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異世界に来たけど人類滅亡してました。  作者: 青咲りん
序章 不可視の悪魔
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十話 そろそろ本気で頭がおかしくなってしまったようです。

 どうも。

 火急の案件が生まれて、ちょっと鬱になりかけているアリスです。


 ……え?

 火急の案件って何かって?

 そんなの決まってるじゃないか。

 魔力の回復手段だよ、アハハハハハ……。


 MPを回復させる手段はいくつかある。

 MP回復ポーションは論外として、あの干し肉とかがそれだ。

 だがあれは駄目だ、塩分が高すぎる。

 あとご飯欲しくなる。

 加えて回復量が小さすぎる。


 他の候補は、『オムライス』とか『クッキー』、それから『マジックビーンズ』『紅玉草』etc……。

 種類はあるが、今のところゲットできるのは紅玉草くらいしか無い。


 だが紅玉草を素材としたMP回復ポーションは激不味だった。

 紅玉草本体もきっと不味いに違いない……。


「ぬう……。

 こうなったら、MPを回復させる魔法でも創るか……?」


 終末世界オンラインには、MPの回復手段がアイテムによるものしか設定されていなかった。

 しかし、このゲームにはオリジナル魔法作成システム『魔法ツクール』があるのだ。


 素材の魔法式さえあれば、どんな魔法だって作成できる。


 ただ、この素材となる魔法式だが、これは他の素材である鋼材や薬品とは違って、ポイント制ではない。


 『魔法ツクール』は、対応する効果を持った魔法式素材を組み合わせることによって作成するのだ。


 俺はウィンドウを開くと、『魔法ツクール』のページを探して、メニューをスクロールした。


 しかし――。


「……ぅん……?」


 カラコロカラコロとかわいい音を立ててスクロールされていったメニューウィンドウは、最後の欄まで辿り着くなり、バウンドして停止した。


「……あれ、見落としたかな?」


 再度、俺はメニューを操作して魔法ツクールのページを探すが、やはり一番上まで戻ってくるまでの間に『魔法ツクール』のバーは表示されなかった。


「……嘘だろ?」


 もう一度、メニューをスクロールする。

 しかし、そのどこにも魔法ツクールの文字は見当たらない。


「……」


 俺は無言でメニューウィンドウを消し去ると、床に置いてあったMP回復ポーションの瓶を《アンスール・ロッド》で叩き割るのだった。


 虚しい破砕音だけが、静かな部屋の中に木霊した。


⚪⚫○●⚪⚫○●


 緊急事態だ。

 魔法ツクールが使えなくなってしまった!


 これじゃあ新しい魔法が作れない!

 MPを回復させる魔法が作れないじゃないか!


「ぐぬぬぅ〜……。

 一体、どうすればいいんだ……?」


 我慢してアレを飲み干すか?

 いや、駄目だ。

 俺はまだ死にたくない。


 ではどうしろと?


「……アレを全部飲み干したら勇者なんて称号がもらえたりして」


 考えに考えたが、しかしやはりどうにも策が思いつかない。


「……やっぱり、やるしかないのかな」


 未練がましくストレージやメニューをカラコロとスクロールさせるが、それ以外の手段はやはり思いつかない。


 俺はストレージの最下層にある『MP回復ポーション ×98』の文字列を睨みながら、奥歯を噛みしめる。


「覚悟を決めろ、俺!

 魔力がなくなったらどうなるかわからないんだぞ……!」


 俺はフラつく頭を支えながら、その文字列に人差し指を向けた。


「大丈夫だ。

 良薬は苦しって言うだろう!

 今こそこれを乗り越えて、俺は英雄になるんだ……!」


 ……駄目だ、自分で言っててどういう意味がさっぱりわかんねぇわ。


 俺は深呼吸を一つすると、カッと目を見開いてその文字列をタップした。


「うぉぉぉぉおおお!!」


 そして、すかさず現れた取り出し用のウィンドウに手を突っ込んで、ポーションを大量に引き上げる。


「いざ、勇者へ!」


 俺はそう叫ぶなり、取り出した全ての瓶の栓を開けて、複数本を同時に呷った。


「んく、んく、んく、んく、んく、んく、んく、んく………ごくん」


 強烈な苦味と、甘味、酸味が雪崩のように押し寄せてくる。


 クソまずい。

 吐きそう。


 だが、それでも俺は己を律して次のポーション瓶へと手をかける。


「んく、んく、んく、んく、んく、んく、んく、んく……ごくん」


 不味いはずなのに、吐きそうなはずなのに、それとは逆に、頭の中はどんどん冴え渡っていく。

 それが逆に辛い。

 口や喉、腹はとてつもなく気持ち悪いのに、頭だけが滅茶苦茶冴え渡っていくこの感じ。

 まるで頭を掻きむしりたくなるようや不快感!


 だが、それでも俺はポーションを呷る手を休めない!


「んく、んく、んく、んく、んく、んく、んく、んく……ぷはっ」


 残り、あと50本!


 みるみる間にストレージ内のポーションの残量が減っていくのが、目に見えてわかる。

 ものすごい速度だった。


 こうして、それから約1分後。


 俺は全てのポーションを飲み干すのだった。

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