4.世界渡りの意識と救いを与える歌姫 第六章 01
彼女のオフィシャルクラブに入ってから、数日がたった。
あれきり、彼女からメッセージアプリのメッセージが届かないので、彼は不安になってきた。
いろんな考えが巡って、雁字搦めになってきたので、彼は自分からメッセージアプリのメッセージを送ってみることにした。
「――――さんのオフィシャルクラブに入りましたよ」
未読。
「喜んでくれると思ったのですが、もしかして最後はファンになられると困りますって言っていましたし、本当はオフィシャルクラブに入ったことを怒ってますか?」
既読。
「そんなわけがないじゃないですか!? 嬉しいですよ! 嬉しいですけど、あんなことしてしまった私を怒っていないのですか!?」
「あんなこと?」
「だって、う~」
「どんなことをしたかは覚えがありませんが、どんなことだったとしても、ーーさんがこれからも楽しそうにしている限り、私はーーさんが好きですよ。だって、私が気持ちを取り戻すにはあなたの隣にたどりつくしかないのですから」
未読。
ん。あっ
「すみません。たしかにそれが理由ですけど、それだけではなくて、きちんとーーさんが好きだから、その気持ちが簡単になくなるわけがないから。って、矛盾しているか。わかるんですよ。胸の高鳴りというか、ドキドキが感じずづらくても、私は恋をしているって」
未読。
きちんと私がしたことをわかっているかも含めて説明してください。
えっ!?
彼は驚いた。
メッセージアプリには、まだメッセージは打たれていない。
先ほど送ったメッセージすらも既読になっていない。
もしかしてと思い、彼はパソコンを起動した。




