33.ツンデレはつらいよ
<前回のあらすじを30文字以内で説明せよ。>
美織「良い夜であったな。」
翼 「良い夜であったわ。」
綺都「……え?」
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「ごめん!!」
自分の前に差し出されたおしゃれな紙袋を見て美織は何度もまばたきをした。
朝教室に入ってきた時自分の机に何故か綺都が座っていた。
その時点で驚きだがいきなり紙袋をつきつけて大声で謝罪されると流石の美織でもびっくりする。
「う、上杉その紙袋…どうしたの。」
「お前の好きなもの広瀬さんに聞いてきて…作った。」
紙袋を受け取った美織が中身を確認してみるとそこには不恰好なフルーツサンドがだがタッパーに詰め込まれていた。
「これ……」
「…別に物で許して貰おうとかは思ってない。ただ、口だけで謝るのも失礼じゃないかって思って昨日姉さんに手伝ってもらいながら作ったんだ。」
そう言って困ったように笑う綺都を見て美織は再びフルーツサンドに視線を落とした。
イチゴやキウイは大きさがバラバラで綺麗に並んでいないし、ホイップクリームもはみ出ている。
姉の花透に指導されながら一生懸命作っている彼の姿を想像した美織は思わず吹き出した。
「笑うなよ…料理とかしたことないんだしょうがないだろ。」
「いや、ごめんごめん。嬉しくて。」
「……。」
「上杉、私こそごめんね。」
「神崎は悪くないよ。元々は俺が一方的にお前に突っ掛かっただけだから、何も謝る必要なんて……」
「だって、上杉に頼らなかったじゃん。だからおあいこ!……これからは遠慮なくガツガツ頼る!」
「……神崎。」
そう言うと美織は歯を見せて笑って綺都に拳を向けてきた。
綺都も少し気恥ずかしかったが己の拳を彼女の拳にコツンと優しくぶつけた。
「それにしても、ヘッタクソだなー上杉。」
「うるさいな。そーゆー神崎は作れるのかよ。」
「女はゆで卵作れれば充分なんだよ。あとカップ麺。」
「うっわ不健康!」
「てかさ、あったじゃん!!」
「? 何が?」
「なんでも出来る天才少年が出来ないこと!料理!」
「……ホントだ。…ホントだ!」
まるで欲しかった玩具を見つけた子供のように嬉しそうに笑いあう二人を周りの人間たちは微笑ましい目でみていた。
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一方、美織と綺都が二人で喜びあっていた同時刻、広瀬翼は教室の外で一人頭を抱えていた。
昨日の夜美織から素直に謝ればいいとアドバイスを貰ったのだが彼の人間性からしてそれは容易く出来ることではなかった。
学校に来たのはいいが教室に入ると命子がいる。
そう考えると謝ろうという気はあるのだが身体が行きたくないと告げていて上手く動けずにいた。
(クソっ、5文字の言葉を言えば良いだけだろう…!!)
上唇を噛み締めながら翼はポケットから可愛らしい包装紙でラッピングされた袋を取り出す。
昨日何故か真っ直ぐ家に帰りたくなくて雑貨屋に寄ったらたまたま見つけたのだ。
これを目にした瞬間すぐ彼女を連想した。
別に物で許して貰おうとはこれっぽちも思っていない。
だがなんとなく身体が勝手に動いていつの間にかレジに持っていって買っていたのだ。
「翼、入んないの教室?」
先程から外にいる翼を気にしていたのだろうクラスメイトの友達が心配そうに声をかけてきた。
「いや、入るが…教室に命子いるか?」
「なんで?……天津さんまだ来てないっぽいけど。」
友達は教室を見回して言う。
「あ、もしかして天津さんと喧嘩でもしたのか。」
「…まあそんなところだな。」
「へー天津さんでも怒ることあるん……あ。」
友達の翼に向けていた視線は彼の背後の方に向けられた。
翼も友達の視線に合わせて振りかえるとそこにはマスクをつけている命子が立っていた。
目が腫れぼったくなっている。昨日のが原因なのだろう。
「……おはよ。」
命子はマフラーを取りながら無愛想に翼に挨拶した。
「お、お早う。…貴様風邪引いたのか。」
「引いてないよ、ブス隠ししてみたの。どっかの誰かさんが昨日散々ブサイクって言ったから!!」
そう言って命子は翼が言い返す暇も無く大股で教室に入っていってしまった。
取り残された翼は唖然とその場に立ち尽くす。
そんな彼を友達は気まずそうに、そして哀れみの眼差しを向けながら翼の背中を優しく叩いた。
「……早いうちに謝るんだぞ。」
「……。」
彼の言葉に言い返さずに翼は右手に持っていたラッピング袋を弱々しく握りしめた。




