第五章 02
そこから、俺も行動を開始する。
まず、俺は世界を振り回した人と世界を繋げた人に会おうとした。
騒動の最中なら難しかったが、世界に起きたことが限定的に公開された今なら、難しくなかった。
それに世界に起きたことはその騒動が終わった時に生きていた全ての人に感覚的に伝わった。
二つの世界の意識がリンクすることになったからだ。
だからこそ、そういう人達がいることは誰にでもわかっている。
なにせ、世界を動かした有名人だ。
図書館に行って、検索システムでその人達を探す。
その検索システムも使わせてもらうのに苦労した。
普通の人では使えなくて、俺の作った世界の存在と共にいる人しか使えないのだ。
俺は保険として、自分にもその存在の力を宿していた。
だが、それでも、力を試されて、ようやくそのシステムを使うことができたのだ。
世界を振り回した人は名前を六堂絆と言った。
その恋人は、俺の作った世界の存在と一つになったから、俺のいる世界での記録からは一度消えたが、またこの世界で名前を得ていた。
俺の作った世界のそのコと一つになった存在は友情の殺し屋。
ずいぶん危ないことをしたそのコは七瀬友子。
そして、一番知りたかった世界を繋げた存在の一人は二乃部光。
もう一人は事情により名前を伏せていて、その人がわかったとしても、その舞台になった方の世界の本人にそのことを話すのも禁じられていた。
なぜだろうと思いつつも、事情があるのだろうとも思い、それでも好奇心にかられて調べたが詳しいことはわからなかった。実際に確かめてみるしかない。
そして、その騒動の舞台となった場所もわかったので俺はそこに向かった。
とりあえず、二乃部光の学校がわかったので、そこに向かう。
丁度、校門に人がいたので聞いて見る。
「二乃部光という生徒に話があってきたんですが……」
「光ちゃんに用事?」
「ええ、世界を動かした彼女に話があるんです」
「えっ、またかい? 最近、多いんだよ。そういう冗談を言う人。でもまあ、いいよ。会わ――」
「影治くん!」
俺が話していると女の子が彼を守るように、俺と彼の間に割って入る。
なんだ? このコは?
このコの態度だとまるで俺がこの人に危ないことをしようとする悪者みたいだ。
「大丈夫だよ。光ちゃん。この人はそんなに悪い人じゃないよ」
「光さん!? では貴方が――」
俺は歓喜した。いきなり当たりを引いた。
そして、このコが光さんということは、彼は・・・・・・。
「ストップ。それは後で……。ごめん、影治くん。また、少し話があるから、先に帰っていて」
「うん、いいよ。じゃあ、後でね?」
「うん、じゃあね」
彼が去る。彼とも話をしたいと思っていた俺は少し残念に思いながらも彼を見送る。
そうすると、女の子が怒って言う。
「彼にその話をするのは禁じられているはずだよ!」
「……えっ、では彼がもう一人の!?」
俺は少し考えてから、答えに気付いて言う。
女の子は少し呆れて言う。
「なんだ。知らなかったんだ? そう、彼が世界を動かしたもう一人。一琉影治。だけど、正確には、彼の体の元の持ち主が……なんだけどね」
「元の? どういう?」
「本当の彼はね? 世界渡りの覇王として、世界を旅して、救って回りに行っちゃった。この世界も彼がそうすることで救われた部分もあるから……。けど、何? 私を知っているってことは、結局、世界に起こったことを調べた人でしょう?」
「ええ、実は、もう一つ――救って欲しい――いや救いたい世界があるんです!」




