02:国会の中に居た似多門(にたもん)国の宝の一つ
最初は誰?って思った。
でも、その破魔田先生が国会で、ゲームについてきちんとこの問題を取り上げた。
そして似多門国の女性たちへの屈辱的な妄言にも触れてくれた。
そこから私は、破魔田議員の過去の質疑も漁り始めた。
似多門国からの赤子輸出を明るみに出した人物らしい。
(何なのこの人、似多門国の議員の癖に似多門民のために働くなんて…本当にこの国の政治家なの?)
私は破魔田議員が大好きになった。
そして次第に私は、
(破魔田議員、マジで似多門の宝じゃん…この人が宰相になってくれたら、似多門国がもっと良くなるんだろうな…)
とすら思い始めていた。
そしてふと、もう一つの似多門の宝が浮かんだ。
今上帝主御一家、国の象徴。
そこから私は、煌位継承についても大まかに調べてみた。
・煌室は神武帝主以来、男系男子によって継承されてきたとされる
・126代の帝主はすべて男系男子であり、これは世界的にも稀有な事例
・男系男子の血統が断絶してはならない、人格者である必要はない、質素倹約である必要はない、外国人にどう思われるかも気にする必要ない
・Y染色体の継承が帝主の正統性の証であり、失われれば帝主とは言えない、必要なのは血の確保であり染色体だけ
・真の帝主の血を持つ旧御祢家の復帰こそが伝統を守る道
・女性帝主は男系男子継承を守るための特例で、すべて例外的存在で中継ぎ
・女系帝主を認めると王朝が断絶する
・古代の女性帝主は男系男子継承の補完的存在とされる
・女性帝主と女系帝主を混同してはならない
・女性帝主は生涯独身で出産しない
・煌位継承は「氏」や「血統」の話であり、平等の問題ではない
・双系継承や直系長子優先は西洋的な考え方で、似多門の伝統にはそぐわない
・煌室は憲法の外にある特別な存在とされる
・現代の男女平等思想から煌位継承を論じるのは誤り
・女性・女系帝主を推すのは非国民で、左翼や反似多門勢力が煌室を潰そうとする動き
・宿リ子帝主を望む声は感情論であり、制度論ではない
・民の人気で帝主を決めるのは民主主義の暴走とされる
・宿リ子帝主だと外国人男に似多門が乗っ取られる
これらの言葉が、私の胸をざわつかせた。
(…本当に、そうなの?と言うか、真の帝主の血って何。この人達の言う事は意味が分からないものばかり…)
ネットから聞こえてくる今上帝主ご一家への心ない言葉に、吐き気を覚えるほどの怒りを感じて思わず書き込んだ。
《今上帝主ご一家が大好きです!
愛らしい時ノ御祢殿下を生んでくださった帝后陛下、そして世界に誇れる時ノ御祢殿下にお育てくださった両陛下に、深く感謝申し上げます!》
今上帝主ご一家が国内だけでなく世界から高い評価を受けているのは事実。
しかしその一言が、彼らの逆鱗に触れたようだ。
《煌室を破壊しようと企む非国民左翼が‼》
《似多門人なら男系男子だろ国賊が!》
誹謗中傷が押し寄せた。
(なぜ…多くの国民から敬愛される今上帝主ご一家が好きなのが反似多門なのか。なぜ…国賊なのか)
二次元の世界を与えてくれるこの国が大好きだし今上帝主ご一家を敬愛するがゆえの書き込みなのは分かるだろうに。
(これは…こうして喚き散らしている雑魚どもとは違う…今上帝主ご一家を慕う人達を抹消する空気を作り出そうとしている本物が…いる)
漠然と感じた。
男系男子派と呼ばれる者たちが語るのは、似多門国が世界に誇る古来から続く血の物語。
時代や都合によって美しく飾り立てられたり、歪められたりしながら継がれてきた側面もある。
同時に、宿リ子帝主を推す者たちが全員左翼、反似多門、非国民、テロリストなどと呼ばれていることに気づかざるを得なかった。
私は宿リ子帝主希望者たちが本当に全員そうなのか、自分なりに調べてみることにした。
するとどうだろう。
少なくとも私が見た限りでは、そこにあったのは今上帝主御一家、照環ノ御祢家、高環ノ御祢家、三環ノ御祢妃盟子様)への圧倒的な愛だった。
私は胸を打たれた。
今上帝主ご一家のことは大好きだ。
世界に誇るべきご存在であることは、たまに入ってくる情報だけでもそう思っていたしこの国の大半の国民と同じ気持ちである。
だが正直なところ、ご一家のことを深く真剣に見ていたわけでは無い。
自分の目は常に男系男子派の動向に向けられていた。
彼らが次に何を言い出すのか、どうやって理不尽な論理を振りかざすのか。
追跡と反発を繰り返していたに過ぎない。
ご一家は守るべき象徴であったが、自分が愛する二次元の世界のチートキャラクター達とさほど変わらなかった。
しかし、御一家を敬愛する人々と出会い、彼らの言葉に触れるうちに気づかされた。
その人達はただ漠然と好きなのではなく、ご一家の知性溢れるお言葉、品格ある所作、季節や場に応じた洗練された服装、国民の苦楽に寄り添う姿勢、そして、ご一家へ辿り着くまでの古代からの歴史。
それらを理解した上で敬愛していた。
今上帝主ご一家を敬愛するに至るには、元々勉強と運動好きと言われるご一家が、一流の環境で得られるであろう知性と経験に思いを馳せ、人知れず積み重ねてきた国民と国への深い責務である祈りに対する理解が必要だと気付いた。
そしてそんな人達の愛ある言葉が心を打ち続けるのだった。
ある日、煌位継承に関する破魔田議員の動画に出会ってしまった。
(ああ…あれだけ女性や子どもに優しい議員だもの。これは、きっと時ノ御祢殿下を…)
動画を再生した。
(…あれ?…え? あれだけ他の案件ではデータや証拠、法の立場で語ってたのに…?)
私はもう一度その動画を再生した。
(誰かに配慮? 圧力かけられてる? それとも…これが…本心…?)
何か見落としている気がして、何度も見直した。
けれど、何度見てもそこにいたのは破魔田議員ではなく、破魔田議員の顔をした、ただの男系男子派だった。
(煌位継承に関しては、沢山の…歪みがある)
溜息をつくと、頭の中に声が響いた。
この国に存在する八百万の神々の名を借りた、神そのものではない存在。
唯一の理解者。
(考え事かね)
「はい…」
(相手を完全に支配するためには、自分を偽ることが必要になる。 あちらもまた、偽りの物語を信じ続けるために、自分をも欺き続けている…)
ハッとさせられた。
そしてスマホを握りしめる。
真実を記した鍵が、私の手に握られている。
[※余談※]
・「万世一系」が続いているとする(史料はあれど)科学的な根拠(DNA検査など)は無い。
史料(文献的・伝承的証拠)とは日本書紀、古事記、天皇系図(皇統譜)、律令制関連文書あたりである。
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[※情報提供頂いた時の書籍紹介文の一部抜粋・要約※]
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《律令・法制史》____________
・『養老令』『令義解』『令集解』の割注
『養老令』継嗣令に関する注釈(令義解など)に 「女帝子亦同」 という文言があります。
「女帝子亦同」という文言は実在し、親王資格に準じる扱いが記されている。
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・胡潔『律令制の導入と古代日本の家族制度』
この本は、中国から導入された律令制度が、古代日本の家族制度にどのような影響を与えたかを考察しています。日本の律令制は、中国のものをそのまま受け入れたのではなく、日本の社会構造に合わせて独自の解釈や運用がなされました。この視点から、皇位継承においても、中国的な父系血統主義がそのまま導入されたわけではない可能性を示唆します。
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・坂野徹『縄文人と弥生人』
この本は、遺伝学や考古学の視点から縄文時代と弥生時代の日本人のルーツを探るものです。皇位継承問題とは直接関係ありませんが、古代日本の社会や文化の基盤を理解する上で重要です。特に、日本の古代社会が多様なルーツを持つ人々によって形成されたことを示しており、特定の血統や思想のみで歴史を語ることの限界を示唆します。
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・関晃『帰化人』
古代日本に渡来した人々(帰化人)が、日本の文化や技術、政治に与えた影響を解説しています。律令制や仏教など、日本社会の根幹を形成する要素の多くが、外部からの影響によってもたらされたことを示します。皇位継承の議論においても、中国の宗族制のような外部の思想が、後世の制度に影響を与えた可能性を考える上で参考になります。
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・森博達『日本書紀の謎を解く』
日本最古の歴史書の一つである『日本書紀』の成立過程や記述の意図を分析するものです。皇位継承の正当性を語る上で、神話や歴史書は重要な役割を果たしますが、この本は、それらが特定の政治的な意図を持って編纂された可能性を示唆します。よって、神話の記述を字義通りに解釈することの危険性を提示します。
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・佐藤進一『日本古代国家の法制と天皇制』
古代律令国家における法制と天皇制の関係を、史料をもとに実証的に分析した研究です。『大宝律令』や『養老律令』に見られる皇位継承規定の法思想的背景を明らかにし、天皇の地位が単なる血統ではなく「法的根拠」によって正統化されていたことを論じています。
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《皇位継承と家制度》____________
・田中卓『皇位継承と家制度』
この本は、日本の家制度が皇位継承にどのような影響を与えたかを考察します。特に明治以降の皇室典範が、当時の家制度の考え方に基づいて作られた側面があることを示唆しており、皇位継承が「男系男子」に限定された背景には、近代的な「家」の概念が深く関わっていることを理解する上で重要です。
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・家近亮子『宗族制の思想と近代日本の家制度』
中国の宗族制が、明治期に日本の法制度や家制度に与えた影響を専門的に論じています。この本は、皇室典範が「男系男子」に限定された背景に、儒教に基づく中国の宗族制の思想が深く関わっているという、あなたの主張を裏付けるものです。日本の伝統として語られる「男系男子」が、実は近代に外部から導入された思想に影響を受けている可能性を示します。
・家近亮子『明治期の宗族制受容と皇室典範』(『法制史研究』)
前述の書籍の内容を、より専門的な論文として掘り下げたものです。皇室典範の編纂過程において、どのような形で宗族制の思想が取り入れられたかを詳細に分析しています。皇室典範が日本の伝統の延長ではなく、特定の思想的背景を持って制定されたことを示す重要な史料です。
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・森岡清美『皇室典範における家制度の影響』
皇室典範の条文が、当時の家制度の概念とどのように結びついているかを詳細に分析した論文です。女性皇族の結婚や皇籍離脱の規定などが、家制度の考え方に基づいて作られたことを示しています。
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・上野秀治『明治期の宗族制と安倍氏』
明治期に導入された宗族制の思想が、地方の豪族(安倍氏)の家制度に与えた影響を論じています。この論文は、宗族制が皇室だけでなく、当時の日本社会全体に影響を与えたことを示す一例です。
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《天皇制と国家思想》____________
・渡辺浩『近代日本のナショナリズム』
近代日本における国家主義やナショナリズムの形成過程を論じています。皇位継承問題は、単なる血筋の話ではなく、国家のアイデンティティやナショナリズムと深く結びついています。この本は、明治以降に「万世一系」や「男系絶対」といった概念が、ナショナリズムを形成する上でどのように利用されたかを理解する上で役立ちます。
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・吉村武彦『天皇と日本古代国家』
古代日本の天皇の地位や役割について、歴史学の視点から解説しています。古代の天皇が、単なる祭祀者ではなく、政治的な権力を持った存在であったことを示します。また、この時代には男系だけでなく、母方の血筋や権威も重要であったことを示唆します。
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・仁藤敦史『女帝の世紀――皇位継承と政争』
飛鳥・奈良時代の女性天皇の存在に焦点を当て、当時の皇位継承が、単なる男系絶対ではなく、政治的な思惑や権力闘争の中で行われていたことを明らかにします。女性天皇が「中継ぎ」や「特例」という単純なものではなく、自らの権威を持って政治を主導した事実を示しています。
・仁藤敦史『「家」と天皇制の近代』
近代的な「家制度」が、天皇制のあり方に与えた影響を考察しています。特に明治以降の天皇制が、儒教的な「家」の概念を取り入れて再構築された側面を分析しています。
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・丸山真男『日本政治思想史研究』
戦後日本を代表する政治思想史家・丸山真男による、日本の天皇制と国家観の思想的系譜を解明した古典的著作です。近世から明治にかけての「天皇=国家の象徴」という観念が、いかに近代的イデオロギーとして形成されたかを分析しています。
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《近代国家と法制》____________
・瀧井一博『文明史のなかの明治憲法』
明治憲法が、西洋の近代的な思想と日本の伝統的な思想のせめぎあいの中で作られた経緯を解説しています。皇位継承をめぐる議論も、この文明史的な文脈の中で捉えることができます。
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・笠原英彦『皇室典範―明治の起草の攻防から現代の皇位継承問題まで』
明治の皇室典範が、どのような議論を経て制定されたかを詳細に解説しています。当時の議論の中には、女性天皇を認める意見もあったことを示唆しており、男系男子に限定された経緯が、特定の思想による選択であったことを明らかにします。
・笠原英彦『日本古代王権の母系的要素について』(歴史評論)
古代日本の皇位継承において、母方の血筋や女性の役割が非常に重要であったことを、具体的な史料に基づいて論じています。男系絶対の主張が、歴史的事実と矛盾していることを示す論文です。
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・所均『皇位継承制度の歴史的展開と近代的変容』(『浦和論叢』第39号、2023年)
古代律令期から明治以降に至るまでの皇位継承制度の変遷を、法制史・政治史の両面から包括的に整理した論文です。とくに明治期において「男系男子」原則が制度化されていく過程を、法的・思想的両面から検証しています。従来「伝統」とされてきた男系主義が、実は近代国家形成の過程で再構築されたものであることを明確に指摘しています。
・所均「皇室制度と近代国家形成」(『法制史研究』第70号、2021年)
皇室典範の制定過程を法制史的に分析し、明治国家が皇室制度をどのように「国家法体系」に組み込んだかを明らかにした研究です。中国的宗族制の影響や、近代国家法の合理主義との緊張関係を対比的に描き出しています。
・所均「皇位継承と憲法体制の相互作用」(『浦和大学紀要』、2022年)
象徴天皇制の成立以降、憲法上の「世襲条項」と皇位継承制度がどのように整合してきたかを分析した論文です。戦後の皇位継承論議にも触れつつ、憲法と皇室典範の関係性を再検討しています。
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《双系・女性天皇の研究》____________
・義江明子「双系制をめぐって」(文學界 1991年12月号)
古代日本の社会が、父系と母系の両方を重視する「双系制」であった可能性を論じた論文です。皇位継承も、この双系的な社会構造の中で捉えるべきだという視点を提供します。
・義江明子『女帝の古代王権史』
日本の女性天皇の役割や地位を、歴史学の視点から深く掘り下げたものです。女性天皇が「中継ぎ」などではなく、自らの意志と権力を持って統治した事実を示し、男系男子派の主張を否定します。
・義江明子「女性天皇と祭祀権—天皇制の母系的要素」(日本史研究)
女性天皇が、天皇の重要な役割である祭祀をどのように行っていたかを論じた論文です。「祭り主は男系男子でなければならない」という主張に対し、歴史的事実をもって反論するものです。
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・武田佐知子「古代女帝の衣装」(『王の墓に奉仕する人々』)
古代の女性天皇が着用していたとされる衣装の研究を通じて、彼女たちの権威や役割を考察しています。史料に基づいた研究は、男系男子派の感情的な主張に対し、客観的な事実をもって反論する上で貴重な情報となります。
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・武澤秀一『持統天皇と男系継承の起源』
持統天皇が自らの子孫による継承を積極的に構築したことを論じており、女帝が単なる中継ぎではなく制度形成に関与したことを示しています。
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《歴史思想・言語史的補強》____________
・網野善彦『日本社会の歴史』
・網野善彦『日本の歴史をよみなおす』
中世社会の双系的構造や非農業民の多様性を描いています。
どちらも「中世社会の多様性」をテーマにしており、特に「双系的な構造(父方・母方双方から血統・地位が受け継がれる可能性)」や「非農業民=漂泊民・商人・芸能民・猿楽・宗教者などの存在」を大きく描いています。
つまり「天皇や貴族社会だけでなく、周縁や双系も日本社会の重要な一部だった」という問題提起。
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・井上光貞『日本国家の成立』
古代国家形成における氏姓制度の柔軟性を論じています。
古代律令国家が形成される過程を論じた古典的研究。
その中で「氏姓制度」が単純な血統固定ではなく、時代や政治状況によって編成・再編される柔軟な仕組みだったことを指摘。
(例:氏の再編成、賜姓、臣・連・伴造などの変化)
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・藤田覚『幕末・維新と天皇』
幕末から明治維新にかけて、天皇の地位や役割がどのように変化したかを解説しています。この時期に、天皇が政治の中心に据えられ、その正当性が「男系男子」という形で固定されていった背景を理解する上で重要です。
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・小嶋和司『帝室典則について』
明治期に制定された皇室典範が、それ以前の慣習とは異なる「近代的制度化」であることを明確に示しています。男系男子継承の条項がこの時に初めて成文化されたという点は、制度史的に確認されています。
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