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[第16話] 領域(テリトリー)

 すべての生物は、自分が主張する領域テリトリーというものを持っている。それは微視的ミクロ世界のバクテリアやウイルスのたぐいに始まり、巨視的マクロ世界の人間まで及ぶ。その支配権の争奪は生物を超越した地球上の領有権にも波及し、あらゆる分野に見られるのである。この領域を侵害すれば、越権行為として両者間にトラブルが発生する。

「どうも風邪らしい…」

 課長席に座る岩魚いわな塩味しおみは手をひたいに乗せ、朝から熱ばった身体でそう言った。

「今日は無理されず、早退されたらいかがですか?」

 課長席前の係長席に座る滝壺たきつぼ幸一は心配そうに岩魚をうかがった。

「ああ、そうさせてもらうか…。あとは滝壺君、頼んだぞ」

「はい! ご安心ください。お大事に!」

 席を立った岩魚は足早に会社から去り、病院へと向かった。

 整理加病院の老医師、炭火すみびは検査結果が出た岩魚を前に座らせ、ひと通りたあと、静かに言った。

「…ただの風邪ですな。よかった、よかった!」

 何が、よかっただ! と少し怒れた岩魚だったが、思うに留めた。炭火は古くから顔馴染かおなじみの医師だったこともある。

「で、どうなんでしょう?」

「ああ、大丈夫ですよ。…お薬をお出ししときましょう。インフルエンザじゃありません。インフルエンザはテリトリーを駄目にしますからなぁ~」

「テリトリー?」

「ははは…いやなに、体内細胞のことですよ」

 炭火自身、新任医師の電力でんりきに内科のテリトリーをおびやかされていた。院内では、次期の科長は電力だろう…というのが、もっぱらのうわさだった。

「どうも、ありがとうございました」

「テリトリー…いや、お身体からだが不調なら、またお越し下さい」

 炭火に美味うまそうにほどよく焼かれ、岩魚はテリトリーの家へもどった。そしてテリトリーの家で妻によって、ほどよく盛り付けられた。


                    THE END

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