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お嬢様は混浴露天風呂をご所望です~裸のつきあい!?~

「凪咲です」

「凪咲さん。どうぞ♪」

「失礼いたします」


 一礼して凪咲さんが再び入ってくる。


「お嬢様、露天風呂の用意ができました」


 露天風呂!? そんなものがあるのか!? 

 って、用意ってことは……!?


「もしよろしければ、本日は露天風呂をご一緒できたらと思うのですが……」


 琴音さんは俺たちに不安と期待の混じった眼差しを向けてきた。

 これまでに俺たちは夕飯を御馳走になることはあったが、そのあとは帰っていた。

 泊まっていくように言われたことはあったが固辞していたのだ。


「ご、ご一緒って……!?」

「ろ、露天風呂ぉ……!?」


 俺と葉菜は驚愕の声を上げる。


 露天風呂を琴音さんと一緒に入るって、それ……。


 ま、ままま、まさか混浴!?


 つい琴音さんのグラマラスな胸に視線がいきかけるが、慌てて視線を逸らした。


「だ、ダメでしょうか……?」


 俺たちが固まっていると琴音さんの表情が悲しげなものに変わっていく。

 いかん、そんな顔をされたら――!


「だ、だめではないです!」

「う、うんっ! 葉菜も大丈夫ですよぅ!」


 俺たち兄妹は叫ぶように承諾した!

 いや、だって、こんな顔されて断れるわけがない!


「あぁ、よかったです……♪ ありがとうございますっ♪ 申し訳ありません、突然、無理なお願いを聞いていただいて……」


 いや、まぁ、無理というか嬉しいというか……。

 でも、まさか、全裸ということはないよな? 水着とか着用するんだよな?

 俺たち水着なんて持ってきてないんだが……。


「あ、あのっ、葉菜たち水着とか持ってきていないんですけど……」


 優秀な我が妹は兄の思っていることを代弁してくれた。

 いいぞ我が妹。


「その心配なら大丈夫です♪ 全裸で入りますから♪」


 ニッコリと。

 一点の曇りもない笑顔で琴音さんは答えていた。


「ふぇえっ!?」


 我が妹、驚く。

 俺、絶句。


 えっ、えっ……? 本当に? 

 冗談ではなく本気で正気で言ってらっしゃる?

 

 俺は琴音さんの真意を確かめるべく視線を向けるが――そこには女神そのものの笑みを浮かべる琴音さん。これはどう考えても本気で正気だ。ついでに天然だ。


 琴音さんは真面目に俺たちとの露天風呂混浴をしたいと仰ってらっしゃる。

 俺は凪咲さんのほうに視線を向けるが――。


「よかったですね、お嬢様」


 凪咲さんはいつもと変わらぬ涼しい表情で静かに琴音さんを祝福していた。

 って、いいのか。止めないのか。メイド長公認なのか。それでいいのか。


「わたくし、一度、裸のつきあいというものをしてみたかったのです♪」


 左様でござるか……。

 満面の笑みを浮かべる琴音さんに、俺は武士のような心境になった。


 もうこうなったら、どうにでもなれ。


 主君に従う家来のごとく。俺はどこまでも琴音さんについていく。


 たとえ火の中水の中。露天風呂の中。


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