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慟哭~クールベ「罠にかかった狐」より~

挿絵(By みてみん)

ギュスターヴ・クールベ Gustave Courbet

罠にかかった狐 1860年 Fox Caught in a Trap

国立西洋美術館所蔵

(著作権フリーの画像を掲載しています)



─────────────────────────



気をつけていたつもりだった

自分には悪いことなど起こりはしないと

過信していた


人生という森には

あらゆる罠が潜んでいて

かかるかどうかは運次第


あの日

私は叫びたかった


なぜ?

私は何もしていないのに

どうして?

こんな目に遭わなくちゃならないの


でも 喉から(ほとばし)ったのは

言葉の形を成さない 獣の慟哭(どうこく)だけ


誰も責めず

自分を哀れむ余裕もなく

ただ負けまいと

本能が わめき散らす──


大丈夫、全て終わったのだ

もう誰も私を傷つけない

牙を剝く必要はない


それなのに

私はまだここにいる

凍てついた空気のなか

(とら)われた痛み

(あらが)い、もがく

歯痒さと

遅れてやってくる、怒り……


ひんやりした美術館で

一枚の絵が 心を映し出す鏡に変わる

私はまだここにいる

傷ついた獣のままで




─────────────────────────



子どもの頃には分からなかったキツネ狩りの話



狐、罠、

ときたら、

→『キャンディ♡キャンディ』でアンソニーが落馬して命を落とす


そんな連想になっちゃいます。昭和40年代生まれなもので。


正確に言うと。

キツネ狩りの最中で、アンソニーの乗った馬の脚が罠に挟まれてしまい、落馬して死ぬ。

でした。久しぶりに漫画を読み返しました。うんうん、そうだった。


「馬から落ちただけで死ぬなよ、アンソニーいいっ!」

幼い頃はそう思っていたけれど、調べたらキツネ狩り(フォックスハンティング)って意外にハード。

馬は草原や森を全速力で駆け、生け垣や溝を飛び越え、時には時速40キロを超えるスピードで疾走するのだとか。

ヘルメットやプロテクターも装着しない。そりゃ命に関わるわ。


でも、バラを愛する王子様、超絶インドア派と思われるアンソニーが、なんでわざわざキツネ狩り?


それも読み返して納得。

『キャンディ♡キャンディ』の舞台って、20世紀初頭のアメリカだったのね。

(イギリスにも行くんだけど)


当時の英米において、「狩猟」は上流階級の社交の場だった。

食料調達目的なんかじゃありませんて。

乗馬も、紳士として必要なスキル。

アンソニーは、草食系と見せて、それもばっちりこなす理想的な王子様だったってわけ。



ディズニー映画『メリー・ポピンズ』でも、キツネ狩りが出てきたのを覚えてる。

赤い上着を着た男達が、馬を駆る。

ホルンが鳴り響き、たくさんの猟犬が疾走する。

あのシーン、なんて言ってるのか、ずっと疑問に思っていたんだけど、

「View halloo!(ビューハルー!)」

出たぞ~っていう意味の狩猟用語なんだって。


「Tally-ho!(タリー・ホー!)」も言ってた。

それも同じ意味。狩猟独特の古風な掛け声だそうです。


それを聞きつけたキツネさんが、「オレのことかよ!」って慌てて逃げ出す。

心優しいバート(←メリーポピンズのお友達)が助けてあげて、一件落着。

逃げるキツネの様子と、助かった後のリアクションがコミカルに描かれていたけど。

イギリス人らしいユーモア、なんですかね、これ。

けっこうブラック風味じゃないかな。



とにかく。

『メリー・ポピンズ』の映画は、イギリスの児童文学が原作なんですが、

こんなシーンが出てくるほど、「狩猟」が文化として根付いているお国なんだなあ。と、改めて思いました。



現代の日本に住む私とは、時代背景も、社会的な構造も違う。

文化も、もちろん価値観も異なる。

だから、どちらが正しい、どちらが間違っている、って簡単に言える話じゃない。

けれど、個人的には「狩猟」を社交やスポーツとして楽しむっていうのには、どうしても違和感を覚えてしまう。


狩ったら食べようよ~。


そんなふうに思ってしまう私が一番に推すのが、『ゴールデンカムイ』。

公式サイト   https://kamuy-anime.com/


アイヌの少女アシㇼパは、伝統的な罠や弓で獣を狩る。

でも、必要以上には狩らない。そして、肉も毛皮も骨も、余すところなく利用する。

その根底には、動物を「カムイ(神)」として敬うアイヌの文化がある。


う~ん。こっちのほうが、すんなり納得できる。



でも、時代の流れで「伝統的な狩猟」の形も変わってきているそう。


たとえば、イギリスでは2004年に「Hunting Act(狩猟法)」が成立。

「フォックスハンティング」は、大きく制限されました。

簡単に言うと、犬を使って野生のキツネなどを追跡・殺す、のは原則禁止。


じゃあ、キツネ狩りが無くなったのか、というと違うんだって。

乗馬や猟犬を使った行事自体は、残っている。

また、人工的に付けた匂いを犬に追わせる、疑似的な狩り「ドラッグハント(Drag Hunt)」なんかも登場した。本物のキツネさんを追ったりはしないやつ。


やっぱり、文化的に根付いているものを法律の規定だけで全て無くすのは、無理ってことなのかな。


それに、農作物や家畜を守るための一定の駆除には、犬を使うことが認められる場合があるんだって。


昨今の日本列島でも、クマ出没が頻発。身近な危険となりましたよね。


「狩るけど食べるわけじゃなくて、身を守るため&生活を守るため」

この選択肢も、現実に存在するものだと思います。



要は、

「娯楽のために追い回し、最後は食べるわけでもない」狩猟。

これに、私も含め多くの人は倫理的な抵抗を感じてしまうのだと思う。


小さな頃から見て来たアニメーション。(あ、漫画も)

時代的な文化や背景も、ちゃんと描かれていたんだなあ。

そのときは全然分かってなかったけどね。


─────────────────────────



実は、今回の詩をアップするにあたり、悩んだことがあります。

今まで書いたことがありませんが、私は過去に離婚しております。もう十年以上前の出来事です。

その話については、

「ああ、まだ書けないな」と思いました。

まだ、なのか。時間が経てば書けるのか。それは分かりません。

ただ、詩にしたことで、何かが心の中で固まる気がしました。


─────────────────────────


「名画の詩集」~動物という名の鏡~

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


来週からは二週に渡って、ほったらかしていた以下の続きを投稿致します。


続:小説に挿絵を入れたくてAI画像生成を始めたけど、大苦戦している話

https://ncode.syosetu.com/n1448lz/


挿絵(By みてみん)


今まで通り、土曜日お昼12:10投稿予定です。

どうぞ今後ともよろしくお願いいたします!


─────────────────────────



「名画の詩集」シリーズ紹介

①クリムト

https://ncode.syosetu.com/n9404jm/

②ルドン

https://ncode.syosetu.com/n4881jq/

③神話編(北欧・ギリシャ・ローマ・中国)

https://ncode.syosetu.com/n1558ln/

④ゴッホと心象の風景を描く画家たち

https://ncode.syosetu.com/n4361lt/

⑤日本画編(人間という名の迷宮)

https://ncode.syosetu.com/n3444lz/

⑥動物という名の鏡 ※本作


挿絵(By みてみん)


他にも、以下のような作品を投稿しています。

ぜひ覗いていって下さいね!


【小説に挿絵を入れたくてAI画像生成を始めたけど、大苦戦している話】

https://ncode.syosetu.com/n7288li/


挿絵(By みてみん)


AI画像生成をやったことのない方でも、「これなら自分でもできるんじゃね?」と思うこと請け合いです。



・【ダンジョンズA】:小学生男女が活躍する王道ほのぼのファンタジー

https://ncode.syosetu.com/n2217iu/


挿絵(By みてみん)



・【カイコン】:ネコ耳の美女と美少年とおっさんが奮闘する「昭和ファンタジー」

https://ncode.syosetu.com/n5126kt/


挿絵(By みてみん)


そして、神話がお好きな方にぜひ。

・【AIイラスト満載】物語で楽しむ北欧神話:オーディンとミーミル(隻眼の主神と生首の賢者)~滅びに挑む「最上の負けかた」~

https://ncode.syosetu.com/n3439lo/


挿絵(By みてみん)


他にも多数作品あり!

これからも毎週土曜日のお昼12:10に何らかの作品を投稿していきます。

どうぞ何か読んで行って下さいませ!

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