4.世界渡りの意識と救いを与える歌姫 第一章 03
「仕事を辞めるかもしれない〜?」
彼は声優さんに誓ったことを実現するために、彼の父に覚悟を伝える。
「小説を書くのに集中したい。
そのくらいやらないと周りが認めてくれないと思う」
「おまえが小説を書いているのは確かに聞いた。大分昔に、一次選考が受かったときに聞いたからね。
でも、父さんは言ったよね?
小説を書くなら兼業でやりなさいと」
そう、彼は確かに言われていた。
そこには多分、小説家という不安定な職を仕事にするなら、安定した仕事もしなさいという親心もあったのだろう。
確かに兼業作家は存在する。
だが、彼は一次選考に受かったときにわかっている。
多分、選考に受かると感覚的な面もある人は感覚的にも試されるんだ。
それが彼がどこかで読んだ。
作家に正常な精神状態なんて何の役にも立たないの彼なりの答えだった。
今の彼なら、そこまでわかる。
だから、彼は父も納得するであろう妥協点をみつける。
「なら、一ヵ月。仕事をしながら、一ヵ月で一つの話を書くから、それを目安に今後を考えよう」
「わかった。一ヵ月だね」
一ヵ月、兼業作家なら3週間か4週間で初稿をあげるというから、妥当なところだろう。
彼に編集者はまだ付いていないから、彼にとって一つの話をあげるのはほぼ初稿だ。
それからの改稿はアリとして、一つの話を一ヵ月で形にするのだろう。
世界渡りはその様子を見ていた。
「影治くん、大丈夫かな」
「大丈夫だよ。」
「なんで?」
「なんだ。楽しそうな顔できるじゃないですか」
「ハハハ、そういうことだけど、凄い声優さんだ。世界渡りについてきてる」
「ただ単に、私達の源の彼が最近、この声優さんの歌を聴いてるからではない?」
「それを言ってはダメだよ。光ちゃん」




