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18.今時こんなドラマみたいな悪役いないよね

しぃぃぃもぉぉやけぇええええええい!!

<前回のあらすじを30文字以内で説明せよ>


 翼・美織 「負けたああああああああああああ!!!」


 綺都「そりゃそうだろうな。」


 _________________________


「おい何下向いてんだクソガキごるぁ!!」



「なめとんのか!? おぉ!!?」



「…すいません。」



 防寒具が必要となった寒い早朝のなか。

 学校に登校していた綺都はやらかしたと言わんばかりに後悔していた。

 時は数十分前にさかのぼる。

 いつもの様に姉の花透(かすか)に見送られながら家を出て通学路を歩こうと足を踏み出したとき、犬の尻尾を思い切り踏んづけてしまった。

 もちろん尻尾を踏まれた犬は踏んだ張本人の綺都を追いかけてきた。

 反射的に綺都は人気の無い細い裏道を走って犬をまこうとしたが犬はなかなか諦めてくれなかった。

 仕方なく思った綺都がその場にあった柵を飛び越えて向こう側に移動したら案の定犬は飛び越えられなくてしぶしぶ諦めていった。

 ほっと一息をついた綺都は足元に何か違和感を感じ下に目を向けたらそこにはカップから無様に零れたコンビニのおでんがあった。

 そして目の前にいたのは地元の治安が悪いと有名な私立の制服をだらしなく着こなした二人組の高校生がいた。

 綺都は柵を飛び越えたときに彼らのうちの一人にぶつかってしまったことを即座に理解した。

 彼らは細い瞳を更に細くして綺都を睨み付けていた。




 そして今にいたる。

 人のいない路地裏に強制的に連れていかれた綺都は二人の高校生に壁に追いやられていた。



「謝ればすむとか思うてんのかワレごらぁ!」



「すいません。」



「さっきから謝ってしかねぇじゃねえかよお前!!」




 さてどうしたものかと綺都は思い悩んだ。

 見た目からして彼らはおそらく肉対戦は自分よりも弱い筈だ。

 だからといってここで彼らに手を出したら来年の受験の内申書に響いてしまう。

 自分は中学生だし、身内の花透にも迷惑をかけたくない。

 ここからどう逃げ出そうかと策を練っていたら彼らのうちの一人の背の高い高校生が綺都の胸ぐらを思い切り掴んで引っ張った。

 受け身をとるのを忘れていた綺都は締まる首に呻いた。




「さっきから何黙ってんだ!!」



「……謝罪が駄目ならどうしたら許してくれるんですか。」



「なんだその口調!! いきがんなよ中坊が!!」



「マジで腹立つなこの女顔!!!」



「……は?」



「んだよその目は。やんのか?」




 そう言って背の高い高校生は挑発するように舌をだらしなくベェ、と出した。

 掴まれてた胸ぐらを離された綺都はずれたネクタイを調節しながら二人を睨み付けた。

 そして、置いていた鞄を持って彼らに「失礼します」と一礼して背を向けて元来た道を戻っていこうとした。

 その時、背にしたと同時に後頭部に強い衝撃が走った。



「いっ……っ!!」



 あまりの痛さにしゃがみこんだ綺都は後頭部に手をやるとヌルリと冷たい感覚を感じ取った。

 触った手のひらを見てみると血が絵の具のようにこびりついている。

 振り替えると彼らはコンクリートのブロックを片手に下卑た笑み浮かべながら綺都を見下ろしていた。



「っこのっ……!」



 ブチン、と自分の中の何かが切れるのを感じた綺都は立ち上がり着ていたモッズコートを脱ぎ捨てて二人の前に立つ。

 もう、我慢ならん。

 そう呟いて綺都は地を大きく蹴って殴りかかろうとした。その瞬間。



「馬鹿、内申に響いたらどうするんだ。」



 ポン、と誰かが優しく綺都の肩に手を置いた。

 綺都が振り替えったと同時に目の前にいた高校生が呻き声をあげて向こうへ吹っ飛んだ。

 綺都の視界に写ったのは青いマフラーを巻いた学ラン姿の青年。

 顎にマスクをつけて怪我をしているのか左目の下に絆創膏を貼っていた。

そんな彼のほんの少し長めの黒髪から覗いた端正な顔の鋭い綺麗な瞳は誰かを連想させた。

 彼はコンクリートブロックを持った高校生を殴り飛ばした直後、その勢いでもう一人の高校生のみぞおちを思い切り蹴りあげた。ここまでほんの数秒。

 さっきまでいきのよかった二人の高校生は静かに横たわっていた。




「おい、大丈夫か?……血ぃ出てんぞ。」



 青いマフラーをした青年がすぐさま心配そうにして綺都に駆け寄ってきた。



「あ……大丈夫です。」



「そんなに量は多くないけど、救急車呼んだ方がいいな。」



「えっ! いやっ、大丈夫です大丈夫です!!」



 青年が取り出した携帯電話を綺都は慌てて取り押さえた。

 青年は驚いたかのように目を丸くして綺都を凝視する。




「だ、大丈夫じゃないだろ……。」



「いえ、ほんとに大したことないんで。助けてくださりありがとうございました。」




 そう言って一礼する綺都を見て青年はクスッと笑った。

 不思議に思った綺都は首をかしげて青年を見上げる。




「ああ、わりぃ。なんか知り合いと似てたからつい。」



「……知り合い。」



「って言っても、女なんだけどなそいつ。わりぃな、女と重ね合わせちまって。」



「……そうなんですか。」



「この辺はああいった輩が多いからあまり立ち入らない方がいいぞ。さっきみたいに絡まれる。」



「はい。以後気を付けます。」



「病院よりも、自宅で手当てしてもらった方がいいかもな。君、ここの近くに住んでるのか。」



「あ、徒歩10分くらいのとこです。」



「そうか、なら連れていく。」



「え、」



「年上の親切には甘えるのが正解だぞ。」




 そう言って青年は柔和な笑みを浮かべる。

 それに対して綺都はありがとうございます、と感謝すると拾ってもらったモッズコートを着て元来た道を青年と戻っていく。

 素直に彼をカッコいいと思えた。

 綺都がチラリと彼の横顔を見るとやはり誰かににている気がして仕方がなかった。

 彼は端正な顔をマスクとマフラーで覆い被せている。

 顔は半分隠れているが、やはり見覚えがある。

 綺都は思いきって聞いてみることにした。



「あの、すいません。」



「ん?」



「名前を教えてもらってもよろしいでしょうか。」




 綺都がそう尋ねると青年は律儀にマスクを外してこう名乗った。



「礼(らい)。礼儀の礼と書いて、広瀬礼(ひろせらい)。」


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