31
話のつじつまが合わなくなり、メイリの年齢訂正しました。
すみませんm(__)m
アドルフ達が去った二月後の今日、建国記念と国王夫妻の結婚記念が同時に祝われていた。
彼等は、建国されたとされる日に婚姻を結んでいたのだ。
一年も前から準備していたもので、周辺国の要人も招待され、王都は観光客でごった返し、かなりの賑わいを見せていた。
当然、招待客の中にフェレメン国王太子グレーグの姿もあった。
王太子夫妻を招待したのだが、何故か一人で参加のグレーグ。
体調不良により王太子妃は欠席との事だったが・・・まぁ、それが本当かは分からない。
これまでアウロアを目的とし、この国を訪れて来た彼は、妻を一度も連れてきた事はないのだから。
フェレメン国に留学していた当時は、アウロアも何度か顔を合わせた事はあったが、色ボケには勿体無い程の可愛らしくも良くできた女性だった事を覚えている。
「案の定、フェレメンからは一人で来ましたね」
エルヴィンは呆れたように言いながら、茶をすすった。
「全く以てあのしつこさ・・・妃殿下が気の毒です」
ヴィルトも同じく呆れたようにため息を吐いた。
「ヴィルは彼女と親しいんだったか?」
忙しい最中の小休止として、ブライト達は執務室で三人、状況整理の為に集まっていた。
「親しいと言うわけではありませんが、アウロア様も含め、私が一番面識があるかもしれません」
フェレメン国とカスティア国は友好国な為、使者としてよくフェレメン国を訪れていたヴィルト。
そうなれば必然的に王族と接する機会も多く、王太子妃とも顔を合わせ言葉を交わすことも多かった。
グレーグの妻メイリは夫と同い年の元侯爵令嬢。
綺麗と言うよりは可愛らしく、まるで妖精のような容姿のメイリ。彼女が十四才の時にグレーグに目をつけられ、半ば強制的に結婚させられたのだ。
そして翌年には妊娠。妻が命を懸けて出産しようとしているというのに、その間グレーグは側室を増やし、陰では愛人とみだらな享楽に耽っているという、正にクズの中のクズ。
だがそんなクズ夫でもメイリは献身的に彼を支え、常に寄り添っている。
何人女を作ろうと決して見捨てる事なく、あんな色ボケ王太子だが夫婦仲は良好なのだ。
子供も側室や愛人との間には決して作らず、メイリとの間にしか子供はいなかった。
因みに彼等は思いのほか子沢山で、王子が二人、王女が三人いる。
クズな父親を見てなのか、母親の教育が素晴らしいのか、五人とも非常にまともな人間に育っているという。
「この度の招待には、妃殿下を連れてこられると思っていたんですけどね」
ヴィルトは何処か残念そうに肩を竦めた。
「何故あんなクズに献身的なのか・・・理解できないな」
心底理解できないという顔で首を傾げるブライトに、エルヴィンは鋭い一撃をお見舞する。
「同じく側室を置こうとした人が、良く言いますね」
「言わないでくれ!俺も恥ずかしいんだから!!」
まるで乙女の様に羞恥で顔を真っ赤にし、両手で顔を隠す目の前の男が、やり手の国王だとは到底思えない。
だが、彼は間違いなく冷酷な顔を併せ持つ国王なのだ。
これから、アウロアに手を出そうとする男に罠を仕掛けようとしているのだから。
「メイリ殿には悪いが・・・潰すよ」
照れまくっていた可愛らしい男はおらず、其処には冷徹な笑みを浮かべる、カスティア国王がいた。
夜に催される宮廷舞踏会。
各国の招待客は様々な思惑を胸に、其々交流を深めていた。
静かに流れる音楽と、人々の騒めき。
ホールへと続く扉の前で、ブライトとアウロアは自分達の出番を静かに待っていた。
「アウロア、俺から決して離れないで」
「えぇ、分かっていますわ」
「今日来ている奴らの大半は、アウロアの愛人狙いだから、ぜっったいに離れないで!」
「陛下・・・お口が悪いですわ。わざわざ私達の為に足を運んでくださったのに」
「陛下じゃない!名前を呼んで!」
「・・・・ブライト様、心の中ではどう思っても構いませんが、決して顔には出さないでくださいね」
「出すわけないだろう。あぁ・・・アウロア、愛してるよ」
そう言いながら、いつもの様にぎゅうぎゅうと抱きしめてくるブライトに、アウロアは何処か諦めた様な表情で溜息を吐いた。
「陛下、お時間です」
ヴィルトの声にささやかな妻との触れ合いを邪魔され、いい匂いがする妻を抱きしめる腕を、渋々緩めるブライト。
そして手を差し出した。
「では、行こうか、我が愛しの妻よ」
「えぇ」
そっと手を重ね、二人は国王と王妃の仮面を被る。
そして、賑やかなホールへと一歩、踏み出したのだった。




