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愛の花  作者:
異世界
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30/30

文化祭2日目

―1日目が終わって―


「瀬戸くんちょっといいですか?」

岩崎が隼人を呼び止める。

「わかりました。ごめん翔、かず、先帰ってていいよ」

「おう、また明日なー」

そう一希が言い少し手を振ってから二人は教室を出ていく。

教室に残っているのは岩崎と隼人二人だけになった。

「ねぇ、隼人くんもだと思うけど…僕も鈴川さんにバレちゃったぁ……」

「えー、鈴川さんすごいな…」

今日あったことを思い出しながら言う。

「いや、あの子凄いねぇー。すごい珍しい体質。そういう体質の人がいるって言うのは噂には聞いてたんだけどまさかこんな近くに…」

「お前もアレだろ、冥さんと話しててバレたんだろ?」

「そう、それのせいで隼人くんの件、僕が関係あるのもバレちゃったぁ………」

「魔力とかある訳ではなさそうだよな、お前の反応を見る限り」

「そう!本当にまっったくないの!!冥さんによると妖力もないみたいだから、ほんと、初見トラップじゃない?!」

「それなら逆に安心かもな。何かされることは無さそうだし」

「そうだといいんだけどねぇ………」




―文化祭2日目―


昼頃にすでに仕事を終えた隼人たち3人はご飯を食べていた。

「このたこ焼きうめぇー!!昨日も食っとけばよかった……」

文化祭の騒がしい空気感の中で3人はゆったりと過ごしている。

「ほんと、2日限定なのが惜しいね」

その時、翔のスマホが電話を知らせる音を鳴らす。

「ごめん、親から電話。ちょっと出てくる」

少し遠くに行って電話をしている翔が焦ったような身振りをしている。

1分ほどで帰ってきた翔がため息をついている。

「どうしたんだ?」

「妹を預かれって言われた……はぁ…門まで迎えに行ってくる…」

「えっ?!翔って兄妹いたん?!」

「妹がいるよ」

「そうなんだ…知らなかった…いってらっしゃい。ここで待ってるよ」


10分ほどで翔が小さい女の子を連れて戻ってきた。


「おー、小さい!いくつなんだ?」

「…ごさい」

小さくそう答えて翔の後ろに隠れる。

「ほら、名前言える?」

「にしはら…まい…」

「俺、一希!よろしく!」

怖がって翔の足にしがみつく。

「隼人だよ、よろしくね。」

しがみついていた手を少し緩めてコクっと頷く。

「え〜…俺と隼人で反応ちがくねー?」

「かずの声がデカいせいでしょ」

「うちの妹怖がらせないでくれない?」

「えぇー…ごめんー…」

「小さい子との接し方って難しいな…」

「俺も、上はいるけど下はいねぇからな…」

「え、かずって兄弟いたの?!」

「あぁ、兄貴がいる」

「そうなんだ…知らなかった」

年下の扱いに慣れていない隼人と一希は苦戦しつつ楽しく話している。

「まいちゃんは何が好きなの?」

「おどるの…好き…」

「俺、踊ったりできないからなー…すごい!」

「名は体を表す、みたいな感じでさ、まいって漢字で書くと舞子とかの舞なんだよ」

「めっちゃいいな!翔の漢字、翔ぶだしなんか兄弟って感じ!俺んとこあんま関連性ねーからなー」

まいは隼人と一希に褒められ少し嬉しそうにしている。


それからしばらく話していたらかなり打ち解けたようで、

「かずきくん!はやとくん!またねー!!」 

30分ほど経って親の用事が終わってまいが帰る頃にはかなり仲良くなっていた。


「ありがとー。うちの妹と遊んでくれて」

「全然楽しかったからいいぜ。」

「うんうん。良い子だったね。」

「かずも兄弟がいるってさっき言ってたよな。いくつなんだ?」

「今年20……いくつだ??たしか、3…いや4か?…」

「兄弟の年齢覚えてないのかよ。」

「いやー、意外と忘れるもんだぜ?気にしねぇから。」

「兄弟いないからわかんないな…」

「あ、文化祭あと1時間くらいだな。」

「高校生活最後の文化祭、なんか平和に終わったね。」

「逆に今まで平和じゃなかった事あったか?」

「去年なら、かずが出し物の売店で焼きそば全部ぶち撒けてたね。」

「うっわぁ!忘れてた…あのときは…ほんと…自分の不器用さを再認識させられた…」

「あ、1年ときはかず、準備中にカッターで怪我しまくって多分5回くらい保健室行ってたよ。」

「え?!全然覚えてない笑」

「5回は嘘だ!4回だ!」

「いや変わんねぇよ!」

「まぁ、結果かずが不器用ってことで笑」

「後1時間しかないんだ目一杯楽しもうぜ!」

それから色々なクラスの出し物を周っているとあっという間に時間が過ぎた。

片付けをしながらクラス皆で雑談をする。

「皆さん、高校最後の文化祭楽しめましたか?」

岩崎の言葉に皆は、満足そうだが少し寂しそうな絶妙な表情を浮かべ、楽しかったと答える。

その返答に岩崎が柔らかい笑顔を浮かべた。


片付け終わり3人は校門のほうに歩きながら話していた。


「あー、終わっちまったんだな。」

「なんかさみしいね。」

静かな余韻が残っている。

「祭りの後って感じなのにまだ明るいの、めっちゃ違和感!!」

「確かに笑」

その余韻も直ぐに過ぎ去るようにいつの間にか校門についた。

校門を出ると翔の家族が待っていたようで声をかけてきた。どうやら車で来ていたようでそれで帰るようだ。

それと同時に近くに置いてあるバイクの側に立っていた20代ほどの男性が一希に話しかける。

「よっ!」

「うげっ!何でこんな近くなんだよ!」

「酷いなー、兄を友達に見られるのがそんな嫌か?」

「嫌だよっ!」

そんな一希の言葉をそっちのけで一希の兄は翔と隼人に挨拶する。

「はじめまして一希の兄ののぞむでーす」

ゆるく手を振りながら言う。

「はじめまして」

「君たちは一希の友達の翔くんと隼人くん?」

「はい、仲良くさせてもらってて」

「そんなかしこまらなくていいよーそんな年も離れてないしー。よく一希から話聞いてるよー」

「ちょっ兄貴!」

「うわっ!かず俺らのこと大好きじゃん!」

「仲が良くて微笑ましいよー」

望はにこにこ笑いながら見ている。

「じゃ、俺帰るわーまたなー!」

家族に急かされたらしい翔が言う。

「おう、また明日ー!」

去って行く車のリアガラスから舞が手を振っているのが見え振り返す。

「俺も兄貴と帰るわー、じゃーな!」

「うん、また明日」


一希と望が帰ったのを見てから、隼人は少しだけ心が虚しく感じる。


「兄弟…いいなぁ…」

そう小さく呟く。

隼人には兄弟どころか本物の家族の温かみを感じる事が少なかった。だからだろうか、自分にない物を持っている翔と一希が凄く羨ましく感じる。

「そんなに兄弟が羨ましいか?」

急に少し強い風が吹き、辺りが静かになると、どこからか突然、昨日学校に来たのと同じ格好の冥が現れた。

「冥さんっ?!どこから現れたんですか?!」

「そこの木の上にずっといたぞ。」

近くの少し大きめの木を指さす。

「不審者すぎません?」

「ふふ、お前も言うようになったな」

「は、はい…?」

(何でこの人嬉しそうな顔をしてるんだ…)

二人で少し話していると岩崎が来た。

「冥さんっ!ちょっと!今日も来てたんですかっ!?」

「ははっ!」

「はぁ…」

二人が話してるのを見て虚しさが晴れていゆく。

(俺には兄弟はいないけど面白い師匠たちがいて幸せかもな)

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