44話 種火の者となり②
「じゃあ早速だが、計画の話だ。」
改まりそう言うニメージュに、返答する。
「その目的をはっきりさせる為にも、まずは聞かせろ。上層を襲撃して、最終的にどうするつもりだ?」
興味への建前でもあるが。行動する上で間違いを起こさない為にも、知っておくべき要項。
それに、自分が何の為に動くかくらい知っておいてもいいだろう。
「ちょっとしたクーデターさ。
お前だって珍妙な事をする程だったのなら、『路地裏』の扱いに対して何かしら思う所があったのだろう? てきとーに考えて補完しとけ。」
「…つまり上層を陥落させて、支配権を奪う、と?」
「そこまで派手にかはともかく、概要としてはそうだ。
物理的に墜とすまではしなくていい。ただ安全性の信用を失墜させろ。
そうしたら、後は私の方で扇動する。」
察するに、『路地裏』の扱いに関して変えるつもりなんだろう。
「…僕が失敗した場合は?」
「『何も起こらなかった』、それだけだ。
私は日常業務に戻り、多少の脅威に晒されども上層は何も変わらないだろう。」
それはそうか、と考えていたら、ニメージュが話を続ける。
「今の立場を利用する為にも、私は下手には動けん。状況判断も含めて、単独行動してもらう事になる。」
「助力なしでか?」
「いや、多少の情報なら渡しておける。
最奥までの道は私にも知らされてはいないが、この道なら比較的怪しまれずに接近できるだろう。」
そう言い、紙を渡してくる。
「…街の外を迂回なんて、随分と遠回りなんだな。」
「『壁』を直接突っ切る訳にはいかんだろ。
それに神出鬼没なお前の事だ、近道の手段はあるんだろ?」
「まぁ、多少はな。
それで、上層を叩いた後は?」
「好きにしろ。
他に何か目的があるなら果たしに向かうもよし。そのまま消えたとしても、話題として強く響くだろう。」
「了解。」
「改めての確認になるが、この件に関してこちらからの報酬の類は一切無い。お前を信用できる為の要素はあまりにも少ない。
たとえ失敗して助けを求めたとしても、こちらは切り捨てる。異存はないな?」
「分かってる。この潜入経路情報だけで、報酬としては十分すぎるくらいだよ。」




