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【SIDE ???】最高のパートナー

 それはまだ幼体なのである。

 常に魔力の炎を周囲に撒き散らし、近づくことさえできない存在であったとして。

 

 ???は、いつだって最高のパートナーを探していた。

 ???は様々なスキルを持っているが、自身の本質はテイマーだと思っている。だから、自分の代わりに戦わせるパートナーが必要なのだった。


 ときにはパートナーにスライムを選ぶこともあれば、人間を選ぶこともあった。

 ただそのときの???の好奇心を満たしてくれれば対象は魔物だろうがそうでなかろうが厭わなかった。


 以前???は一国の王を使役したことがあった。

 王を動かすことで家臣や軍を動かすことができ、その国で大混乱を導くことができた。しかし王はすぐに反乱によって打倒され、長くは続かなかったが。


 パートナーとは、???に命尽き果てるまで尽くしてくれる存在である。そう言う意味で、パートナーとは運命共同体であり、部下であり、奴隷だ。

 ただ奴隷であったとしても、???に尽くすという栄誉が与えられるという意味で素晴らしい役職である。そこに居座る存在は選び抜かれた精鋭でなければならない。


 例えばそれが四大凶兆の魔物だとすれば座りが良いだろう。


 ドラクド火山に出現したシルバードラゴンの幼体は、その火山と同様に生命を近づけはしない。

 ただただ火山のエネルギーを受け取って、いままさに強大で荘厳な竜へと変貌しつつある幼獣だ。


 ???はすぐさまドラクド火山に向かってシルバードラゴンの力量を測った。

 それはいずれ世界最強の一角になると思われたが、現時点では自分の方が上であると確信した。


 ???はシルバードラゴンに屈辱の契りを強制的に結ばせた。

 シルバードラゴンは???に服従せざるを得なくなった。


 ああ!

 最高のパートナーである!

 この幼体を使役し続ければ、いずれは自分が世界最強の一角として君臨するのだ!


 ???は新しく手に入れたおもちゃを試したくて仕方がなかった。

 大切に育てなければならないと思いつつも、その好奇心に抗うことはできなかった。


 ???は近場になにか面白いものがないかを確認し、その結果クローディア王国の王都エブリにて妙な反応があることに気がついた。


 人間が戦っている。その人間が奇妙だ。

 その人間は人間らしからぬ気配を漂わせ、魔物のような濁った魔力を発散していた。

 たとえばそれは、一人で大きめの街を壊滅させられそうなほどの戦闘力に感じた。


 でもシルバードラゴンであればアレをアリンコのように踏み潰せるかな?


 よし、試してみよう!

 好奇心に動かされ、???はシルバードラゴンに対してその人間への攻撃命令を出した。


 火山の熱を体の中に溜め込み、それを圧縮照射した特製の一撃——ドラニカル・カノン(竜の遠吠え)


 それは一直線に空気を切り裂き、瞬く間に対象に到達した。

 その人間は逃げることさえできず半身を失ったと思われた。


 が、その人間は死んではいないようだった。

 体の半分を失ったにも関わらず、無様にも生きているようだった。


 なんという生命力だろう。

 人間如きが。


 ???はシルバードラゴンにもう一度撃つように命令した。

 しかしドラニカル・カノン(竜の遠吠え)は準備に時間がかかりさらには体への反動も大きいようで、連射はできないようだった。


 ???はため息をついた。

 せっかくパートナーに相応しいと思ってシルバードラゴンをその席に納めたのに。


 幼体とはいえそれは???の期待を著しく削ぐものだった。

 ???はシルバードラゴンにお仕置きをすると、シルバードラゴンは痛みに体を悶えさせて吠えた。???は主人で、シルバードラゴンは奴隷である。だから???が何をしても、シルバードラゴンは反撃することはできない。


 それが???のスキルであり、シルバードラゴンとの契約なのだった。


 それより、あの人間である。

 あの一撃を耐えたことが???の好奇心を刺激した。


 どんなものか見にいってみるか。

 ???はシルバードラゴンに跨り、その人間のところへ飛ぶよう指示した。


 シルバードラゴンはそれに従い、夜の虚空へと舞い上がった。

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