2罪のハジマリ 終章 01
終章 諦めない気持ち
「そういえば、千秋。一つ言い忘れていた」
「うん? 何?」
「俺、お前のことを諦めていないから」
「え?」
驚いたのは千秋だけだった。
冬彦、お前、やっぱり……。
その事実に冬彦が口を開く。
「そうか。天典、そう決着させたんだね?」
「ああ」
「え? 何? どういうこと?」
千秋だけが戸惑う。
俺達が――いや、主に冬彦が答える。
「千秋、君も同じだろう? 君が一番幸せにしたいのは誰だい?」
「天典」
「えっ、あれ? 私、なんで? ううん、私、今、なんて言ったの?」
「大丈夫だよ。千秋、僕はそれを浮気だとは糾弾しない。だから、素直な気持ちでいいんだよ。そう、君が一番幸せにしたいのは大親友の天典だ」
千秋は即答後、すぐに自分の言葉を疑った。そして冬彦がそれを許す。
そう、俺達の共通点。俺達は――俺と千秋は同じ気持ちを抱えている。
そして、その推測を裏付けるように千秋は涙を流していた。
「そっか、私。天典のことも好きなんだ」
「そうだよ。それでいい。僕達、四人はそれでいいんだ。お互いがお互いをもう一人の自分と思えるくらいに大切に思っている。だから僕達は誰が誰とくっつこうと相手の気持ちを一番に考える」
「冬彦くん? いいの? あなたも私も好きだという解釈もできるけど?」
千秋の割り込んでの質問に冬彦はすぐに答える。
「僕も春美にも幸せになってもらいたいよ? だって、少なくとも、天典よりは春美の理解者でいるつもりだからね。でもね、今の君は天典に気持ちが傾いているだろう?」
「ハハハ、相変わらずだね。お互い。私達、まだ付き合っていた頃の効果が残っているんだね」
「そうだね、春美。君も、今のお互いがお互いを好きな気持ちの可能性に気付いて胸がざわついたんだね?」
「そうだよ。ほら、天典くんも千秋ちゃんも言ってやろう。運命に」
俺達はその言葉にお互い頷き合って、口を開く。
「「「「運命なんかに負けない。この気持ちは私達のものだ」」」」
それでいい。
俺達が俺達に使えた想いゆえの揺るがない思考。
多分、これが正しい使い方。
世界や流れに流されず、自分の気持ちを決して失わない。
そういう意味での世界への抵抗力。
この気持ちは確かに俺が感じて、俺が選んだものだ。
運命なんかに負けるものか。
世界への抵抗力だとしても、間違えなければきっと掴み取れる。
俺達の気持ちはお互いに許せた。
だから俺達の間ではどんな意味でも罪にはならない。
罪のハジマリをお互いに打ち消した。
だからきっと、
この恋は運命を変える――
運命に対する――
定められた結末に対してだけの――
筋書きを書いた創造主――ある意味、世界が神様と呼んでいた存在に対してだけの
罪のハジマリだ。
罪のハジマリはこうなりました。
本当はもっと変えるつもりだったのですが、というか言ってしまうと、千秋と天典をくっつけるように変えるつもりだったのですがこうなりました。
まるで、天典が春美のことを気にし始めた気持ちに引っ張られたみたいでした。
本当にこんな世界が存在して、天典が春美のことを本当に気にし始めているのかもしれません。
罪仙春美が本当の意味で他の誰でもない罪仙春美というキャラクターに成長したら、本当に天典とくっつけるのもアリかもしれません。
それにも合わせて、この作品のタイトルを変えようと思います。
これを機にいろんな人に読んでもらえると幸いです。




