京都駅
関西空港からやっと降りた。
「さてと、京都駅に向かうか」
腕を開き精一杯伸ばした。この頃運動してなかったからとても体力を失ってしまった。
京都駅まで二時間ちょっと、まだまだかかってしまう。
……バスが来た。
「寝ようかな」
昨日はオールして飛行機に乗っている。とても眠たい。だが、バスに乗ると揺れと酔いに晒されて、一睡も出来ない。
「もういいや、音楽でも聞くか」
お気に入りの曲を携帯で流しながらバスに乗って、景色を見ていた。
「…お?」
目の前に京都タワーが現れた。もちろん右手に京都駅もあった。CASIOのG-SHOCKは午後六時を指している。
「少し暗いかな、一応写真を撮っておこう」
正面口の写真を撮り終わり、駅に入った。中に入り左を見ると、段数が数え切れない階段、右を見ると境界壁がなく無限に広がるとも思えるロッカールームとお土産屋さん。近未来的な建物に興味はあまりわかなかったがとても興味深い。幻想的な階段のライトアップ、下を見る度肝を抜かれる天空に広がる廊下、永遠と太陽、月の光が差すガラス張りの天井。全てを、見通したあと、また中央口に戻ってきた。もう一度JR京都駅の看板の光を見てみるとそこに私と同い年ぐらいの女性が立っていた。
爽籟がストレートに下ろした髪をなびかせている、とても良い匂いだった。だがどこか懐かしい、切ないような感じがした。
「…こん……こんば…は……こんばんは!」
彼女がいきなり話しかけてきた。
「…っあ、はい」
少し戸惑ってしまったが、俺は直ぐに返事をし直した。
「こんばんは、何か用ですか?」
「話したいことがあるんだけど、電車きちゃたっよ?」
「やばいな…とりあえず乗りましょう」
「話は?」
「電車の中では流石に出来ないので、歩きながら話したいのですが、どこに行く予定ですか?」
「特に無いの」
「一人旅ですか?お連れの方が見当たりませんが…」
「そうだね、一人で周っているよ」
「分かりました、とりあえず着いてきてください」
「わかった」
「電車を降りて、歩きながらでも話しましょう」
「うん」
「東海道線…宇治だから……乗り換え込で四百十円か持ってます?」
「あるよ、払おうか?」
「いえ、後で貰うので今はいいです」
私たちは急いで電車に乗り込んだ。係員に少し注意されそうになったが、説教される暇はなかったからそのまま素通りした。目の前にいた彼女は引いていた様子だった。
「無視して、良かったの?」
「電車に乗れなくなるよりはいいんじゃないですかね」
「それもそうだね」
私はそんな会話をしながら私は再び音楽を流し始めた。イヤホンの中で電車の音が流れ始める。ピアノのメロディに移り代わった瞬間電車は乗り換えの駅に止まった。
「降りて乗り換えましょう」
「…うん」
少しウトウトしていた彼女は機嫌が少し悪そうだった。
「また少しかかるので着いたら起こしますね」
「…ありがと」
彼女が寝てから少し時間がたった。三十分ほどたったところで携帯から着信がきた。妹からのメールだった。妹は高校一年生だ。今私は二十一歳である為五歳違うことになる。知識量では勝てているものの、頭の回転は妹の方が良いだろう。妹も旅行中だそうだ。晴れているといいな。
「今何時?」
彼女が起きた。
「起きましたか、あとひと駅で着きますよ」
「じゃあ、また…」
「やめてください、起こすのが辛いです」
「わかったよ」
彼女とそんなやり取りをしてまた携帯に顔を向けた。メールの返信を送り、顔を上にあげた。すると電車の窓から外を眺める彼女の横顔があった。あまり顔を直視していなかったから気づかなかったが、とても顔立ちが良い。私はつい、見蕩れてしまった。すると、彼女がこっちを見ていることに気がついた。
電車が悲鳴のような音を上げ、列車が急に止まった。外を見ると宇治駅に着いていた。なぜこんな急に止まったか分からないがひとまず降りることにした。駅員さんが近くによってきたがそれを横目に通り過ぎた。
「降りますよ」
「わかった」
「とりあえず、宇治橋の方向に向かいます」
やっと宇治に着いた。時間にしては比較的少なかったが体感時間にしてはとても長く感じた。今も電車の音は鳴り響いている。
「橋までどのくらいかかる?」
彼女がそう聞いてきた。
「わかりません、でも多分もう少しかかりますよ?」
それだけ言って歩き始めた。
宇治橋までもう少しだろう。




