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[第93話] おつり

 日曜の朝、徳山光二は退屈まぎれにスーパーで買物をしていた。もう買い残しはないな…と思え、徳山はレジへと向かった。レジの空いたところで勘定を済まそうと入ると、手ぶりから見てまだれていないと思える若い店員が対応した。次々にレジ価格が入っていくPOSシステムはいつもながら便利だ…などと、えらそうに思っていると、すでに精算に入っていた。

「¥4,033です…」

 ここで徳山はミスった。いつもなら¥5,100を出し、おつりは¥1,000札でもらうシステムを徳山はとっていた。ところが、である。ついつまらなく思っている間に¥5,000札のみを出していたのである。当然、店員は機械に清算させ、お釣りの¥967を手渡した。このとき徳山は、ハッ! とミスに気づいた。清算は終わっていたから、もうあとの祭りである。徳山の脳裡のうりに悲しい演歌のカラオケがびしく流れた。財布にお釣りを入れ、硬貨を残念そうに掻き回していると、¥500硬貨が二枚あった。

「あのう…これ¥1,000札に交換してもらえませんか?」

「…それは出来ません」

 店員の愛想ない返事が返ってきた。まあ、店員には悪気はなく、店のマニュアルどおりに言ったのだろう…と徳山は思った。経済学でいえば確かに取引は済んでいた。だが、徳山はまだ取引の場を離れた訳ではなかった。その状況は、その場を去ってから換金を願い出た場合と明らかに相違しているのだ。まあ、出来ない・・と言われればそれまでだが、そのあたりがサービスのように思え、買ったものを袋に入れると、徳山は店をあとにした。今ではレジ袋もお金がいる時代になっていた。家に帰り、徳山が財布の中のおつりを見ると、いつ入れたのか、その中に印籠いんろうが入っていた。何を隠そう、恐れ多くも、このお方こそ先の副将軍、従三位中納言、水戸光圀公にあらせられる…訳がなかった。


             THE END


 注:¥500硬貨2枚を¥1,000札に換金する一つの方法として、2枚を金融機関へ預貯金で預け、¥1,000引き出せば、¥1,000札は入手できます。^^

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