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当て馬女子の受難の日々  作者: 雨野
高校編
21/22

01


 えー、BL漫画の世界に転生して早数年。私達…高校生になりましたー!イエイッ!!折角なので、現在の私達をご紹介しましょう。





 まず私、月見山一華。

 祖父が大企業の社長をしており、大金持ちの一人娘ですが。漫画通りのナイスバディ美少女に成長しました☆自分で言うなって?客観的事実なので仕方ない。

 肩の辺りで揃えたアッシュブロンドの髪は、俗に言うウルフカット。お付きの神戸さんも相変わらず一緒です!




 で。前世では双子の弟。漫画では五人の男に囲まれていた… 誰もが目を張る美少年。誘い受けビッチな主人公、大橋優深こと優深ちゃん。彼だが…


「ハアァ〜、今日も俺ってば美少年〜。どの角度から見ても美形ってヤバくね!?もう政府は俺に人間国宝の称号を与えるべきでしょ」


 などとほざきながら、うっとりと鏡を眺めています。はい、ただのナルシストに成長しました!美少年には違いないんだけどね!!中身違うから仕方ないね。

 優深ちゃんは天パの黒髪で、上背があり細マッチョ。スイミング他は辞めたけど、空手は続けているよ。

 女の子大好きなので、男達にアンアン言わされる未来はほぼ消滅したことだろう。


 死んでしまう運命を回避した…お姉さんの愛さん。お義兄さんの鐘池朔羅さんとの間には一男一女に恵まれ、すっかり叔父さんなのだ。





 お次はシノ様。

 ウザい俺様系で、とにかく顔がいい&エロい同級生。それでいて実は平凡で、自己評価が低い。そんな東雲楓ですが。


「え…来週、優深と一華ドライブ行くの?」

「おう。義兄さんが日本で公演会があって帰国するんだ。一日時間取れるから、お友達誘っていいよ〜って言ってくれてな。でも楓、確か用事あるんだよな…だから今回は」

「確かにあるけど……予定、ずらせるし。俺もい、一緒に、行きた…っ」

「はい決定!!朝十時に迎え行くから待ってろ!!」

「…!うんっ!!」


 横暴要素どこ行った?完全なるわんこ系になってしまった。

 普段アクセサリーをジャラジャラ付けているので一見チャラ男、だがピアスは「怖くて無理…」だそううでイヤリング。

 高校生になってもヒーロー大好き。とっくに放送終了しているメルヘンセブンも、まだまだ熱は冷めていないご様子。お馬鹿で可愛いのである。





 んで…メインヒーロー、沖原拓馬。

 ハリウッド女優の母を持ち、目を惹かれる容姿にあらゆる才能に恵まれて。優深にベタ惚れし、一華と婚約関係にあった男。最終的に一華は当て馬でしかなく、困難を乗り越えて優深と結ばれた…クソ男。

 私は沖さんと呼んでいるんですけど。


「今日は体育でプールだね。公開水責めなんて…ゾクゾクする…っ♡」

「私サボるっ!」

「病気、怪我以外でサボるならマラソンだよ?……ハッ!!

 大丈夫…僕が一華様を背負って、炎天下の中走り回ってみせるよ。君は僕に鞭打ってくれればいいから」

「詰んだ!!!もう来年はプール選択しないんだからあっ!!」(※中一時の会話)


 クールイケメンなメインヒーローが…変態マゾ男になっちゃった…

 気付けば私を「一華様」と呼び(人前では一華ちゃん)、常に首輪型チョーカーを着けている。みんなはお洒落だと思っているが…あれは本当に首輪だ。その証拠に私は、セットのリードを持っているからな…押し付けられて!!





 ユキちゃんこと不動幸久。

 プラチナブロンドを靡かせる、優深と並ぶ美少年で、多くの男達を食い物にする肉食系。優深だけは例外だが、逞しい男にしか興奮できない一学年先輩。の、はずが。


「ちょっとイチ、今日肌荒れてない?」

「あー、昨日夜更かししちゃって…」

「睡眠不足は美肌の敵だよ!ほらこれ、不動製薬の新作クリーム。洗顔後にちゃんと塗りなさい」

「はーい、ありがとユキち」

「珠々はちゃんと毎日髪梳かす!ウミ、ネクタイ曲がってる!拓馬は変態直して!シノはチャック閉めなさい!」

「「「「はーい、ママー」」」」

「誰がママだ!!」


 すっかりみんなのお母さん(笑)。メイクのこととかも色々教えてくれて、本当頼りになるんだわ。

 実は今…すうちゃんのお兄さん、聖一郎くんに片想い中。漫画と性格は全然違うが、逞しい男性がタイプなのは変わらないようだ…

 聖一郎くんはノーマルだから、想いを告げられなくて苦しいみたい…





 漫画で愛さんの死に関わり、自身も事故死してしまった元警視総監のお孫さん。納夢珠々、私の親友すうちゃん。


「ちかちゃん!あたしも篠宮学園高等部に編入決まったよー!」

「えー、おめでとうすうちゃん!一緒に学校通えるね、嬉しい〜!」


 手を取りきゃっきゃと喜び合う。彼女は赤く染めた髪が目立ち、とっても足が速いスポーツ少女!でもバイトするから部活には入らないって。


 それで高校進学にあたり…優深ちゃんと正式にお付き合いすることになりましたー!彼女はずーっと一途だったからね、優深ちゃんもすっかり惚れちゃったみたいよ。いいなー、私も彼氏欲しいな〜…





 すうちゃんのお兄さん、聖一郎くん。

 彼も漫画では精神を病んでしまって、優深を殺しかけたけど。優深ちゃんとは仲良しだし、すうちゃんの彼氏としても認めているのさ!

 私達より二歳上で身長190cm越え、空手は全国レベルのシスコンナイスガイ。






 私達はみんな、篠宮学園高等部に通う(聖一郎くん除く)。そこに…もう一人、気になる人物がいる。



「おはよう、月見山さん」

「おはよう、庵くん」


 庵千那くん。表向きは爽やかな好青年だが、嫉妬深くて優深を束縛したがる男子。メインキャラのうち、彼とだけ優深ちゃんは親交があまりない。

 それはいいんだけど、彼だけ漫画通りに成長したとしたら。ふとした切っ掛けで、ヤンデレっぽくなるかもしれないんだよね。大丈夫かなぁ…とやや心配。




 そんなメインキャラ、サブの私、すうちゃんはみんな同じCクラス。入学式も終わり…教室で交流だ!!






 *****






 ウチの名前は山室栞子、ピッチピチの高校一年生!

 今まで地元の私立校に通ってたんだけど、高校から篠宮学園っていう所に編入すんの。

 セレブ校って聞くけど…ウチこれでも地元じゃ、結構カースト上位だったし。パパは小さいけど会社経営してるし、セレブと言っても過言じゃないし!



 適当に友達作って遊んで、彼氏とかできちゃって〜?新生活に胸を躍らせながら、教室で友達作りに挑んだ訳だけど。



 がやがや… あはは…


 キラキラ シャララ〜ン



 レ…レベル高え〜…!

 右を見ても左を見ても、なんか光ってんだけど。

 ウチみたいにギャルっぽいのもいるけど…オーラパない。並ぶとどう見ても、ウチはモブだわ。

 女子は綺麗な子ばっかだし、男子はイケメンだし。地元みたいに野暮ったい奴とかデブとかいねえ。これが、ガチもんのセレブ…!


 校舎も綺麗で大きくて色んな設備整ってて。なんで学校にシアタールームとかあんの!?そこは視聴覚室でしょ!

 ヤバ、これ友達作りとか無理ゲー。



 所詮ウチなんて…普段遊ぶ場所といえば、駅からシャトルバスで三十分のウィウォンモールくらいだし。こんな都会っ子達に馴染める訳ないじゃん…!



 あ、でも。斜め向かい席の赤髪女子。髪は派手だけど、顔は普通の可愛い女子高生レベル。

 キラキラ〜って感じしなくてちょっと安心だわ。声掛けてみようかな…?



「あ…あの…」

「ちかちゃんと隣になれるなんて嬉しいわ!みんな同じクラスだし、よかった〜」

「うん、私も!」



 う…出遅れた。つか赤髪子、ウチの前…金髪女子と知り合いっぽい?その金髪子が、くるっと振り向…き……



「初めまして、私は月見山一華。席前後だし、これからよろしくね」


 や……っべぇ〜〜〜!!!後ろ姿から美人とは思ってたけど!目おっきいしめちゃ小顔!!あと胸デケエ!!!

 見惚れていたら、隣の赤髪子も満面の笑みをウチに向けてくれた。



「あたしは納夢珠々。高校から編入なの、よろしく!」

「……あっ、ウチは、山室栞子。初めまして…ウチも編入組なんだ」

「そーなの!?仲間〜!ねーねー、名前で呼んでいい?いきなりすぎ?」


 赤髪子、グイグイ来る〜。でも今は助かる〜。


「い、いいよ…月見山さんも。ウチも名前で呼んでいい?ふ、二人共…」

「もちろんオッケー!じゃあ、りこちゃんって呼ばせてもらうわ!あたしはスズでもすうでもオッケー」

「私も栞ちゃんって呼ばせてね。私のことは好きに呼んで」

「う…うんっ!す、珠々、一華!」




 やったーーー!!!

 ヤバ、聞いてよパパママーーーッ!!いきなり友達2人もできちゃった!ウチの脳内大フィーバー。そのまま三人でおしゃべり。


 え、一華スッピンなの!?日焼け止めだけって…素材が違いすぎる。珠々もリップだけでその可愛さ?

 ウチ、これでフルメイクなんですけど。全部落としたら超地味顔なんすけど。




「おーい、そろそろ…っと悪い、話してたのか」


 はっ?めっちゃ美少年が話し掛けてきたんだが???目青いし、ウチよりずっと肌白くね?互いに自己紹介するが…惚れてもいいっすか?

 とか思っていたら、一華が耳打ちしてきた。


「実はね、優深ちゃんとすうちゃんって付き合ってるんだ」


 グッバイ十秒保たなかったウチの恋。

 だよねー、彼女くらいいるよね!珠々はおずおずと大橋くんと腕を組んで…

 大橋くんは、照れくさそうに指で頬を掻きながら受け入れる。何この可愛いカップル?推せるわ。



 ついでにウチもかーえろっと。一華と一緒にカバンを持って席を立つと。



「いーちかっ!」

「きゃっ!?か、楓…!」


 めっちゃ制服着崩したイケメンが、一華を後ろから抱き締めた。え…チャラ男?

 が。一華に「私達もう子供じゃないのよ!」と怒られ、目に見えて落ち込んだ。全然チャラ男じゃなかった。

 紹介された東雲くんは、全身から色気を放っている…んだけど。制服のブレザーの下に、パーカーを着ていて。

 そのパーカーに…昔流行った戦隊モノの写真がデカデカと…。美形と子供にしか許されないファッションをしている。



「一華ちゃん。母さんがさ、高校進学のお祝いを一緒にしない?って言ってるんだけど」

「えー…?両親に一応聞いてみるけど…」


 ん?寄って来たのは…またイケメンかよ!!もうこの数分でイケメンゲシュタルト崩壊だわ!

 ってこの人、テレビで見た事ある!二世俳優とか言われてる、佐伯拓馬!あ、本名は沖原拓馬?



 …さっきからウチの周りに、美男美女集まって居心地悪いんだけど。珠々も立ち上がると、手足が長くてスレンダーなモデル体型だって分かるし。



「じゃ、ウチはこれで…また明日ねっ」

「うん、バイバイ栞ちゃん」


 そそくさー と移動して教室のドアを開けると。



 ガラッ 



「わっ!?」

「あ。ごめんね、大丈夫?」


 目の前に人がいて、危うくぶつかるところだった!ギリギリセーフだけど…うお。

 相手は声が低いから男子生徒…だと思うんだけど。細身で睫毛バシバシで、大橋くん達とは違う美形…!

 ウチに怪我がない事を確認後、お互い気を付けようねとにっこり笑った。尊い…心臓止まりそう…



 彼はウチとすれ違い、教室に入ったんだけど…背中に届いた会話が。



「みんな、入学式お疲れ様。校舎案内しよっか?」

「お願いね、ユキち」


 また一華の関係者かーい。類は友を呼ぶ…美人は美人を呼ぶのね…




 ウチ、これまでカーストとかこだわってたけど。所詮井の中の蛙…と初日にして思い知らされたわ。

 散々な入学初日だったけど。友達が二人もできたので、幸先のいいスタートだと思おう!



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