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えー、BL漫画の世界に転生して早数年。私達…高校生になりましたー!イエイッ!!折角なので、現在の私達をご紹介しましょう。
まず私、月見山一華。
祖父が大企業の社長をしており、大金持ちの一人娘ですが。漫画通りのナイスバディ美少女に成長しました☆自分で言うなって?客観的事実なので仕方ない。
肩の辺りで揃えたアッシュブロンドの髪は、俗に言うウルフカット。お付きの神戸さんも相変わらず一緒です!
で。前世では双子の弟。漫画では五人の男に囲まれていた… 誰もが目を張る美少年。誘い受けビッチな主人公、大橋優深こと優深ちゃん。彼だが…
「ハアァ〜、今日も俺ってば美少年〜。どの角度から見ても美形ってヤバくね!?もう政府は俺に人間国宝の称号を与えるべきでしょ」
などとほざきながら、うっとりと鏡を眺めています。はい、ただのナルシストに成長しました!美少年には違いないんだけどね!!中身違うから仕方ないね。
優深ちゃんは天パの黒髪で、上背があり細マッチョ。スイミング他は辞めたけど、空手は続けているよ。
女の子大好きなので、男達にアンアン言わされる未来はほぼ消滅したことだろう。
死んでしまう運命を回避した…お姉さんの愛さん。お義兄さんの鐘池朔羅さんとの間には一男一女に恵まれ、すっかり叔父さんなのだ。
お次はシノ様。
ウザい俺様系で、とにかく顔がいい&エロい同級生。それでいて実は平凡で、自己評価が低い。そんな東雲楓ですが。
「え…来週、優深と一華ドライブ行くの?」
「おう。義兄さんが日本で公演会があって帰国するんだ。一日時間取れるから、お友達誘っていいよ〜って言ってくれてな。でも楓、確か用事あるんだよな…だから今回は」
「確かにあるけど……予定、ずらせるし。俺もい、一緒に、行きた…っ」
「はい決定!!朝十時に迎え行くから待ってろ!!」
「…!うんっ!!」
横暴要素どこ行った?完全なるわんこ系になってしまった。
普段アクセサリーをジャラジャラ付けているので一見チャラ男、だがピアスは「怖くて無理…」だそううでイヤリング。
高校生になってもヒーロー大好き。とっくに放送終了しているメルヘンセブンも、まだまだ熱は冷めていないご様子。お馬鹿で可愛いのである。
んで…メインヒーロー、沖原拓馬。
ハリウッド女優の母を持ち、目を惹かれる容姿にあらゆる才能に恵まれて。優深にベタ惚れし、一華と婚約関係にあった男。最終的に一華は当て馬でしかなく、困難を乗り越えて優深と結ばれた…クソ男。
私は沖さんと呼んでいるんですけど。
「今日は体育でプールだね。公開水責めなんて…ゾクゾクする…っ♡」
「私サボるっ!」
「病気、怪我以外でサボるならマラソンだよ?……ハッ!!
大丈夫…僕が一華様を背負って、炎天下の中走り回ってみせるよ。君は僕に鞭打ってくれればいいから」
「詰んだ!!!もう来年はプール選択しないんだからあっ!!」(※中一時の会話)
クールイケメンなメインヒーローが…変態マゾ男になっちゃった…
気付けば私を「一華様」と呼び(人前では一華ちゃん)、常に首輪型チョーカーを着けている。みんなはお洒落だと思っているが…あれは本当に首輪だ。その証拠に私は、セットのリードを持っているからな…押し付けられて!!
ユキちゃんこと不動幸久。
プラチナブロンドを靡かせる、優深と並ぶ美少年で、多くの男達を食い物にする肉食系。優深だけは例外だが、逞しい男にしか興奮できない一学年先輩。の、はずが。
「ちょっとイチ、今日肌荒れてない?」
「あー、昨日夜更かししちゃって…」
「睡眠不足は美肌の敵だよ!ほらこれ、不動製薬の新作クリーム。洗顔後にちゃんと塗りなさい」
「はーい、ありがとユキち」
「珠々はちゃんと毎日髪梳かす!ウミ、ネクタイ曲がってる!拓馬は変態直して!シノはチャック閉めなさい!」
「「「「はーい、ママー」」」」
「誰がママだ!!」
すっかりみんなのお母さん(笑)。メイクのこととかも色々教えてくれて、本当頼りになるんだわ。
実は今…すうちゃんのお兄さん、聖一郎くんに片想い中。漫画と性格は全然違うが、逞しい男性がタイプなのは変わらないようだ…
聖一郎くんはノーマルだから、想いを告げられなくて苦しいみたい…
漫画で愛さんの死に関わり、自身も事故死してしまった元警視総監のお孫さん。納夢珠々、私の親友すうちゃん。
「ちかちゃん!あたしも篠宮学園高等部に編入決まったよー!」
「えー、おめでとうすうちゃん!一緒に学校通えるね、嬉しい〜!」
手を取りきゃっきゃと喜び合う。彼女は赤く染めた髪が目立ち、とっても足が速いスポーツ少女!でもバイトするから部活には入らないって。
それで高校進学にあたり…優深ちゃんと正式にお付き合いすることになりましたー!彼女はずーっと一途だったからね、優深ちゃんもすっかり惚れちゃったみたいよ。いいなー、私も彼氏欲しいな〜…
すうちゃんのお兄さん、聖一郎くん。
彼も漫画では精神を病んでしまって、優深を殺しかけたけど。優深ちゃんとは仲良しだし、すうちゃんの彼氏としても認めているのさ!
私達より二歳上で身長190cm越え、空手は全国レベルのシスコンナイスガイ。
私達はみんな、篠宮学園高等部に通う(聖一郎くん除く)。そこに…もう一人、気になる人物がいる。
「おはよう、月見山さん」
「おはよう、庵くん」
庵千那くん。表向きは爽やかな好青年だが、嫉妬深くて優深を束縛したがる男子。メインキャラのうち、彼とだけ優深ちゃんは親交があまりない。
それはいいんだけど、彼だけ漫画通りに成長したとしたら。ふとした切っ掛けで、ヤンデレっぽくなるかもしれないんだよね。大丈夫かなぁ…とやや心配。
そんなメインキャラ、サブの私、すうちゃんはみんな同じCクラス。入学式も終わり…教室で交流だ!!
*****
ウチの名前は山室栞子、ピッチピチの高校一年生!
今まで地元の私立校に通ってたんだけど、高校から篠宮学園っていう所に編入すんの。
セレブ校って聞くけど…ウチこれでも地元じゃ、結構カースト上位だったし。パパは小さいけど会社経営してるし、セレブと言っても過言じゃないし!
適当に友達作って遊んで、彼氏とかできちゃって〜?新生活に胸を躍らせながら、教室で友達作りに挑んだ訳だけど。
がやがや… あはは…
キラキラ シャララ〜ン
レ…レベル高え〜…!
右を見ても左を見ても、なんか光ってんだけど。
ウチみたいにギャルっぽいのもいるけど…オーラパない。並ぶとどう見ても、ウチはモブだわ。
女子は綺麗な子ばっかだし、男子はイケメンだし。地元みたいに野暮ったい奴とかデブとかいねえ。これが、ガチもんのセレブ…!
校舎も綺麗で大きくて色んな設備整ってて。なんで学校にシアタールームとかあんの!?そこは視聴覚室でしょ!
ヤバ、これ友達作りとか無理ゲー。
所詮ウチなんて…普段遊ぶ場所といえば、駅からシャトルバスで三十分のウィウォンモールくらいだし。こんな都会っ子達に馴染める訳ないじゃん…!
あ、でも。斜め向かい席の赤髪女子。髪は派手だけど、顔は普通の可愛い女子高生レベル。
キラキラ〜って感じしなくてちょっと安心だわ。声掛けてみようかな…?
「あ…あの…」
「ちかちゃんと隣になれるなんて嬉しいわ!みんな同じクラスだし、よかった〜」
「うん、私も!」
う…出遅れた。つか赤髪子、ウチの前…金髪女子と知り合いっぽい?その金髪子が、くるっと振り向…き……
「初めまして、私は月見山一華。席前後だし、これからよろしくね」
や……っべぇ〜〜〜!!!後ろ姿から美人とは思ってたけど!目おっきいしめちゃ小顔!!あと胸デケエ!!!
見惚れていたら、隣の赤髪子も満面の笑みをウチに向けてくれた。
「あたしは納夢珠々。高校から編入なの、よろしく!」
「……あっ、ウチは、山室栞子。初めまして…ウチも編入組なんだ」
「そーなの!?仲間〜!ねーねー、名前で呼んでいい?いきなりすぎ?」
赤髪子、グイグイ来る〜。でも今は助かる〜。
「い、いいよ…月見山さんも。ウチも名前で呼んでいい?ふ、二人共…」
「もちろんオッケー!じゃあ、りこちゃんって呼ばせてもらうわ!あたしはスズでもすうでもオッケー」
「私も栞ちゃんって呼ばせてね。私のことは好きに呼んで」
「う…うんっ!す、珠々、一華!」
やったーーー!!!
ヤバ、聞いてよパパママーーーッ!!いきなり友達2人もできちゃった!ウチの脳内大フィーバー。そのまま三人でおしゃべり。
え、一華スッピンなの!?日焼け止めだけって…素材が違いすぎる。珠々もリップだけでその可愛さ?
ウチ、これでフルメイクなんですけど。全部落としたら超地味顔なんすけど。
「おーい、そろそろ…っと悪い、話してたのか」
はっ?めっちゃ美少年が話し掛けてきたんだが???目青いし、ウチよりずっと肌白くね?互いに自己紹介するが…惚れてもいいっすか?
とか思っていたら、一華が耳打ちしてきた。
「実はね、優深ちゃんとすうちゃんって付き合ってるんだ」
グッバイ十秒保たなかったウチの恋。
だよねー、彼女くらいいるよね!珠々はおずおずと大橋くんと腕を組んで…
大橋くんは、照れくさそうに指で頬を掻きながら受け入れる。何この可愛いカップル?推せるわ。
ついでにウチもかーえろっと。一華と一緒にカバンを持って席を立つと。
「いーちかっ!」
「きゃっ!?か、楓…!」
めっちゃ制服着崩したイケメンが、一華を後ろから抱き締めた。え…チャラ男?
が。一華に「私達もう子供じゃないのよ!」と怒られ、目に見えて落ち込んだ。全然チャラ男じゃなかった。
紹介された東雲くんは、全身から色気を放っている…んだけど。制服のブレザーの下に、パーカーを着ていて。
そのパーカーに…昔流行った戦隊モノの写真がデカデカと…。美形と子供にしか許されないファッションをしている。
「一華ちゃん。母さんがさ、高校進学のお祝いを一緒にしない?って言ってるんだけど」
「えー…?両親に一応聞いてみるけど…」
ん?寄って来たのは…またイケメンかよ!!もうこの数分でイケメンゲシュタルト崩壊だわ!
ってこの人、テレビで見た事ある!二世俳優とか言われてる、佐伯拓馬!あ、本名は沖原拓馬?
…さっきからウチの周りに、美男美女集まって居心地悪いんだけど。珠々も立ち上がると、手足が長くてスレンダーなモデル体型だって分かるし。
「じゃ、ウチはこれで…また明日ねっ」
「うん、バイバイ栞ちゃん」
そそくさー と移動して教室のドアを開けると。
ガラッ
「わっ!?」
「あ。ごめんね、大丈夫?」
目の前に人がいて、危うくぶつかるところだった!ギリギリセーフだけど…うお。
相手は声が低いから男子生徒…だと思うんだけど。細身で睫毛バシバシで、大橋くん達とは違う美形…!
ウチに怪我がない事を確認後、お互い気を付けようねとにっこり笑った。尊い…心臓止まりそう…
彼はウチとすれ違い、教室に入ったんだけど…背中に届いた会話が。
「みんな、入学式お疲れ様。校舎案内しよっか?」
「お願いね、ユキち」
また一華の関係者かーい。類は友を呼ぶ…美人は美人を呼ぶのね…
ウチ、これまでカーストとかこだわってたけど。所詮井の中の蛙…と初日にして思い知らされたわ。
散々な入学初日だったけど。友達が二人もできたので、幸先のいいスタートだと思おう!




