奪われる光
一方、街の北側で戦うスターと空弧は激しい剣と妖術のぶつかり合いを続け、互いに一歩も退かない。
「つっ、流石に手強いな。だが!!」
そういうとスターは剣を片手に空弧に近付き剣を振り下ろす。空弧は当然の様に右にずらすがそこにスターが
「動きの癖が見えてきたぞ、そこだ!!」
と言ってその進路上に剣を突き出し、空弧に突き刺そうとする。空弧はそれを躱しきれず、左の脇腹を切ってその部分を右手で覆いバランスを崩す。
「くうっ」
小声を挙げながらその場に倒れ込み、そこから流れた血が緑の草を赤く染める。
「魔神族も・・・血は赤いんだな」
辛辣な口調で空弧に吐き捨てるスター、だが彼自身も又、何故このような口が出たのかは分かっていなかった。
「くうっ、流石に手強い・・・この短い時間に私の動きの癖を突くなんて・・・それに体力の消耗も・・・仕方無い、ここで・・・」
何かを志向する空弧、そんな事とは知らず近付くスター。
「ここで終わらせる!!」
と言って剣を振り下ろそうとしたその時
「狐妖術、変転輪廻!!」
と言って目から激しい光を放ち、その光はスターの視界を奪う。
「何!!くっ、しまった・・・」
突如放たれたその光に抵抗出来ず飲み込まれていくスター。そしてその視界が回復した時、その目の前には先程までと同じ、だが違う草が飛び込んできた。
「つっ・・・一体何が・・・それに何だ、この疲労感、痛み・・・くっ」
そう言い終えた直後、気を失ってしまうスター。その近くにはその姿を見つめる人影があった。




