マスターから早急に戻るよう命令を受けています!その命令を優先していたため要求に応じることができません!どうしてもわたし達を解剖したいならマスターに話を通してください!失礼します!!」


トオンは荷物を持って出口に向かう。

トオン「ほら行くよ!!!」

「「お、おう」」

マイド「………………」


退室するロボット達を無様な体勢で眺める男達。だが、話しかけた男だけは最後に笑みを浮かべていた。


*


「ただいま~」

「お帰り、結衣(ゆい)」

結衣「ん、あれ?おねーちゃん、絆凪(はんな)は?」

「ん~?二階で兄貴とゲームじゃない?なんで?」

結衣「いやだって、いつもならテレビ見てる時間じゃない?あの魔法少女のやつ。」

「あ~そっか。」

「そういえばそうね。紬(つむぎ)、ちょっと絆凪を呼んできてあげて。」

紬「え~なんであたしが…結衣が二階行くついでに行って来ればいいじゃん。」

結衣「あたしは今からアイス食べるから忙しいの!」

「だってさ!」

紬「はぁ~も~しょうがないな~」

「あ、ついでに紡来(つむぐ)にもそろそろご飯って声かけてきて」

紬「わかったよ…!」

結衣「そういえば今日のご飯なに~?…え!?嘘でしょ!?」

「ふふ~!今日はなんと高級お肉を使ったビーフカレーです!」

結衣「なんで!?おかーさん絶対にこういうの買わないじゃん!」

母「実はちょっとしたボーナスが入ったの。お母さんお仕事頑張ったのよ?」

絆凪「あ~!!マジカル☆キラリンが始まっちゃう!」 (ドタドタ…)

結衣「もうちょっと始まってるよ。あ!おねーちゃん知ってた!?これ!」

紬「なに?」

結衣「おかーさん、わざわざ高いお肉買って使ってるよ!」

紬「え!?マジで!?なんで!?」

母「ちょっとボーナスが入ってね」

紬「え~安月給なのに~?」

母「特別にね!今日はお母さんがお仕事頑張ったご褒美!明日からは節約生活に戻りますからね!」

紬「あぁ良かった、いつものお母さんだ。」

紡来「なに騒いでんの?ん、今日カレー?」

結衣「あ!にーちゃん聞いて!おかーさん高いお肉使ってるよ!」

紡来「マジで!?なんで!?」

母「も~みんな驚きすぎ~!」

絆凪「えへへ…!おどろきかたもいっしょだね!」

「ただいま~」

結衣「あ、おとーさんだ!」

紡来「父さーん!今日のご飯お肉が高級だよ!」

父「え!なんだって?」

紬「おかえり。ママ、高いお肉買ってきたんだって」

父「マジで!?なんで!?」

母「も~~!!」


*


この仲睦まじい家族の正体が判明するのはまた別のお話…。 

ルウラ達は警察側ともめていたがどうなってしまうのか。営業停止になってしまった紅葉探偵事務所はどうなるのか。 謎が謎を呼び、問題が問題を生む混沌とした状況。これらは一体何が原因なのか…

次回、第一章「機械の反乱」編へ続く。


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