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[第18話] 眉唾(まゆつば)者

 世の中には信じがたいような話をする人がいる。村役場の健康福祉課に勤務する宇曽川うそかわまこともそのような男だった。課内では眉唾まゆつば者として名をせていた。

「いや、どうも地震があるようですよっ!」

「緊急地震速報でもあったんですかっ!?」

「いや、それは…。ただ、そう思っただけです」

 宇曽川は真山まやまたずねられ、そう返した。

「ははは…なんだ。また、ソレですか。おい、皆! だ、そうだ」

 真山は他の課員達を見回しながら笑った。全員からドッ! と笑声が起こった。課員の一人などは、まったく信じられん・・とでも言うかのように、手の指先で眉毛まゆげをなぞりながらニヤリとした。そして、その日は何事もなく過ぎ去った。

 翌日の朝である。いつものように出勤してきた真山が、すでに出勤してデスクに座っている宇曽川をのぞき込んだ。

「起こりませんでしたね、宇曽川さん」

 完全ないやみである。

「いや、そうなんですがね。おかしいなぁ~」

 宇曽川は、まだ地震が起こると信じている口調で真山に返した。真山は、ははは…と笑った。そのときだった。一瞬、課内がグラッ! と揺れた。ただ、その揺れはすぐに収まった。

「ねっ! でしょ!」

 宇曽川は、ここぞとばかり自慢げに言った。

「まあ、確かに。でもねえ…」

 真山は一応、納得したが、地震は小さかったんだから・・と真顔をすぐゆるめた。他の課員達も宇曽川を小馬鹿にするかのように軽くチラ見したあと、席へ着いた。

「おかしいなぁ~」

 地震を期待している訳でもなかったが、宇曽川は首をひねった。その直後、本震が襲った。マグチュード5の揺れが数分、続いた。役場内は物が落ちたり崩れたりで大混乱となった。真山の眉がほこりで白くなっていた。幸い、怪我人は出ずに終息したが、課員達は全員、怖いものを見るかのように宇曽川を見た。

「でしょ!」

 宇曽川はしたり顔で課員達を見回した。宇曽川は以後、課員達から眉唾者と言われなくなった。


                    THE END

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