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門兵ですが、そこそこできます  作者: 勢崎カスリ


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11/30

幼馴染

あれから数日経った中番の日。

 「センパイ、大丈夫ですか?」

 「あぁ、何とかな。グエェ〜。」

 「あ〜ぁ、はい、お水です。」

 「スマン、いや〜、参ったね。」

 「まったく、どうしたんですか?センパイらしくもない。」

 「あぁ、実は、昨日、久しぶりに幼馴染と飲んでな。」

 「幼馴染?」

 「あぁ、師団にいるヤツなんだが、本当、久しぶりに休日が一緒になったんで、つい、朝から呑んじまってな。」

 「朝からですか?でも、センパイ強い方でしたよね?」

 「いやぁ、その幼馴染ってのが、とんでもなく強くてな、そのことすっかり忘れてて、同じペースで呑んじまって、このザマよ。」

 「そうだったんですね、でも、そろそろ交替の時間ですし、ホント、大丈夫ですか?」

 「う〜ん、たぶん、だい、グエェ〜。」

 「わ〜、もう一杯お水持って来ますね。」

 「グエェ〜。」

 「はい、お水。」

 「お〜、スマねぇ。」

 「そうだ、センパイ、ちょっと待っててくださいね。」

 「おん?」

 ハルは急いで事務所の近くにある薬師の店へ駆け込んだ。

  

 “カラン“

 「いらっしゃいませ〜、って、ハルか。どした?」

 「ハルかって、相変わらず愛想がないねぇ〜。」

 「そんなことないよ〜。(愛想よく)何か御用でしょうか〜?」

 「はいはい。あのさ、お酒飲みすぎた時によく効くお薬ってあるの?」

 「へ〜、ハルもお酒呑むんだ〜?」

 「いや、僕じゃなくて、センパイが、ね。」

 「な〜んだ、違うのか。呑み過ぎに効く薬ね〜。あるわよ、確かこの辺に・・・」

 「そういえば、お師匠さんやミーシャさんは?」

 「っと、あった、これこれ。はい、これよ。師匠は、3日前から籠って錬金中よ。私とミーシャは昨日交代したの。」

 「そうなんだ、大変だね。ありがとう、いくら?」

 「まぁ、仕方ないわね。何か大量に回復用ポーションが必要らしいのよね、薬師で手分けしてるわね。あぁ、いいわよ、サービスしておく。」

 「えぇ、それは悪いよ。お師匠さんにも怒られるでしょう?」

 「別に大丈夫よ、ハルが相手だから。でも、まぁ、どうしてもって言うのなら、今度の休日、ちょっと付き合ってよ。」

 「付き合う?」

 「そう、“カンミ“でのお食事。もちろん、ハルの奢りで。」

 「は〜、なるほど、なら、それで。」

 「やった〜、約束だよ〜。」

 「はいはい。休みの前の日に寄らせてもらうよ。」

 「うん、わかった。じゃ、まいど〜。」

 彼女は、ラベンドアール辺境伯の領立学園で一緒だった幼馴染のヒナミ・アズロイ。職業は“薬師“。成績は優秀だったので、王都にあるサンフラン高等薬学園に入学。卒業後も王都に残り、三大薬士の一人、フリージア薬士に師事している。何でも、薬学園在学中にフリージア薬士に認められて、本人の意思に関係なく、決まったとか。ところでこのフリージア薬士。三大薬士の中でも一番の腕前だとか。その人に師事しているヒナミが薦めてくれたこの薬なら、すぐにセンパイの状態も良くなるだろうと薦めたところ、

 「うわっ、にっが〜‼︎これ全部飲まないとダメかな〜。」

 「ダメです。薬師の人が、一気に飲むように、と言ってました。」

 「うぇ〜、わかったよ、頑張ってみるよ。」

 “ゴクッゴクッ“

 「うわ〜、クホッ。」

 フィオレッティは、何とか薬を飲み干したが、あまりの苦さに、少しうずくまっていた。しかし、急に立ち上がり、

 「へ〜、すごいな、ほんとに何ともなくなった。」

 「どうですか?」

 「あぁ、大丈夫になった。いや〜、スゲ〜苦かったけど、今は何ともない。すごいなこの薬は。」

 「だからって、同じことを繰り返さないでくださいね。」

 「あぁ、わかったよ。この苦さはもうこりごりだよ。で?この薬、いくらだ?」

 「それが、サービスってことで、お金は払ってないです。」

 「そうか。で、その薬師、前に言ってたハルの幼馴染さん、だろ?」

 「はい、そうですが?」

 「じゃぁ、これで。今度食事でも誘ってやれ。そん時、お礼言っといてくれ。」

 「えっ?いいんですか?」

 「構わん、構わん。」

 「すみません。」

 「さぁて、仕事に入りますかねぇ。」

 と言って、ハル共々、仕事に入った。

  

 後日、約束通り、ヒナミに付き合って、“カンミ“で食事をした。フィオレッティのことを話し、お礼も言った。

 「そんなこといいのに、ねぇ。律儀だこと。でも、いいセンパイね。」

 「うん、信頼のおけるセンパイ、だよ。」

通常は薬師。薬師の中で、一定のレベルを超えると“薬士“になる。薬師は数はいれど、“薬士“は数える程度しかいない。その中の上位3名が“三大薬士“と呼ばれている。

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