37話 その先進んだ終着点で⑥
光沢のある球体の透明な魔力の壁が、自分とニメージュを閉じ込めるように展開されていた。
偶然か意図か、この辺りでも特に大きい屋根の上。壁の内側には、無地な床の上に自分とニメージュだけ。
わざわざニメージュが作った状況だ。これがニメージュの得意の場なんだろう。
だが関係ない。いや、だからこそ余計に。左右3本ずつの鉤爪を現出させ、近接戦闘の構え。
先手を取り、優位を潰しにかかる。
一気に突撃し、爪の一閃。
初手が防がれる。けど余裕を与えてはだめだ。空中足場で折り返し、攻めを継続する。
2度、3度と切り付け、けどやっぱり防がれる。
なら、命中の直前にはばたきひとつ。少し命中箇所をずらした一撃。
直線、直線、ずらし、直線、ずらし。だけどその全部が防がれる。
どこかで隙を見せてくれれば。そう思っての手だったけど、一向に解決には繋がりそうにはない。
なら、違う手に切り替えるべきか。そう思った矢先だった。
ニメージュの軽やかな跳躍。からの魔力壁を蹴り、急加速しながらの強襲。
こんだけ派手な前振りしてくれりゃ楽だ。受け流すのは容易い。
…妙に軽い。しかも既にニメージュは次の攻撃を仕掛けようとしている。
反撃を仕掛けるつもりだったけど、咄嗟に手甲での受けに切り替える。
ひと際大きく響く、硬質な衝撃音。
もう流れとか考えてられない。距離を取る余裕もなく、ニメージュの連撃をただただ防ぐので精いっぱい。
ニメージュの大振りの蹴りを威力のままに受け、空中制御なんて繊細な事できず地上へ降りる。
仕方無い。が、民衆の目につかないここなら、多少は「らしさ」から離れても問題無いか。
鉤爪を消し、代わりに使い慣れた片手剣を作り出す。
演出なんて事を考えながら戦える、そんな相手じゃない。




