第29話 卒業、そしてーー
数日後。
発表が出た。
『黄瀬ミレア、卒業』
ネットは相変わらず騒がしい。
でも、それはもう止められない。
ある日の夜。
アパートの俺の部屋にみんなが集まっていた。
黄城さんの今後をみんなで話し合うためだ。
部屋の中には大量の『クロマリンク』グッズ。
もう隠さない。
その中で俺は、黄城さんを守りたいと決めたその時から、考えていたことをみんなに打ち明ける。
「……もしよければ」
全員の視線が集まる。
「ここ、使いませんか?」
「え?」
「このアパートを事務所にするんです」
「大きなことはできないですけど、管理人として、そして配信のサポーターとして黄城さんを守れます。黄城さんの楽しみをまだ続けられます!」
「大きなことはできないですけど……」
静まり返る。
少しの沈黙の後、紫藤さんが口を開く。
「面白そうじゃん」
「私も賛成です!黄城さんには、まだ配信を続けて欲しいです」
「私も良いと思う」
「赤石くんなら、安心だしね」
次々と声が上がる。
最後に、黄城さんが顔を上げる。
「……もう一回」
少し震えた声。
「やってもいいですか?」
数ヶ月後。
俺は横で、配信画面を眺める。
そして、彼女を静かに見つめる。
「あー、あー」
彼女は自分の声をチューニングする。
彼女と見つめ合う。
そして、お互いに深呼吸をする。
画面を切り替える。
新しい声が響いた。
『はじめまして!」
夜11時。
俺の本業が始まる。




