間話2後処理
騒乱のあと、夜の静けさがすこしずつ戻り始めた頃
城門付近に、炎帝の騎士団と白衣を纏った医療団が到着した。
先頭に立つのは、重厚な鎧を纏った白髪の老人と、茶髪の獣耳を揺らす少女だった。
「まずは瓦礫を片付けろ! 避難路を確保しろ!」
老人は鋭く支持を飛ばすと、騎士たちは一斉に動き出す。
隣で獣耳の少女が眉をひそめて尋ねた。
「お師匠様……これは、一体……?」
「……魔剣だな。間違いない」
老人一刀は、黒く輝く剣のひとつを指刺す。
「触るな。下手に出せば、意識も命も持っていかれる」
「これが……魔剣……」
少女ステラ・パピィが唾を飲み込むように呟く。
その時、白衣の女性が医療団を率いて現れた。
桃色の髪を揺らす、落ち着いた雰囲気の女性だった。
「軽傷者はその場で手当てを。重傷者は私の元へ。
血液を通じて再生を促します。搬送を」
「「「了解です、ヴァン・ミーラ様」」」
負傷者が次々に搬送され、白衣の団員たちが手際よく動いていく。
その隙を縫うように、一刀とパピィがザグリエルとラファエルに近づいた。
ラファエルは一刀の顔を見て目を細める。
「一刀……あなたは後輩かしら?」
「うむ。獣竜種の奴隷拠点を壊した際に拾った。力を求めていたこの子を弟子にした。」
一刀はパピィに視線を向ける。
「名はステラ・パピィ。未熟だが真っ直ぐな瞳をしている」
「こんにちは……!」
緊張しながらもパピィはラファエルに頭を下げる。
ラファエルは少し笑みを浮かべて返した。
「こんにちは。」
「奴隷制は減ったとはいえ、根強く残っている。」
一刀は腕を組み、空を仰ぐように言った。
「だからこそ獣竜種の自治領を立ち上げた。だがそれを良く思わない人間も多い。差別や偏見は依然として強い」
「……わかっています。でも、負けません」
パピィは力強く答え、ラファエルは微笑んだ。
そこへザグリエルが青髪と緑髪を担いで戻ってきた。
「ラファエル、そろそろ戻るよ。
光の神竜ゼロス様とミカエルさんに魔剣の剣を報告しなきゃ」
彼女の手には禍々しい剣に布を巻き封印を施したものがある。
「お前が持て。さっき“ヒーローごっこ好き”って言ってた罰だ」
「否定しないのね……まあいいわ。任せて」
ラファエルは剣を受け取り、一刀とパピィに背を向ける。
「じゃあね、パピィちゃん。君のような子を私はずっと応援しているよ。」
パピィは小さく頷き、一刀と共に瓦礫の方へ
向かっていった。
その一方
とある建物の屋根上。
白いフードを被った男が騒乱の様子をじっと見つめていた。
「ふふ……やはり、面白い結果になりましたね。
“魔能の弱い者”に魔剣を渡すこの事件はなかなか有意義でした」
口元を歪め、不敵に笑う男。
「さて、次はどんな商売をしましょう。
魂を売る契約なんてのも、面白そうだ」
そう言って、指を鳴らすと空間が歪み男は中へと消えていった。




