表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

68/94

第三章 第二十三話 考察、そして事後処理

<ログアウト>


「ふぅ……楽しかったな」


 俺は、VRMMOの世界から戻ってきた。

 飲食中に、結希が奏のサポーターになることも説明し、了承を得られた。

 舞先生のメールアドレス宛に、その旨を送信する。


「しかし、地雷湿原か。今回はうまくいったが、多用は禁物だな」


 みかんが「発明品」を取り出さなかったら、恐らく俺たちはデスペナルティを受け、談笑どころではなかっただろう。


「奏の戦力の底上げにもなって……あれ?」


 ふと、気づく。

 今日の午前中に発生した、アントとの実戦。

 その時、奏の機体は「変形」し、ハープボウを用いて戦っていた。

 みかんも飲食中に、指摘していたが……そもそも奏は、弓を扱ったことがあるのだろうか?


「もしかしたら、VRMMOでの経験は『現実にもフィードバック』されている?」


 この視点は、重要だ。

 即座にスマートフォンに打ち込み、メモしておく。

 もしそうだとするならば、遊ぶこと自体に意味が生まれるからだ。


「俺の銃も、相当精度が上がっていた。あの空間で得られる経験は、現実と遜色ない」


 メアの適切なフォローによって、アントを次々と倒していた俺。

 だが、少し前までの命中精度は90%程度。

 今回はほぼ、100%に近い値であった。


 動悸が、強まる。

 もしかしたら、下手な戦闘シミュレータよりも有用なのかもしれない。


「これは、要申請案件だな」


 可能性の段階であることを添えて、舞先生に再度メールを送る。

 恐らく明日、口頭で返答があるだろう。


「おっと、こちらにもメールが届いていたか」


 奏、及びメアを受け入れるための書類作成依頼。

 まだ眠るまでには、少し時間がある。


 パソコンを立ち上げ、キーボードを叩く。

 AIやデバイスの進化により、パソコンを使う必要性は下がっている。

 高度な処理を行うための道具、という位置づけになりつつあるのだ。


 だが、俺の場合は異なる。

 AIに任せるよりも、こちらの方がずっと確実で、早く作成できる。

 それだけの知識と経験が、あるからだ。


「プリントアウト……チェック。よし」


 改ざん防止の処理を行い、舞先生にデータを送信する。

 後は本人の署名だけで、完成する状態まで作り上げることができた。


「さすがに疲れたな。夕食を食べて、ゆっくりしよう」


 残念ながら、VRMMOの世界でいくら食べたとしても、現実のエネルギーは必要だ。

 長時間のログイン状態は、AIによって危険とされ、場合によっては強制ログアウトの対象となる。


 2階の自分の部屋から、1階のリビングに向かう。

 母も帰ってきており、夕食はもうテーブルに並べるだけの状態であった。


 今日の夕食は、オムレツであった。

 じゃがいもやキノコがたっぷり入った、豪華版。


広大(こうだい)も久郎も、戦いで体を酷使したからね。たんぱく質、必要でしょう?」


 母である美冬(みふゆ)の気遣いが、ありがたい。

 ご飯もしっかり茶碗によそって、食事をとることにした。


 食事を終え、部屋に戻るとスマートフォンのLEDが点滅していた。

 メッセージが入っていたようである。


「舞先生、仕事が早いって……」


 今回の書類作成に対する感謝と、報酬の振込が終わった旨。

 さらに、ゲーム世界と現実とのリンクについて、後日ゆっくり話し合うことが書かれていた。


「舞先生も、かなり興味を示しているようだな。プレイする時間が確保できないことを、相当恨んでいるようだし……」


 10行にも及ぶ、仕事への恨み節。

 教職に加え、藤花コーポレーションの技術部門のトップも兼任している彼女の忙しさは、想像することすらできない。


「あ、みかんは既に、拉致されたのか」


 みかんが学校の寮から、技術部門の寮に移動した旨が記載されていた。

 ついでに、社員食堂の改造を行うことも書かれており、準備は万端のようだ。


「さて、そろそろお風呂に入って、眠ることにしよう」


 入浴は、大事だ。

 毎日きちんと入浴することで、回復効果が大幅に変わってくる。

 その上、両親のカイロプラクティックによる施術、魔法による治療も受ければ、明日はいつも通りの行動ができるだろう。


「せめて、明日からはもう少し安定してもらいたい。イベントが多すぎだ」


 部屋の天井に顔を向けて、俺はつぶやく。

 後はゆっくり、休むことにしよう。

これで、第三章は終了です。

閑話を挟んで、第四章に進みます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ